2020/07/12 -愛知・刈谷あいおいホール- 1試合目～3試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ！
■中日本新人王ミニマム級準決勝
【ミニマム級4回戦】
星野 裕貴(中日) vs 松本 幸士(HEIWA)
星野 裕貴 デビュー戦
松本 幸士 1戦1敗 サウスポー
1R、デビュー戦と同じく、ゴングと共に前に出て行く松本。
星野がデビュー戦らしからぬ落ち着きで、前後に頭を振っていなす。
一旦試合が落ち着いたところ、入っていった松本に星野の右がカウンターで刺さる。
そのままワンツーの右が何度か松本を捉えるが、松本も怯まず撃ち返す。
星野の右がカウンターとなって幾度も松本を捉える中、松本が大きな右で星野を捉え返すと、
松本のスリップを挟んで、試合は乱戦に突入。
松本の止まらない手数が星野飲み込んで行き、撃ち返そうとした星野に松本の右ストレートが
強烈なカウンターとなって突き去り、星野が崩れ落ちる。
立ち上がった星野…しっかりダメージも感じられる中、試合は再開。
KOチャンスに一気に攻め込む松本…しかし、星野は貰いながらも右を突き刺しダウンを奪い返す。
こちらも確実にダメージのあるダウン。
膝を揺らしながらファイティングポーズをとった松本。
ここでラウンド終了のゴング。
コロナ明け最初のラウンドは激しすぎる3分間。
2R、開始直後から撃ち合う二人。
松本の右がまたもカウンターとなって刺さり、星野の顔面が跳ね上がる。
乱戦は松本の土俵か…強烈なパンチが幾度も星野を襲うが、星野も負けじと撃ち返し、
ラウンド中盤には右フックを突き刺して松本をフリーズさせる場面も。
終盤に入る頃、松本が開き直ったかのように連打を繰り出し、
これまで押されていた乱戦で逆に押し返し始める。
しかし…一旦連打が止まると、松本が強烈に星野を捉える場面が目立つ。
3R、足を使い始めた松本。
サークリングの中心で向かえ撃つ形となった星野は、飛び込んで来る松本を捉えようとするが
時折スイッチしながら、長い距離から踏み込んでくる松本にカウンターを獲られる形に。
星野が捉える場面もあるが、数も強さも奪ったヒットは松本が上か…。
4R、星野が外してから撃ち込むようになるとペースは若干星野に傾いたか。
松本が大きな右フックで流れた場面を逃さず詰めて、連続でヒットを奪う。
しかし、星野の手数が収まると、松本が大きなパンチで捉える場面が目立ち始める。
星野が強烈に捉えても、松本は下がらず…。
最後まで前に出続けて押し込む中、試合終了のゴング。
マイジャッジ 40-37 松本
公式ジャッジ
39-38 松本
39-38 星野
：
各ラウンド紙一重…割れて全くおかしくない展開。
39-38 松本
2-1で松本が決勝に進出。
星野…紙一重の敗北だが、その紙一重が大きいのがボクシングでもある。
あと僅かの手数、あと僅か応戦できれば…たらればは決して悪いことではなく、次戦の課題となる。
この日の紙一重さえ詰めてくれば…きっと彼も濃厚なキャリアを積んでくれる選手になるように思う。
決して綺麗ではない松本のボクシングは、思い切りの良さと、下がらぬ度胸。
足を使って見せた場面もあったが、距離のある位置から踏み込んで行ったのは松本の方だった。
下がることと足を使うことは違う…終始攻めの姿勢を貫いていたように感じた。
「熱闘派」という印象を強く与えてくれたように感じる松本。
決勝ではデビュー戦で敗れた原田 竜輔(岐阜ヨコゼキ)と対決。
リベンジマッチの資格を、まさにもぎ取った。
■中日本フェザー級新人王準々決勝
【フェザー級4回戦】
宮崎 裕也(薬師寺) vs 山田 竣介(伊豆)
宮崎 裕也 1戦1敗
山田 竣介 1戦1敗
試合開始直後、山田が放った右ストレートを体を沈めて躱した宮崎が、
その位置から右を撃ち込みいきなりのダウン奪取。
再開後、ガードを固めて前に出た山田だが、宮崎はガードの上から叩いて山田のバランスを崩す。
さらにロープを背にした位置から右に回ると、山田の撃ち出しに強烈な右ストレートを浴びせ、
またも切って落とすようなダウンを奪取…ここでレフリーが試合をストップ。
この日、何もさせて貰えないままリングに沈んだ山田。
また、次のリングに上がってくれることを願う。
山田というボクサーがいったいどんなボクサーなのか…それを残して欲しいと感じる。
この日は相手が良すぎた…。
宮崎の刈谷あいおいホール初戦は、切れ味鋭い二つのパンチでの初勝利。
スピードもタイミングも抜群…準々決勝には優勝候補の村田 翼(和光)が待ち受ける。
刃のような宮崎の拳が刺さるか…。
村田が鮮やかなテクニックで捌くか…。
緊張感の高い一戦が期待できそうに思う。
■中日本フェザー級新人王準決勝
【フェザー級4回戦】
時弘 将志(とよはし) vs 花田 太一(HEIWA)
時弘 将志 1戦1勝(1KO)
花田 太一 3戦2勝(1KO)1敗
この試合は花田が肉離れを起こし、怪我による棄権で時弘が決勝へ進出。
宮崎vs村田の勝者と決勝で対峙することとなる。
移籍初戦となるはずだった花田。
期待値の高い選手なだけに、復活を期待したい。
■中日本スーパーフェザー級新人王準々決勝
【スーパーフェザー級4回戦】
中根 啓太(天熊丸木) vs 小暮 経太(中日)
中根 啓太 デビュー戦
小暮 経太 デビュー戦
野性的に振って出て行く小暮。
それをうまくいなす中根だが、体で押し込まれてコーナーを背負う。
しかし、時折返す右フックはしっかりとナックルで小暮を捉えている。
ラスト1分の声がかかると中根が出始める。
連続でヒットを奪いながら押し込む場面を作るも、
距離が詰まり、押し合う場面が産まれると、体が強いのは小暮の方か…。
揉み合いのようになる中で、バランスが崩れるのは中根の方。
そんな最中、小暮の大きく振るう右フックがまともに小暮の顔面を捉えると、
体を硬直させた中根が横倒しにダウン。
ダメージの深い中根を見たレフリーはカウント3で試合をストップ。
中根にとっては決して展開としては悪くない状況だった。
荒々しい相手に対し、しっかりと外しながら自分のナックルを撃ち込んでいた状況。
このままいけば、ポイントは中根についていただろうと感じた。
しかし、小暮が強烈な一撃で勝負を決めた形。
たったの一瞬が勝敗を決するのがボクシング。
思い切り振り抜く拳は、荒々しくも迫力のあるもの。
クリティカルなヒットはこの一撃だけだったように感じるが、その一撃で決めてしまった。
次戦は準決勝としてスタイリッシュな長谷 和紀(トヤマ)と対戦。
技術的には長谷に圧倒的に分があるように感じるが…
仮に小暮にタフネスがあれば…12分間に一撃ひとつで今年のシンデレラになる可能性も感じる。
野性味溢れる小暮は、テクニックのある長谷とは対極のようにも感じる。
この一戦…ゾクゾク来るほど楽しみに思える。
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