2022/07/10 -愛知・刈谷あいおいホール- 第4試合~ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【スーパーバンタム級4回戦】
川瀬 航(名古屋大橋) vs 山田 悠太(岡崎)
川瀬 航 デビュー戦
山田 悠太 デビュー戦
懐深く構える川瀬がシャープなジャブを撃ち込むのに対し
山田が飛び込んではコンビネーションを撃ち込む展開。
山田のペースで進んでいたように思えた試合だったが、ドラマは最終ラウンド。
川瀬が右ストレートを強烈に撃ち込むと山田が腰を落とすビッグチャンス。
僅かな残り時間を山田が乗り切ってのドローとなった。
劣勢に立たされていたように見えた最終ラウンド。
仕留めるには至らなかったが、川瀬が効かせた右は美しいの一言。
もぎ取ったドロー劇に見えた。
最後の最後にこの展開を作る力、そしてロングレンジのシャープなパンチ。
また魅力にあふれた選手が中日本のリングに現れたように感じる。
山田に関しては飛び込んでパンチを集める姿から近距離で勝負する選手に見えていたが
4Rに見せたフットワークからは、近距離だけの選手ではないことが見て取れる。
騙された!とさえ感じたその姿に、「やれることの多さ」を感じる。
あと一歩で逃したデビュー戦の勝利。
次戦でどんな姿を見せて来るのか、楽しみにしていたい。
【56Kg契約4回戦】
樫谷 樹歌(タイガー) vs 満生 敦巳(オキナワ)
樫谷 樹歌 デビュー戦
満生 敦巳 デビュー戦
「どうなってんだまんしょう!」
生配信中に叫んでしまったワード。
樫谷がコンビネーションの中で振り抜いた右フックで満生がダウン。
足をガクガクさせながら立ち上がった満生に試合が決定づけられたことを感じたが
ここからがビッグドラマの幕開け。
再開に応じた満生に樫谷が襲い掛かるが、効かされてフラフラのハズの満生が
撃たれながらも強烈な右フックを叩き込んで樫谷を揺らす。
しつこく強く振る満生が至近距離を優勢に進めるかというところまで盛り返した場面、
強打に強打を合わせる右フックを撃ち込むなど樫谷も譲らない。
激戦へと発展した試合は、下から上へ繋げた左フックで樫谷が2度目のダウンを奪取。
痛烈なダウンシーンだったが、ここでも立ち上がり再開に応じる満生に信じられないの一言。
再開後、樫谷が今度は落ち着いて右ストレートを突き刺すと、
ダメージの深い中でのまともな被弾にレフリーが試合をストップした。
樫谷の圧倒的な勝利劇。
しかし、本来なら1度目のダウンで終わっていておかしくなかった試合。
キック上がりはタフだと言うが、これほどまでとは…目の前で起こったことが信じられない。
あの場面で立ち上がり、そして試合を「あわや」まで盛り返す。
満生は並みのボクサーではなかったと思う。
樫谷の勝利を単純に「有望選手の鮮烈なKO勝利」で終わらせたくない。
満生というズバ抜けたタフネスを持つ選手を倒し切った。
そこにより樫谷の強さを感じる。
この試合にわき役なし。
敗者が満生だからこそこの試合がここまで盛り上がり、樫谷の強さが誇示された。
この日のベストバウトだと思っている。
■2022年度中日本スーパーバンタム級新人王準決勝
【スーパーバンタム級4回戦】
時弘 将志(とよはし) vs 塩田 賢(市野)
ガードを固めてゴリゴリと詰めていく時弘。
下がりながら持て余しているかのように見えた塩田だったが、
ジャブの引きに滑り込ませるようなアッパーを一閃。
一瞬間を置いて腰から崩れた時弘。
立ち上がるも足元が定まらず、レフリーが試合をストップ。
佐野 遥渉(平石)と激闘の末ドローで、戦績は悪いが実力のある選手と認知された時弘。
でもまだやれた…そんな姿をこの日、見せるハズだったと思っている。
本当の時弘はあの試合の時弘よりもっと強い。
それを見せることができぬまま、試合が終わってしまった。
まだ見ぬ時弘の本当の強さ、見れる日を待っている。
準々決勝で見せた詰めていく姿、そしてこの日見せた下がりながらのKO撃は全く逆の戦いぶり。
作戦だったとして、それを遂行できる器があってのこと。
また塩田がおったまげさせてくれた。
快心の勝利に派手なガッツポーズを見せた塩田。
1つの勝利にこれだけ嬉しそうな姿を見せる塩田が気持ちよくてたまらない。
今年の中日本新人王戦、台風の目。
8/14にはタフな川合 絢也(西遠)が待ち受ける。
■2022年度中日本スーパーフェザー級新人王準決勝
【スーパーフェザー級4回戦】
宮崎 裕也(薬師寺) vs 深田 翔也(トヤマ)
宮崎 裕也 7戦2勝(2KO)3敗2分
深田 翔也 3戦2勝1敗
前半は前の手を刺しあいながらの駆け引き合戦。
宮崎がより多くの駆け引きに勝ったように見えた。
後半は足を使う深田に対して、宮崎がゴリゴリと追いかけていく。
深田は最初を外したいところだが、宮崎がしっかりとヒットさせ主導権を譲らなかった。
両者とも後の先が得意な選手の印象を抱いていたが、
宮崎が先に仕掛け、よく伸びるパンチと踏み込みのタイミングで勝って、先に当てていった印象。
深田に後の先を取らせず、封じたように見えた。
前の手のフックを引っ掛けて周っていく形を作れなかった深田は
この試合では自由を奪われたようにも見えた。
宮崎がそうさせたものだと感じている。
本来の姿はもっともっと好選手。
こういった展開で深田らしさが発揮できるかどうか、一つ分れ目のようにも思える。
宮崎はこれまで以上に積極的に仕掛けて深田を攻略。
カウンターパンチャーから脱却し、新たなスタイルが見えてきているようにも思える。
変化の途上で、曲者を封じきる…決して容易いものではないように思える。
デビュー戦からの成長ぶりを見たとある関係者の「あの選手、センス並じゃないと思うよ」なんていう声を思い出した。
8/14の決勝では優勝候補大本命、山辺 蓮(市野)と対戦予定。
昨年と同じく、また宮崎が何かを巻き起こす…そんなニオイも漂わせてくれた。
【カテゴリ別】
2022年中日本ボクシング観戦記一覧に戻る
中日本ボクシング観戦記一覧一覧に戻る
カテゴリ別記事一覧に戻る
【日付別】
【記事一覧】2022年7月に戻る
コメント