2023/4/22 -愛知・刈谷あいおいホール- 第5試合、第6試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2023/4/22 -愛知・刈谷あいおいホール- 第5試合、第6試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

【女子アトム級4回戦】
神成 咲良(changes) vs 吉田 里穂(RISE)

神成 咲良 デビュー戦
吉田 里穂 2戦1勝1分

 

前進しながらすさまじいハンドスピードと豊富な手数で攻めていく神成。
対して吉田は重たい一撃を叩き込んで反撃する。

弾幕のように飛んでくる神成の拳を上体柔らかくかわしながら、
力のこもったパンチを撃ち込んで行く吉田。
吉田は常時手を出しているわけではないが、
一つ当たればその後続を神成に劣らぬスピードで叩き込んで行く。

重いパンチの反撃を喰らいながら、神成のアタックは止まらず。
普通なら飲み込まれておかしくないはずの神成のアタックを受け止め弾き返す吉田。
この構図は最後まで続いた…。

しつこい攻めは時間の経過とともに効果をもたらせるもの。
しかし…吉田は崩れることなく最終ラウンドまで走り切る。


マイジャッジ 40-36 吉田


公式ジャッジも40-36×3で吉田

 

勇敢な神成と、強い吉田。
素晴らしいファイトだったように思う。


デビュー戦、いきなり自分から攻めて出て、これだけのハンドスピードと豊富な手数。
そして、吉田の強烈な反撃をくらいながらも止まらなかったアタック。
刈谷のリングに勇敢な女戦士「北海道のジャンヌ・ダルク」を見た。


そしてその手数をいなしながら、強烈に捉え続けた吉田。
デビュー戦からそれなりの強さを見せてはいたが、この日の勝ち方は圧巻。
現在、いい試合さえすれば注目してもらえるのが中日本女子のリング。

実力派の吉田がベルトに届いたとき、反響がいったいどれだけ大きくなるか。
地方女子ボクシングの歴史を変える…吉田にはそんな空気も漂い始めたように感じる。

 

【60.5kg契約8回戦】
三輪 珠輝(名古屋大橋) vs 佐伯 瑠壱斗(岐阜ヨコゼキ)

三輪 珠輝 17戦8勝(1KO)8敗1分
佐伯 瑠壱斗 14戦8勝(2KO)5敗1分

 

 

小細工なしの二人の激突。
4回戦時代からこの地方の多くのマニアにその才を評価されて来た佐伯。
時には不甲斐ない試合を見せながら驚きの成長を繰り返してA級までやって来た三輪。

両者とも、中日本のリングに濃厚なドラマを刻み付けて来た。
お互いを意識したこともあるだろう二人。

ボディを撃たれればボディでやり返し、
コーナーでの連打を受ければ押し返して追いかけ、
まさに拳で会話するような二人の戦い。

5R、強烈な右ストレートをもらった三輪が、次の瞬間、一気に攻めに転じる。
ここを乗り切った佐伯はラウンド中盤以降に佐伯をコーナーに追いつめる場面を作る。
三輪はこれまで見せて来なかったショートアッパーを叩き込む。

お互いに見せ場を作り合いながらの戦い。
佐伯が時折突き刺すジャブが目立つ…五分なら、このジャブが採点に大きく影響するように感じる。
三輪にとっては僅かに距離が遠い、そしてこのジャブが邪魔になる。


7Rあたりからか…佐伯がファイトで一気に攻めていく。
三輪はダメージの蓄積か、動きが落ちて佐伯の一方的な展開に。

そんな中でも可能性のある一撃を撃ち込む三輪。
試合終了直前、繰り出したアッパーは佐伯にかわされカウンターを浴びる。


マイジャッジ 78-74 佐伯

80-72 佐伯
79-73 佐伯
78-74 佐伯

3-0 佐伯

 

佐伯の距離と、三輪の距離には拳一つ分の差があった。
序盤から中盤にかけて、佐伯のジャブがこの差の意味を大きくしたように感じる。
ほんのわずかな差が蓄積されていった。

5R、三輪が仕掛けに行き、佐伯を追い込むが、
佐伯は同じラウンド内で三輪をコーナーに追い込んで主導権を取り返した。

最終2Rは、ダメージを蓄積させた三輪を仕留めに行ったが、
三輪は撃たれながらも可能性のある一撃を狙い続けた。
終了直前のアッパーを佐伯が躱してカウンターを叩き込む…
その瞬間まで、三輪の拳は可能性を残していた。


A級ボクサー同時の重厚な戦い。
お互いがお互いの強さを受け止め合ったような試合だった。

遠征で強豪選手相手に強さを示しながらも連敗を重ねた佐伯だが、
中日本の中心選手たちを連続で撃破し、この地方を代表する選手の一人であることをしっかりと示している。
ここからもう一度、大きなチャンスへ…。
それにふさわしい選手であることを、示している最中にも思える。


これで負け越し戦績となった三輪だが、強烈な一撃を喰らった直後に仕掛けた場面など
その戦いぶりの勇猛さにはたくさんのファンが魅了されているはずだ。
後半はまさに壮絶と言える戦いぶりを見せ、この試合も素晴らしい試合となった。

試合数こそ18戦となっているが、時間をかけて辿り着いたA級ではまだ2戦。
突然強くなる姿を繰り返し見せて来た三輪だからこそ。
きっと三輪はまだ強くなる…その期待値が損なわれることはない。

 

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