2022/10/16 -愛知・刈谷あいおいホール- 第4試合、第5試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【女子ミニマム級4回戦】
犬飼 萌美(SRS) vs 吉田 里穂(RISE)
犬飼 萌美 3戦2勝(1KO)1敗 日本女子ミニマム級9位
吉田 里穂 1戦1分
小気味よくステップを踏む犬飼に対し、ワンツーを撃ち込んで行く吉田。
2Rには吉田が強烈に右ストレートを突き刺すと、そのまま一気にラッシュ。
犬飼は左フックを小さく走らせて吉田を捉えるも、吉田は止まらず。
3Rに入ると犬飼が前に出てファイトへ。
左フックで捉え合うが、吉田は貰ってもアゴが上がらず、即座に撃ち返す。
犬飼も怯まず、前へ前へと進んで行く。
最終ラウンド、前進する犬飼に対し、サイドへ飛んでコンビネーションを叩き込むなど
吉田が足を使ったボクシングもできることも示して見せる。
犬飼は最後まで前身を続け、強烈にパンチを浴びせる場面も作るが吉田は揺らがず。
試合後、両者に大きな拍手が送られた。
自分としてもこの試合がこの日のベストバウト。
マイジャッジは40-36で吉田。
公式ジャッジは(38-38、40-36、40-36)の2-0で吉田の勝利。
デビュー2戦目で日本9位を撃破した。
犬飼は軽快にステップを踏み、最短距離を走る左フックは驚異となる物だったように感じる。
追い込まれれば、前へ前へ出続け、連打で押し込まれても強烈に返して押し返した。
しっかりと力のある選手と思えた犬飼が相手だからこそ、
吉田の初勝利に大きな意味が産まれたように思う。
何よりトランクスに刻まれた文字通りの「一瞬懸命」を見せてもらった。
リング外では華奢に見える体つきも、リングに上がって露になった両腕は逞しく
信じられないほどパワフルに相手に立ち向かう吉田。
もらってもアゴが上がるシーンは少なく、屈強な印象を与える部分は
今後、接戦となった場合に有効に作用しそうにも思える。
ただでさえ選手数の少ない女子。
それは世界戦線でも同様で、チャンスがあれば主戦場とは2~3階級離れての世界挑戦も珍しくない。
男子とは異なり、複数階級制覇はチャンスの多い重い階級から下っていくケースも多い。
男子以上に武骨でシビアな世界とも言える。
外国人選手がまだまだ呼びにくい現在、
吉田のマッチメイクの難航は必ず試練として訪れるように思える。
この日の戦いぶりと同じようにパワフルに乗り越えてもらいたい。
【52.5kg契約4回戦】
大坪 丈二(名古屋大橋) vs 山田 悠太(岡崎)
大坪 丈二 デビュー戦
山田 悠太 1戦1分
デビュー戦から落ち着きはらった大坪。
どっしりと構えつつ、拳の届かない距離を維持しながら山田が入ったところを狙う。
山田は小刻みに出入りするが、距離で外され続ける…が、
迎え撃つ大坪のパンチは柔らかく回避し続ける。
両者のパンチがなかなか当たらない。
1Rは大坪の強烈なボディ一つの印象が残ったが…
待ちになる大坪に対し、手数、アグレッシブでははっきりと山田。
2R以降、グッと詰めて拳をヒットさせた山田。
2R後半からは大坪の方からも出始めるが。
お互いにパンチが見えている状態、明確なヒットは少なく、拮抗したラウンドが続く。
展開は変わることなく、4Rお互いに手数を増やしたものの、
どちらかに主導権が渡りきることはなかった。
超絶ジャッジ泣かせの戦い。
マイジャッジは39-37 大坪
公式ジャッジは2-1(37-39、40-36、40-36)
クリーンヒットの数で行けば大坪だったようにも思えるが、
待ちになっていた分、手数、アグレッシブでは山田が大きくリードした。
拮抗した試合、最後はジャッジ席に誰が座るかの運に委ねられる。
リングの上でできることは、より可能性を上げることだけ。
拮抗する中でより多く手数を出し、先に仕掛けることでポイントをピックした形となった山田。
振り返れば、試合巧者ぶりが光った試合だったと感じる。
自分から入りながら迎え撃つパンチをかわし続ける…簡単なことではないと感じる。
思っていた以上に巧い選手だった。
倒すまで行かなくとも、相手を警戒させる武器が出てくれば、
A級戦線で勝負できる選手になるようにも思えた。
また、大坪についてはデビュー戦は落としたモノの、落ち着き払った戦いぶりと、
山田のパンチを何度も空転させた距離の把握能力や目の良さは「見つけた」感があった。
この日を踏まえて戦いぶりをどう変化させてくるか…。
早い段階で難しい相手とぶつかったのは幸運だったかもしれない。
続けてさえいれば、きっと出てくる選手。
こういった選手に出会えることは4回戦を見るうえで大きな喜びだ。
今後、要注目と感じている。
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