2019/08/24 -愛知・武田テバオーシャンアリーナ- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
WBO世界フライ級タイトルマッチ
【フライ級12回戦】
田中 恒成(田中) vs ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)
WBO世界フライ級王者
田中 恒成 13戦13勝(7KO)
WBO世界フライ級1位
ジョナサン・ゴンサレス 25戦22勝(13KO)2敗 サウスポー
1R開始から足を使ってしっかりと距離をとるゴンサレス。
長いパンチを飛ばし合うがお互いに遠い中、中盤に差し掛かる頃、
まずはゴンサレスが左ストレートをヒット。
下がるゴンサレスを追っていく田中、コーナーに追いつめても
ゴンサレスはガードを撃たせてするりと抜け出してしまう。
次にコーナーに詰めた場面ではボディを叩いた田中だが、単発の被弾でまたも抜け出す…。
消極的に見える程に距離を取り続けるゴンサレスだが、突然ワンツーを撃ち込んで田中を捉える。
ラウンド終盤には左フックでも田中を捉えたゴンサレス。
ラウンド終了直前、田中はゴンサレスをコーナーに詰めて右ボディストレートを撃ち込んで第1Rを終える。
2R序盤、コーナーに詰めてはボディを襲う田中だが、
ゴンサレスは撃たせてサイドに回り相変わらず被弾を単発に留める。
ラウンド中盤には逆にゴンサレスの方から田中のボディを叩く。
ラウンド終了直前、コーナーに詰められたゴンサレスが、
左ストレートをカウンターで撃ち込んでこのラウンドが終了。
3R開始直後、ロープ際でゴンサレスの左フックと田中の右ボディが相撃ちした場面、
ロープにバウンドするように体制を崩すゴンサレス。
さらにクリンチ際では、田中の左右フックがヒット…。
中盤はコーナーに詰まったゴンサレスが自分から左ストレートを撃ち出して
コーナーを抜け出す場面が目立つ…田中が入って来るところに合わせる場面も。
しかし、ラウンド終盤に入ると、田中のダイレクトの右ストレートがゴンサレスを捉え始める。
ボディも頻繁に襲う中、ゴンサレスの左フックに右ボディを合わせて、ゴンサレスがうずくまるダウン。
再開後は、しっかりとゴンサレスが距離を取る中、ラウンド終了。
4R、これまでより前に出てくるゴンサレス。
距離は維持しながらも踏み込むタイミングを増やしてコンビネーションを撃ち込む。
田中はその多くを躱しながらも、これまでより手が出なくなり、ゴンサレスがヒットと手数で上回る展開。
中盤、田中が強烈な右ボディを撃ち込むと、さらにコーナーに詰めてもう一度ボディ。
しかし、ここもまたゴンサレスは距離をとって窮地を脱出。
コーナーに詰めて左フックを叩きつける田中だが、ゴンサレスは驚異的なスピードで
コンビネーションを撃ち込んでその場を離れる…。
ラウンド終盤、またも田中がコーナーに詰めて右ボディを撃ち込んだ所、
ゴンサレスは相打ちの左フックを叩き込み、
バランスを崩した田中がグローブをキャンバスにタッチ。
ダメージはそれ程なさそうだが…ダウンを奪い返された形。
再開と共にこのラウンドは終了。
5R、足を使いながら先に先に手を出し始めたゴンサレス。
詰められても先に手を出すことでその場を抜け出す…。
しっかりと捉える場面はそれほど多くないが、コンビネーションで撃ち込むため、
田中も全弾を避けることはできない…先に手を出されることで手を出せない田中。
ゴンサレスは近い距離でもワンテンポ早いアッパーで田中の顔面を襲う。
手数でもヒットでも、ゴンサレスが上回る状況…。
ラウンド中盤、強烈にボディを襲う田中だが、
ゴンサレスは被弾を単発に留める…ダメージは溜まるだろうが…。
ラウンドでは明らかにゴンサレスが制する。
6Rもゴンサレスが田中を翻弄する展開…足を使いながら先に手を出すゴンサレスが
コンビネーションで田中の顔面を襲う。
しかし中盤、ゴンサレスの右アッパーに右ボディを撃ち込み、さらに強烈に左フックを返した田中。
ゴンサレスの動きが一瞬止まる。
詰めるたびに強烈にボディを襲う田中…
ゴンサレスも左右ボディから左ストレートのコンビネーションを叩き込む場面を作る。
近い距離ではお互いにボディを撃ち合いながら、
終盤に入ると、ゴンサレスがまた足を使って大きくリングを使い、田中をいなす展開に。
7R、強引に圧を強めた田中…強烈にゴンサレスの上下に撃ち分けながら強烈にボディを襲っていく。
多少の被弾はお構いなしに詰め始めた田中に押し込まれるゴンサレス。
コーナーに詰まったところ、右ストレートのダブルから左ボディを浴びうずくまるようにダウン。
立ち上がったゴンサレスに一気に攻めて行く田中、
またもコーナーに押し込むと右ボディで2度目のダウン。
ここでも立ち上がったゴンサレスに、会場からは大きなどよめきの声が上がる。
再開後、下がりながらも抵抗するようにゴンサレスが撃ち合う中、
田中の右ボディ3連打に3度目のダウン。
ここもなんとか立ち上がったゴンサレスだが…レフリーが試合をストップ。
TKOタイムは7R 2分49秒
3度目に立ち上がった場面、レフリーが続行を認めていれば、ゴンサレスは残り10秒あれば生き残れた。
この時点、3度倒されてもポイントリードしていたゴンサレス。
あれだけボディにダメージを蓄積されていた状態…。
チャンスがあった、勝っていたとは思いづらいが…それでも、ゴンサレスは立ち上がった。
スピードで田中を翻弄し、ボディのダウンから一度は息を吹き返した。
考えてみれば、間違いなく強豪選手。
WBO世界1位の肩書もあるが、それ以上に、アマチュアの世界ユース王者。
田中はユース世代の頃、高校日本一をかけて激戦を戦っていた。
その時点、世界一をかけて争うゴンサレスは遥か天井人だった。
そこから何年もの歳月を経て、田中は遥か彼方の天井人との差を埋め、そして上回った。
翻弄されていた田中だったが、ボディで逆転のKO劇を演出。
ゴンサレスのボディの脆さを指摘する声も聞いたが、
田中は忙しく動き回るゴンサレスの顔面を叩けない中、ボディだけは毎ラウンド強烈に入れていた。
ゴンサレスが脆かったと言うよりは、田中がダメージを積み重ねた結果…というふうに見えた。
ポイントで上回られる中、KOシーンが訪れたのは、
偶然でもなければ、ゴンサレスがふがいなかったわけでもなく…。
田中自身がその拳の力で演出したもの…そう感じた。
勝利者インタビューでは「今は目指すものもない」と覇気なく答えた田中。
その目指すものも、そのうちすぐに見つかるだろう。
数いる世界王者の中でも試合の面白さはトップクラス。
そして、この国で唯一、頻繁に単独世界戦興行をやれる世界王者。
誰よりもシビアな防衛ロードを歩く選手でもある。
この日、初めて全国中継された試合…注目度がより高くなれば、
田中と戦りたい強豪はきっといくらでも出てくるだろう。
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