2021/06/20 -刈谷・あいおいホール- 第1試合、第2試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
■中日本バンタム級新人王準決勝
【バンタム級4回戦】
菅原 健太(名古屋大橋) vs 渡辺 大和(カシミ)
菅原 健太 3戦2勝(1KO)1敗
渡辺 大和 5戦2勝3敗
1R、詰めていく渡辺に対し、前後の距離でパンチを外す菅原。
鋭いジャブを中心に、渡辺の右フックの内側から左ボディを突き刺すシーンも。
渡辺は詰めて下から上へと返すが、まずは菅原がしっかりと捌き切った1R。
2R、一気に圧力を強めて距離を潰し、乱打戦に持ち込まんとする渡辺。
回転よく菅原のボディを左右で抉って顔面へもフックを返す。
菅原もタイミングよく左ボディ、左フックで捉えるが、
至近距離では圧倒的に渡辺の手数が上回る。
そんな中、試合が中断…バッティングにより菅原がカット。
出血量は多いように見えるが深くはないか…ドクターは続行の判断。
再開後、ガードを高く上げて守る菅原だが、その分手数は減少。
渡辺は反撃が減った中で、より圧力と手数を増やしていく。
ここまでは五分五分に見える展開。
コーナーを飛び出した菅原の出血は止まっているように見えたが、3R開始後、
しばらくすると再び流血。
ガードをガッチリ固めながら、鋭いジャブと左フックを突き刺す菅原。
しかし、渡辺の圧力も止まることなく強烈な左右フックを叩きつける。
両者強烈なボディを織り交ぜながら、激しくパンチを交換し合うラウンド。
最終ラウンド、僅かにパンチの届かぬ距離から踏み込み、撃って拳を叩き込む菅原。
詰まった場面で強烈に拳を叩きつける渡辺。
菅原の左ボディが刺さる、渡辺の動きが一瞬止まる…効いているか。
途中ドクターチェックが挟まる…声援の禁止された会場に菅原の
「見えてます!」の声が響く…しばらくの検討を待って試合は続行。
再開後、出し切るように足を止めて渡辺と向き合う菅原。
激しい撃ち合いが展開される。
ガムシャラに撃ち合う二人…菅原が連続でストレートを叩き込むと、
渡辺は足元をふら付かせながらも、反撃の左右フックを振るう。
ボルテージが上がり続けていって終了のゴング。
マイジャッジ、38-38 優勢点:渡辺
公式ジャッジ
39-38 渡辺
38-38 ドロー
38-38 ドロー
新人王決勝への勝ち抜けは…
ドローの二名とも優勢点菅原。
結果はドローながら、トーナメントの次戦進出は菅原となった。
紙一重だった試合、途中不運なカットがありながら、
最終的には渡辺の土俵である撃ち合いで撃ち勝ってのドロー。
決して不器用な選手ではないハズの菅原が、
ガムシャラなボクシングで対峙した第4ラウンド…菅原の魅力が溢れた時間帯だった。
対して終始、撃ち合いを望むように前へと足を進めた渡辺の姿は、
「ド根性」「漢」…そんなワードばかり思い浮かんでしまう。
日本海に面した金沢のボクサー…そんな背景も踏まえて、
誰か相応しいキャッチフレーズを考えてくれないだろうか。
どちらもその魅力をしっかりとリングで見せつけた試合。
勝ち抜けた菅原は、決勝で大城 雄都(トコナメ)と美濃 巧人(とよはし)の勝者と対戦予定。
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■中日本スーパーバンタム級新人王準決勝
【スーパーバンタム級4回戦】
大中 雄貴(薬師寺) vs プリンス 藤原(駿河男児)
大中 雄貴 2戦2勝(1KO)
プリンス 藤原 3戦2勝(2KO)1分
1R、鋭くジャブを飛ばしながら距離を取る大中。
藤原はじわりじわりとプレスをかけていく。
藤原が入り込んだ場面、大中が左右フックを振るうも
藤原は巧く外すが、後続で放った大中の力強い左がヒット。
しかし、次の距離が縮まった場面では、藤原が強烈な左ボディを突き刺す。
しっかりと外しながら詰めていき、至近距離になると
ショートアッパー、オーバーハンド、右ボディ…。
多彩なパンチを的確に選択して叩き込んで行く。
大中も終盤には左フック、左アッパーを強烈に突き刺す場面を作って対抗。
2R、大中の方から前に出て接近戦を仕掛けるが、
体で押し合う中でも、柔らかく体重移動して力のあるパンチを叩きつける藤原。
至近距離は藤原が制するか…と思いきや、
長い距離からも飛び込んで左フックを突き刺す藤原。
打つ手が少なくなってきたか、
手数が減っていく大中だが、基本の左ジャブだけは出し続ける。
3R、しっかりと外しながら潜り込む…ファイターとしての理想形。
後半に強い藤原、より相手が見えるようになってきたか、
上体柔らかく大中のパンチを外し続け、大中のパンチは次々と空を切る。
飛び込むように強烈に右を叩きつける場面も多く作る。
4R、開始と共に一気に詰めて体での押し合いに持ち込む大中。
お互いにクリンチにはならず、密着した距離で拳を振るう。
多くのパンチが芯を外す中でも、ヒヤリとするパンチがいくつか藤原を捉える。
詰まるところ殴り合い、1.5倍近くの強烈な反撃を浴びる中で、
お構いなしに詰めて詰めて、勝機を見出そうとする大中。
しかし、その勝機に拳は届かぬまま試合終了のゴング。
マイジャッジ 40-36:藤原
公式ジャッジ
40-36×2、39-37
勝者:藤原
ここまで強かったのか…そんな感想を抱く。
「相手の動きに慣れる後半になると滅法強い泥くさめのファイター」
そんな印象が、一変した。
後半のアジャスト能力は健在だったが、
さらに、相手のパンチを外しながら詰めていくプレスに度肝を抜かれた。
これなら、前半のポイントも奪って行ける…。
さらに後半には完全に見切っていたようにも思う。
決勝で対峙するは、「揺ぎ無き大本命」阿部 史也(タキザワ)。
そう思っていたが…それを揺るがすところまで来ているように感じる。
まさかの思いと共に…そう来なくっちゃの思い。
この男のお陰で、中日本新人王決勝の大注目カードが一つ増えたように思う。
対して大中…空振りさせながら迫ってくる藤原に対し、
攻め手を潰され続けたようにも思う。
そんな中で、最終ラウンド、可能性を見出したのは密着戦。
明らかに藤原の方が有利な場所ではあったものの、その距離ならヒットはする。
被弾覚悟で勝利への道を切り開こうとした姿…、
この先きっとより大きなボクサーになってくれると感じている。
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