2025/08/16 -愛知・名古屋市露橋スポーツセンター- セミファイナル~ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

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【ミニマム級8回戦】
■WBCミニマム級ユース王座決定戦
イアン・アブネ(比) vs 宮澤 蓮斗(松田)


動画 2:27:26 – 2:54:47


1Rから緊張感高く向かい合う二人。
けん制し合う中、大きく振り込むアブネにジャブを突き刺す宮澤。
ラウンド終盤にはアブネの大きく振るう左に、右ストレートを合わせる宮澤。


2Rには大きく振るう左、右オーバーに加えて、
まっすぐ走らせる右ストレートを飛ばし始めるアブネ。
アブネが強烈なボディで捉える場面も。

オーバーハンドとタイミングの違うストレートにやっかいさを感じるが、
宮澤はその右ストレートにアッパーを滑り込ませてみせる。


3R、大きく振り込んでくるアブネにカウンターをとっていく宮澤。
終盤両者の頭が激しくヒットし、ドクターチェックが入る。
宮澤は鼻を負傷、アブネはまぶたをカット。

再開後、短期決着を見込んでか、攻勢を増すアブネ。
改めて両者にドクターチェックも続行。


4R、一気に攻め込んでくるアブネ。
冷静にカウンターをとっていた宮澤だが危ないシーンが増える。
そんな中、再度頭が激しく衝突。

宮澤は新たにまぶたを負傷。
この試合3度目のドクターチェックで試合が終了。


結果は4R 1:30負傷ドロー。


あと僅か時間が経過すれば勝敗が付いた試合。
マイジャッジは39-37で宮澤だった。
地元ホープが世界ランキング奪取のチャンス…。

ただ、明らかに危ない試合だった。
決着を焦るアブネはまっすぐに倒して突っ込んできていた。
サウスポーvsオーソドックスで、まっすぐ倒せば頭は当たるもの。

この先続けても、次の負傷が待ち受けているのは明らかだった。
止められるところで止めるべき試合が、適切に止められたように思える。


マイジャッジではストップラウンドを含めて、39-37で宮澤。
結果は負傷ドローだが、世界上位ランカーに宮澤が互角以上の戦いをすることは示した。
相手はフィリピンではメルビン・ジェルサレム(比)の次とも言われる期待ホープでもある。
評価を上げてしかるべき戦いだったと感じている。


イアン・アブネ 14戦12勝(4KO)2分
宮澤 蓮斗 12戦7勝(2KO)3敗2分

 

【スーパーフライ級10回戦】
畑中 建人(畑中) vs ディオネル・ディオコス(比)


動画 3:11:00 – 4:00:51


立ち上がり、ジャブが遠かった畑中だが、
より深く踏み込んで鋭く左をヒットさせる。
ディオコスは重たくボディへストレートと撃ち込む。


2R、ジャブを突き刺す畑中だが、なかなか右はもらってくれないディオコス。
上体が柔らかく、時折返す強打はスリリング。
ラウンドとしてはジャブを重ねる畑中が獲っているか。


3R、立ち上がりからボディを重ねる畑中。
徐々にディオコスのトランクスを引き上げる動作も増えていく、
時折大きいのを返すディオコスだが、畑中がしっかりカバー。


4R、上への被弾はなかなか許さないディオコス。
畑中はボディを重点的に削りに行く。
時折返すのみにとどまり、ほとんど手も出なくなってくるディオコス。


5Rも展開は同じだが中盤、畑中の右が顔面にクリーンヒット。
消耗とともに集中力も着れてきたか…
必死にクリンチして窮地を脱出。


6R、削られたディオコス。
畑中の上への攻撃も当たるようになる。
ボディのダメージからか、かなりパンチ力も失われてきたようにも思えるディオコス。


7R、ディオコスは消耗激しいか、ラウンド開始に応じるのが遅れる。
耐えるディオコス、削る畑中。
ラウンド終盤、ロープ際でパンチをまとめた畑中。
腹から顔面へアッパーも返していく。


8R、展開変わらず。
腹を削る畑中と、耐え続けるディオコス。
時折危険な右を返すことで一方的には攻め込ませない。
ここにディオコスの老獪な巧さを感じる。


9Rもまた同じペースで進んでいく。
あともう一歩のところで反撃して耐えきるディオコス。
ボディは完全に効いてしまっているはず。
上体の柔らかさも失われ、畑中の上へのビッグパンチもヒットするようになる。


10R、攻める畑中、耐えるディオコス。
反撃の一発も力感を失い、打開策も見えない中で必死に耐える。
不慮の怪我やトラブルが発生する可能性も0ではない。
しかし、その奇跡は起こらず、試合終了のゴング。


マイジャッジ 100-90 畑中

公式ジャッジ

100-90×2
99-90

3-0 畑中


とにかく状態が柔らかく、致命的なダメージを負ってくれなかったディオコス。
ボディを効かされた後も、だらりと下げた左手で巧みに巧みに畑中の攻撃を防いでいった。
最後は死力を尽くして、リングに立ち続けた。
いつ棄権してもおかしくないほどに、疲弊しながらも最後まで食い下がった。

圧倒的に点差の開いてしまったであろう試合を投げず、
倒そうとする相手に必死に耐えていたディオコス。
大勢はすでに決していたはず…打開策も見えなかった。
それでもあきらめないディオコスにはかっこよささえ感じた。


対して、巧みでありながら、大きく振って来るディオコスに対して、
上がダメなら下へ…ボディで削りまくり、相手の攻撃力も削いでリスクを削った畑中。

大きく振る相手にボディは危険でもある。
フィリピン人相手に、地元日本人選手が星を献上した試合には
ボディにカウンターを合わされた試合がいくつもある。
見えていたからこそ作れた展開でもあるように感じる。


一方的ながら判定まで行った試合を
「畑中が倒しきれなかった試合」と見ることもできるだろうが
「ディオコスが耐えきった試合」として捉えたい。
世界王者クラスと幾度も拳を交えてきた選手、簡単なはずがない。

そんな相手に一方的に勝利した畑中。
前回の華やかながら危なっかしい試合とは打って変わって、地力の強さを感じさせた。
リスタートを切っている畑中のスーパーフライ級戦線。
より高みでの勝負はいつか…この時期の戦いをしっかりと見つめながらその時を待ちたい。


畑中 建人 18戦17勝(11KO)1敗
ディオネル・ディオコス 31戦18勝(4KO)10敗3分

 

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