2016/03/13 刈谷あいおいホール-セミファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2016/03/13 刈谷あいおいホール-セミファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 

この試合…ちょっとした複雑な思いを抱えることになった。
 
 

■10試合目
【スーパーフライ級8回戦】
清水 裕司(松田) vs 長井 一(ワタナベ)

清水 裕司は27戦17勝9敗1分
途中3年半のブランクを作りはしたものの、デビューから12年の大ベテランとなった。
1度しかKO勝ちがないが、KO負けも1度もない。
前戦では3連勝がストップし、ランク落ち。
 

長井 一は21戦12勝7敗2分。
1年4カ月のブランクを作り2年前に復帰するが、以降は2勝2敗。
前戦は1RTKO勝利、久々に連勝を飾りたいところ。
 
 

この試合の開始前、ジムの先輩でもある松本 一也氏に清水のボクシングの魅力を聞いてみる。
…曰く、右ストレートがとにかく上手いとのこと。
 

お互いに元日本ランカー、ブランク有りのベテラン同士。
良く似た境遇の二人の試合は、長井の多彩な左が主導権を握る。

ボディの意識も強く、低い位置から振ってくる長井は清水にとってかなりやりにくそう。
頻繁に頭が当たる展開に…。
 
 

しかし3R、松本氏が語っていた通りの、まさにとんでもない清水の右ストレートが長井を捉える。
完全に意識を飛ばされて、グニャリと崩れかけた長井。
よろけてグローブがキャンバスに触れる…しかし…レフリーの死角。
ダウンの宣告はなし。
倒しきろうと、一気に撃ちにかかる清水。

ここで、二人はもつれあってマットに転がり…
レフリーはスリップの裁定…

しかし、あまりのダメージの深さに立ちあがれない長井。
ここでダメージの深さを見て、ダウンを獲る…といった選択肢はなかったのか…。

長井の手をつかんで立たせるレフリーだが、まっすぐに立てない長井。
ここでレフリーは清水に何やら注意…プッシングの注意か…。

注意の間の休養を得て、なんとか戦える状態に回復した長井。
しかし引きずるダメージは深く、清水のパンチが長井を捉えていく。

ここはゴングで終了。
次のラウンドでも、回復しきらない長井を清水が捉えていく…。
 
 
 

しかし、驚異的な回復を見せた長井…。
ラスト2Rでは多彩な左が復活。
清水は相手を見てしまう展開となり…そのままゴングが鳴り判定へ。

忠実にラウンドマストで計算したマイジャッジでは前半と後半の2Rずつが長井。
3R~6Rが清水で、3Rはダウン相当のダメージとして10-8。
1P差で清水勝利と…そんな風に見ていた。

しかし…判定は長井。
 

10-10をつけるラウンドも考慮すれば、納得できない範囲ではなかったと思う。
むしろ、あのダメージから盛り返して、後半を獲った長井が素晴らしいと思った。

しかし…しかし3Rが…、どうしてもモヤモヤを抱えてしまう3R。
会場では各所から怒号が響いていた…。
 
 
 

レフリーは神様である。
リングの全権はレフリーにある。

長井がキャンバスに手をついた瞬間がレフリーに見えていなかったのであれば、それは仕方がない…。

もつれ合って倒れた後、立ち上がれなかった長井のダメージは、直前の強烈な右ストレートではなく、
倒れた時に、後頭部をリングにぶつけるとかして負ってしまったのかもしれない。
僕には見えていなかったけれど、最も近い位置にいたレフリーには見えていた…。
そんな仮説を心の中で立ててみる。
 
 

…しかし、それでもあの3Rのレフリーの判断はミスだったと思う。
今回は最後の2Rを獲るほどまで驚異的に回復した長井だったが…。
あの時点では足元がおぼつかず、とても試合ができる状況になかったと思う。

勝ち負けではなく、試合が続行されたことに違和感を感じてしまう。

もつれあって二人が転んだ時点でスリップ…。
ここまでは正解として、右ストレートでのダメージを引きずって立てないのであれば、
ダメージを認めて、そこでダウンを宣告してもいいと思うし、試合をストップしてもいい。

もし、スリップ時に頭を打った等で抱えたダメージなら…
あの時点で、清水を反則負けにするべきだった。

勝ち負けでのもやもやは確かにあるが…それは、That’s Boxingで片づけられる。
命の問題は、それでは片づけられない。
 
 

レフリーは選手の命を守るためにいる。
殴り合いをスポーツへと昇華させる神様だ。

どういう裁定であれ、レフリーがそう判断したのであれば、それは正しい。
しかし、それは選手の命が最優先と言う前提があってのもの。

…といいつつ、セコンドからもタオルが投げ入れられなかったこと、
プロのレフリーが続行を許したことを見ても、
僕のこの意見は、素人目に見た意見なのは明らかではある…が。
 
 

 

少し脱線するが、最近、アウェイで戦う選手に有利な裁定が下されることがよくある。
この試合がそうであるとは言えないが、いい機会なので…。
 

「地元判定」「不正」「買収」…ボクシングファンが使うそんな言葉に必要以上に神経質になり、
そう見えないように…と、過剰にアウェイが有利になってしまう。

後楽園でもたまに起こっている流れは、数年前から一足先に名古屋で起こっていた。
一昔前は、名古屋の地元判定は酷いと言われることが多かった。
そう言われすぎて…逆に敵地有利に傾いてしまう。
 

本来、公平であればいいはずのジャッジやレフリーが、世論にブレてしまう。
そして幸運な勝ちを拾った選手が、不運な批判にさらされる。
 

再度言うが、この試合がそうであるとは言いづらい。
実際のところそういった思惑があったのかどうなのかは全く分からないからであり
この試合をそういった試合と断定することは不可能だからである。

しかし、そういうふうに見えてしまったファンがいることは間違いない。

昨今のマイジャッジとのズレに対する過剰反応には僕は否定的な意見を持っている。
なぜなら、そう言った意見で、いつも泥をかぶるのは選手だからである。

採点が気に食わないのなら、ジャッジを。
レフェリングが気に食わないのならレフリーを批判するのが筋であり、
選手が批判の対象になるのは間違っていると思う。
 
 

だからこそ、レフリーには申し訳ないけれど、
「僕の目にはレフリーが判断を誤ったように見えた。」
…と、はっきり記載しておきたい。

甚大なダメージから回復してこの試合をもぎ取った長井が
無意味な批判にさらされない為にも…。

あそこから試合を拮抗させるところまで持ち込み、判定勝利を手に入れた。
それは誰も否定できない事実であり、称賛されるべき内容だったと、僕は思うので…。
 

そして、ファンだから勝手なことを言うけども…
清水選手…こんな試合で辞めちゃダメだからね。
ここで被ってしまった不運は…ランカー挑戦での幸運に変えて欲しい。

こんな心配は余計なお世話かもしれないけど、年齢的にもやはりそういった心配をしてしまうところだから。
清水選手のファンは、こんな終わり方は絶対嫌だと思う。
僕も…絶対に嫌だ。
 

いい試合を見せた清水という選手が、ランクを取り返す姿を見たい。
理由はたったそれだけなんだけど…。
 
 

…と、今日は何かもやもやした話でごめんなさい。

次回は、衝撃のファイナル。
 
 

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