一般人によるボクシング配信のレポート(その1)(雑) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2021/03/05

一般人によるボクシング配信のレポート(その1)(雑) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2021/03/05

 

今回の記事では、せきちゃん@mosがボクシング放映権を購入し、
Youtubeでの配信を行った際の細かい道のりを掲載します。

各関係者さん、自分も配信してみたいと思う方…
それぞれが、何かのヒントにしてもらえればという思いです。

 

今年3月、コロナウイルス肺炎の流行により、国内のボクシング興行が一斉に中止になりました。
コロナの影響はもちろん、ボクシングだけではなく、自分たちの生活にも大きな影響を与えました。

この最中、僕は思い切り後悔します。
「なぜ鳥インフルエンザの時に気付けなかったのか…」

いつか必ずやって来る東南海地震に対してはしっかり対策をしているのに、
いつか必ずやって来るパンデミックという”災害”には、何の対策もしていませんでした。。
個人事業主である自分は、仕事で大きなマイナスを叩き出し、
それを取り返すのに数か月の時間を要するハメに…。


この時、ボクシング業界もやはり苦しい局面に立たされていました。
コロナが蔓延し、ボクシング興行が打てなくなり、休会する会員さんも多く…。
色々なジムの悲鳴が聞こえてきました。

仮にどういう仕組みがあったら、この状況をもっと楽にできただろう…。
自分の仕事でも考えなければならないテーマをボクシングにも当てはめてみる。

テレワークなどで家に引きこもる人たちが増え、
これまで以上に、Youtubeが注目を集めていました。
そんな中、Youtubeを使って発信するボクサーたちが多数。
そんな姿を見ていて思いついたのが放映権の販売でした。


ぼやっと思い立ったのが3月。
業界の事も全く知らない自分、こちとらただのフリーエンジニアで経験も足りない。
一人では無理…色んな人の知恵が必要だと思い、
Youtubeと同じく、コロナで一気に流行った「オンラインサロン」を立ち上げます。

ここでは、放映権以外のやりたいことも全部テーブルにぶちまけ、
こうしようああしようを並行して進めていくような形をとりました。
全て、こんなことやれたらいいのにな…でも自分一人の頭じゃ無理かも…といった内容です。

Twitterで沢山の人達に考えや思惑をぶちまけて意見をもらう…ということも考えましたが、
そうなると、「これを否定している自分なんかかっこいい」みたいなテンションでの
否定であったり、適当なアドバイスをぶつけて、
失敗したら梯子を外すような「お遊びアドバイス」も飛んできてしまいます。

文字だけでは、その人がどんなノリで言っているのかわからず、
何をどれほど信用していいのか、正直見分けがつきません。

有料制の場所を作り、お金を払って意見や助けをくれる人が集まる…。
そんな場所を作れば、熱量の高い人達が集まるはず。
その熱量の中からもらえる意見は、信用できる内容になるはず…。
正直0人かも…とも考えていましたが、なんとこの場所に10人もの人が集まってくれました。

毎月オンラインサロンの手数料を除いた、
1万8千円の予算をいただき、さらに信用できる意見を貰える。
自分にとってメリットしかない…。

ここがまず、大きな成功だったと思っています。


アマチュアボクシングのトーナメント表を載せる場所を作ったり、
賞の創設にチャレンジしたり…。
そんなことに取り組みながら、放映権の試みについても進めていきました。


イメージがだいたい固まったは5月1日のこと。

TVでも放送されない、ボクシング専門サイトでも配信されない…そんな試合が沢山ある。
ファンが放映権を買って、Youtubeで収益化を狙う。
そんな流れができれば、こんなふうになるんじゃなかろうか…

★ゲート収入以外の収益化方法ができる
 →業界の新たな資金源となる
 →無観客試合の負担も軽減される…万が一、●●インフルエンザ…
  みたいな次のパンデミックがあった場合のリスクヘッジにもなる。

★4回戦でも激闘になれば、人気が集まって値段が吊り上がる
 →これまで、金銭的な価値がつかなかったものに、ちゃんと価値がつく。
  選手に還元されれば、「いい試合をすれば金になる」…というエンターテイメントとしての
  実力主義が価値として付与される。
 →(その試合に魅力を付加)するような動画を作成できる配信者が出てくれば、
  よりボクシングの面白さが掘り出される。

★一部興行で行われている既存の配信に対してライバルができる。
 →パイが満杯であれば、競合相手ができることは既存のものに対する邪魔になります。
  しかし、パイが満たされていないのであれば、パイの拡大が見込めると
  ともに競争することで既存と新規の両者が洗練されるのではないか。


これを実現するためには…
まず誰かがこの仕組みをやってみて、
沢山の人にイメージを持ってもらうことが一番手っ取り早い…。
…自分がやろう。

 

A-Singが「無観客での収益化」に挑戦する…。
そんな発表と並走するような形で、進み始めました。

 


ここからは放映権の購入を行うにあたっての流れを時系列で掲載します。
意図は、適当に「配信させてね!いいよ!」で配信できることに
なったわけではないことを知って欲しいからです。

それ相応に、下準備があって、協力してくれた人たちがいて配信させてもらえたのです。
もし、自分と同じように何か企画的なものを持ち込もうとしたとき、
お金払うからやらせろよ!なんてノリで掻きまわせるものではないことを知って欲しいと思います。


相手はボクシングを生業とする方々です。
生業とは、生活であり、それは生命に直結します。

あくまで道楽であるファンの立場と、
そこに生活がかかるプロモーターさんやジム会長さんとは土俵が違います。
それは、頭でわかっているつもりでいても、実際に今回の試みで
色んな関係者さんの言葉に触れることでようやく体感できたことでした。

 


5月31日。

ある関係者さんに、この内容を話してみました。
現在の放映権のやり取りについて、事細かに教えていただくことになりました。

Web配信の場合これくらいの金額、ケーブルTVが入ればこれくらいの金額…。
思っていた以上に安い金額でした…これなら、手が届く。


1週間で企画書を作成し、面識のあるプロモーターさんに連絡しました。
「こんなことを考えているんですが、どうでしょう、プロモーターとしてメリットはありますか?」

もらった返答は…。
「このままじゃボクシングがヤバい…。
 来月に他の会長さんも集めるから、その話をしてほしい」

まずはどんな感触か聞いてみようと思った段階でした。
あるとしてもそのプロモーターさんの興行で放映権を売る売らないの話になる…という予想は
見事に外れました。

自興行での利益うんぬん…ではなく、ボクシング全体のことに目を向け、
そのプロモーターさんは、僕の為に、この企画の為に、
沢山の会長さんたちに声をかけて説明の場を与えてくれました。

 

7月13日

7つのジムの会長さんがたに集まっていただき、放映権の話をしました。
この場所では、色んな方向に話が逸れたこともあり、概要だけの説明になってしまいました。
その為、後日、集まっていただいた会長さん方のジムを訪問し、
細かい説明をさせていただこうと思いましたが…ここで立ちはだかったのがコロナ第2派でした。

無用な接触はなるべく避けた方がいい…、詳細を伝え歩くことはここで断念します。

 

8月9日

次の進展までは約1か月。
当初相談したプロモーターさんが、別のプロモーターさんを紹介してくれました。
ここでまた、放映権の話をさせていただき、好感触を得ます。
ここから、中日本ボクシング協会につないでもらう流れとなりました。

 

9月18日

協会長さんにお会いし、放映権を買いたい意向を聞いてもらいました。
総会で話して欲しいと言われ、8月31日に行われた総会で説明の場を与えてもらいました。

 

9月22日

総会の場で、やろうとしていることを説明。
このとき、実は総会という場所がいったいどんな場所なのか全く理解できておらず、
私服でフラフラと行ってしまい…これにはお叱りを受けました。
これに関しては、本当に申し訳なかったと反省しております。

沢山のボクシングジムの会長さんがずらりとならんでおり、
え…こんな大きな場所だったの?とブルブル震えながらの説明に。

様々な質問を受ける中で、「権利の問題は難しい」などの意見も出ましたが、
「誰も損しない」「俺は応援する」という言葉も上がり、かなり救われた気持ちになりました。


9月27日

11月29日の興行が、配信が予定されていない興行としては最短だったこともあり、
交渉の窓口となってくださったHEIWAジムさんと具体的な交渉を行いました。
事前に様々な内容を説明させていただいていたこともあり、
また、好意的に受け入れていただいたこともあって、内容的には即日合意。
契約書の作成に入ります。


10月4日

契約書の作成が完了。
内容について弁護士さんにお願いしてリーガルチェックを
行ったこともあり少し時間を要してしまいました。
プロモーターである薬師寺ジムさんに確認いただき、契約を締結。

 

ここまで来て、ようやく放映権の購入が完了したと言えるかと思います。
かかった期間は約4ヶ月。

コロナの影響で興行数が激減していたことも影響しました。
11月の興行まで待たなければなりませんでしたから。
ただし、契約以外にもやるべきことは多く…。
ある意味、いい準備期間を持てたようにも思います。


そして何より、ここまで書いて来た中日本ボクシング観戦記が大きく力になってくれました。
記事をずっと書いて来たことで、自分が何をやっている人か、
2/3くらいの会長さんたちには知っていただいていたと思います。
その土台があって、話を聞いてもらえたと思っています。


ただし…それはただの前提だけの話。

「熱量で人は動く」

様々な人たちがこの試みに協力してくれました。
配信を終えていったん落ち着いた今、なぜあれほどの熱量が
湧きだしてきたのだろうと自分でも疑問に思います。

最初に相談したプロモーターさんの「このままじゃボクシングがヤバい!」という言葉、
そして、そこから尽力して色んな人に繋げてくれたこと。
さらにそこから様々な会長さんの熱量に触れていき、自分の熱量もどんどん増していきました。

相手の熱量で動かされ、自分の熱量で動いてもらった。
そんなコール&レスポンスのような現象でどんどん先に進んで行きました。
しんどかったです、不慣れなことですし。
でも、とても気持ち良かったです。


長くなったので、とりあえず今日はここまで。
次回3/7公開記事は、3/14の緑ジム興行の見どころを紹介。
続きは3/9公開記事で…。

 

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