2022/03/27 -愛知・刈谷あいおいホール- 第1試合、第2試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2022/03/27 -愛知・刈谷あいおいホール- 第1試合、第2試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

■2022年度中日本ミニマム級新人王準決勝
楢木 健斗(杉田) vs 今井 聖也(とよはし)

楢木 健斗 1戦1分
今井 聖也 1戦1勝

ワンツーを撃ち合う立ち上がり。
楢木の撃ち終わりをサウスポー今井の左が捉える場面が目立つ。
しっかりガードを上げて自ら手を出す楢木だが、
その撃ち終わりを、今井が小気味よく左で捉えていく。


2R、このラウンドも今井のパンチは楢木を何度も捉えるが、
楢木は後退することもなく、形を崩れさることもなく右をヒットさせ始める。
打ち終わりを狙われれば手数が減る選手も多いが、楢木の手は減らず。
今井が多く捉えはっきりとラウンドを制してはいるが、
楢木が飲み込まれるような気配は見えない。


3Rに入ると、頭を付けて撃ち合う場面が増える。
顔面を綺麗に捉えるのは今井の方、至近距離でも楢木の拳は
柔らかく上体を動かす今井の前に空を切る場面が目立つ。

楢木が当たるのは、ボディ。これが何度も今井を捉える。
技術差があっても、ボディを避けきることは難しい。
ただし、今井が数多くのパンチを顔面にヒットさせる分、
ジャッジへのアピールは弱いか…。


4R、最後の3分を撃ち合う二人。
楢木にとっては最後の可能性に賭けるしかないか、
下へのパンチが減り、上の攻防となるが…そうなると今井が明らかに上回る。

これまで以上に、楢木が強烈に被弾する場面が目立ち、
はっきりと今井がラウンドを制して試合終了のゴングが鳴った。

 

マイジャッジ、40-36 今井。
公式ジャッジも40-36×3で今井が勝利。

 

技術的、経験値的に差のある二人だったように見えた。
今井が実力をしっかりと示してのフルマーク。
決勝ではもう一人の優勝候補、宮澤 蓮斗(蟹江)が今井へのリベンジを叶えんと待ち構える。

各地に全日本新人王候補が乱立する今年のミニマム級新人王レース。
中日本の二人の全日本新人王候補が8月の決勝で激突する。

 

打ち終わりを狙われれば、手が出なくなる選手も多くなる。
楢木は決してそうではなかった。
ガードをしっかり上げて、左を突く。
もっともっと力の差が出ておかしくなかった試合だったと思う。
結果はフルマークだったが、丁寧な作業を繰り返したからこそ、
リングの上ではその差が縮まって見えたと感じた。

楢木が「地味なことをしっかりやる」印象はより強くなった。
きっとボディも磨きがかかるハズだ。
そうなれば、一気に結果を出し始めるかもしれない。

 

キッズからの積み上げが大きい今井。
さらにそこからプロのリングで先へ向かって走っている。
努力を続ける人間が重ねた数年の差を縮めるには
それ以上の速度で走らなければならない。

そして、その差が埋まるまでに何度も敗戦を経験する。
キッズボクシングの人口が増えて以降、4回戦の場で既に経験差が出る試合は増えている。
だからこそ、負けたら終わりではなく、あきらめたら終わりの世界観が強くなっている。

今も昔も変わらないのは、チャンピオンになる為には
強くならなければならないということ。
何度負けても、4つ勝てばB級昇格。
一度ランカーに勝てば日本ランカー、一度チャンピオンに勝てばチャンピオン。
負けを強さに変えた選手が、最後に結果を出すと思っている。

 

【56.8kg契約4回戦】
富平 謙伸(中日) vs 細川 兼伸(ワタナベ)

富平 謙伸 2戦2勝(2KO)
細川 兼伸 1戦1勝


ゴングと共にガードを固めてプレスをかける細川。
グイグイと前に出て、リングを大きく使う富平をリープに詰めて下からえぐる。
富平もここまで連続して鮮烈なKO劇を演じている選手。
強烈なボディをやり返すが、細川は止まらない。


2Rも展開は変わらず、細川がボディを叩きながら上へ突き上げる。
細川の上のガードは固く、富平のヒットもボディへ集まり、
試合は腹の削り合いになっていく。


3R、ここまで常に前へ出る細川と、時折足を使って立ち位置を変えながらの富平。
足を止めて撃ち合う場面では互角に近いところまでは行くが、
細川の下から上へのコンビネーションの速さと強いプレスに下がらせることはできない。

細川がより多くのパンチをヒットさせる状況は変わらず。
そんな中、富平も細川のボディに合わせて強烈な右フックを叩き込み、
細川の膝が一瞬ガクっと折れる場面を創り出す。


4R、頭を付けて撃ち合う時間が増えるが、富平に若干の失速が見られるか。
しつこくしつこくボディを叩かれ、その度にいったん距離をとり立て直す。
明らかに効いている状況だが、細川は強引にはいかない。
着実に弱らせるように、仕切り直してはボディを叩き続けるうち、
富平が潰れるようにリングに沈む。

立ち上がったが、ファイトに応じることはできずテンカウント。


KOタイムは2分45秒


とにかく細川の強さばかりが際立った試合。
まるで重戦車のように富平を押し潰した。
全日本新人王級の実力は充分にあると思える。
飛び抜けた存在がトーナメントにいるかどうかとトラブルの有無次第ではあるが、
レベル、選手数が多い東日本新人王レースでも優勝候補と見ていいと感じた。


この相手に対して、富平は膝を折る一撃を撃ち込んだ。
並みの選手ならそれまでに潰されていただろうし、
真っ向から対峙した場面だったからこそ産まれたシーンだと思っている。

また、この時点でも既にボディへのダメージはかなり溜まっていたように見えた。
富平だったからこそ、ここまでやれた試合だったとも思う。
こういう相手をどう上回るのか。
持っている破壊的な拳をどう捻じ込んでいくのか。
これから描く物語に期待したい。

次戦は中日本新人王決勝で、思い切り振ってくる相手と激突。
超絶にスリリングな試合が待っている。

 

 

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