2016/12/04 刈谷あいおいホール-1試合目~3試合目-(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
中日本ボクシング観戦記。
本日は12/4に開催された薬師寺ジム主催興行の1試合目~3試合目までを掲載。
速報はいろんなところで見れるので…
遅ればせながらに関してはご勘弁。
【ライトフライ級4回戦】
ブル 弘師(トコナメ) vs 太田 アレックス(西遠)
・ブル 弘師 デビュー戦
・太田 アレックス デビュー戦
プロテスト合格時は尾﨑 弘師の名でフジタジム所属。
それから5年、ブル 弘師と名前を変えてトコナメジムからデビュー。
太田 アレックスは日系ブラジル人。
西遠ジム初の日系ボクサー。
強者と拳を合わせるイメージの強い西遠ジムの選手。
…果たして彼はどんなボクサーズロードを歩むのか…。
リングインした瞬間から、息をのむような緊張感漂う表情のブル。
アレックスも同様に緊張感を漂わせる…。
ピリピリした空気感で1Rのゴング。
仕掛けたのはブル。
その名に相応しく、いきなり突っ込んでいく。
コーナー付近まで押し込まれるアレックス。
しかし、冷静に相手を押し返し、立て直したアレックス。
ブルの撃ち出しにビッグパンチを幾度も放り込む。
撃たれても手を出すことに躊躇のないブル。
なるほど、このリングネームは正解だ…なんて感じる。
そんな中で、ブルのボディ攻めが有効に作用。
撃ち疲れも相俟って、徐々に徐々にアレックスの勢いがそがれて行く。
3Rを迎えると、アレックスの下半身から粘りが消える。
相手の何倍ものパンチを浴びながら、抵抗してきたブルにチャンスが到来。
アレックスのバランスが悪くなって来たところで、ブルの手数が一気にアレックスを捉える。
ヒザを揺らしてクリンチに逃げるアレックス。
4R、細かく距離を調整しながら立て直したアレックス。
何度も何度もブルの顔面を跳ね上げる…。
それでも折れずに手数で対抗したブル。
最後は雄たけびを上げながらのラッシュで最終のゴング。
思わず「すげぇ!!!」と叫んでしまった二人の試合。
判定は3-0でアレックス。
数発しか見れなかったけれど、ブルのジャブは硬いモノに見えた。
撃たれ強い体に、手数を支える下半身、そして撃たれてもひるまない心。
デビュー戦の黒星ごときで評価は定まらない。
僕は、ブル 弘師がかなり強い選手に思えた。
また、現時点でそのブルに実力差を見せる形で勝った太田もやはり強い。
前へ進んでくる相手に対して終始ポジションを変えながら距離を調整。
相手がブルでなければ、とっくに倒していたハズ…なんて思ってしまう。
この二人が新人王にエントリーするなら、再戦も期待できる。
こればかりは、天命に委ねるしかない部分だけれども、
もし二人に巡り合わせがあれば…かなり楽しみなカードになると感じた。
【51kg契約4回戦】
山本 悠司(コパン星野) vs 西上床 慎一(中日)
・山本 悠司 2戦2敗
・西上床 慎一 1戦1敗
読みにくいが西上床の読み方は「にしうわとこ」。
長いリーチが特徴的な選手。
初勝利を賭けた両者の戦いは、ジャブの交換から始まる。
ここで、山本のジャブの強さがはっきりと見て取れる。
ショートレンジに入ると山本の腕を畳んだショートレンジの連打が西上床を捉える。
この攻防では西上床が防戦一方に…クリンチで逃れて、再開後…
西上床が距離ができると長い距離からロングのボディで反撃。
2Rに入ると、攻勢を強める山本。
すると、山本が飛び込んだところに西上床が左フックを合わせて山本がダウン。
引っ掛けるようなダウンに、山本はスリップのアピール。
全体的な攻防では手数の少ない待ちの西上床がやや不利に見える為、
このダウンで試合が分からなくなったように感じた。
4Rしかない戦い、このラウンドで2ポイントが西上床に振られるならば、
山本は残り全てのラウンドを獲る必要がある。
これまでの攻防から見て、それは不可能ではなさそうにも…
しかし、次の3R。
西上床が右ストレートをカウンターで撃ち抜き、山本が2度目のダウン。
このダウンでははっきりとダメージを見て取ることができる。
これで、倒すしかなくなった山本。
4R、スタミナが尽き、待ちの体制で右ストレートを狙う西上床。
2度目のダウンの再現を狙っているよう。
しかし、狙いすぎたところを山本に逆にカウンターで捉えられる。
このラウンドを逃れれば、判定で勝てる可能性の高い西上床。
必死にクリンチに逃れて時間の経過を待つ。
しかし、倒さなければ負ける山本は、何度も何度も距離を詰め、
そのたびに西上床がクリンチで逃れる…そんな展開にレフリーは西上床に減点。
これで、クリンチが使えなくなった西上床。
距離を詰めた山本がショートで連打を叩き込む。
逃れるすべがなくなった西上床はダメージを蓄積させ…手が出なくなったところでレフリーがストップ。
山本、大逆転のTKO勝利で初勝利。
撃ち終わりにバランスを崩すことが多かった山本。
そこを突かれての2度のダウン、これは充分修正可能だと思うし
最後まであきらめずにこの試合を勝ち獲った経験は大きいと感じる。
「あきらめたら終わり」
言葉で知るのと、それを体感するのは大きく違う。
西上床…待ちのボクシングをしながらのスタミナ切れ。
詰める方が苦しい、詰めてきた相手に応戦するのは楽な選択だと思う。
それで、これだけ疲弊した…もしかして減量?…なんて勘ぐってみる。
山本をあと一歩のところまで追いつめたカウンター。
クリンチを多用してすがりついた勝利への思い。
この選手も、きっとそのうち僕の目が飛び出すような試合を見せてくれるんじゃないかと期待してみたりする。
【バンタム級4回戦】
今村 太秋(緑) vs 桐林 迅児(HEIWA)
・今村 太秋(緑) 1戦1敗
・桐林 迅児(HEIWA) デビュー戦
この試合が僕の中では今日のベストバウト。
ゴングが鳴るや否や、未勝利とデビュー戦の戦いには思えない二人のキレ。
スピード豊かな戦い。
そして今村はとにかく綺麗。
その綺麗な今村のパンチを交わしながら、
捌き切れないものは丁寧にガードで回避する桐林。
そして今村の撃ち終わりを強烈に捉えて行く。
今村もスピードでは勝っている為、桐林が受ける被弾も増える。
細かいフェイント合戦、お互いに止まらない足と手数。
もらっても前に出る心、繊細にも思える二人の攻防。
全てが強い選手同士が戦うときのそれに思えた。
いつまでも見ていたい…そんな戦いは3Rに終焉を迎える。
撃ち終わりにパンチを浴び続けた今村が崩れ落ちるようにダウン。
スピードで上回った今村を、細かい技術で上回った桐林。
コーナーで涙を流す今村。
積み重ねた努力がなければ、あれほどの戦いはできないハズ。
リングは時に、見えないハズの選手の努力まで見せてしまう。
この二人、新人王にエントリーするなら…ダークホースとして期待大。
「どわぁぁぁ!」
「うおぉぉぉ!」
…なんて声が出まくった序盤。
ここから徐々に、息をのむような試合が続いていく。
という訳で、今日はこのあたりで…。
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