2020/09/21 【二部】-愛知・刈谷あいおいホール- 第1試合、第2試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
■中日本新人王ミニマム級決勝
【ミニマム級4回戦】
ヨッシャー 松本(HEIWA) vs 原田 竜輔(岐阜ヨコゼキ)
ヨッシャー 松本 2戦1勝1敗
原田 竜輔 2戦1勝1敗
1R、小刻みに細かく細かくポジションを変えながら撃っていく松本。
前回は両者足を止めての撃ち合いとなった二人だったが、
今回、細かく細かく足を動かす松本に対して原田は時折強烈なストレートを突き刺すも捕まえきれず。
旺盛な手数で松本がはっきりとラウンドを制す。
2R、スイッチを織り交ぜ、動き回りながらハイペースで手数を出していく松本だが、
ひとたび足が止まれば、原田が強烈に捉える場面が目立つ。
一発一発の見栄えでいけば原田だが、手数やヒットでは松本…際どいラウンド。
3R、ここまで動き続け、手数を出し続けて来た松本だったが若干失速。
止まれば原田が展開を巻き返し始める。
撃ち合いになれば、顔面が跳ね上がる数が多いのは松本の方。
このまま主導権は原田に渡るか…。
4R、ラスト3分、最後の力を振り絞って松本が息を吹き返す。
足の動きは鈍いが、手数を取り戻したことで二人は激しい撃ち合いに…。
熱量の高い二人の打撃戦はそのまま終了のゴングへ。
マイジャッジ 39-37 松本
公式ジャッジ
39-37 原田
38-38 ドロー
38-38 ドロー
優勢点:松本
前戦では両者足を止めて撃ち合った熱戦の末、フルマークで原田に敗れていた松本。
再戦となった二人の試合はまたも熱戦。
スマートなボクサーではなく、どちらかと言えば不器用に見える松本が
足を使い、手数を出し、出し切っての戦略勝ちとも見える戦いぶりで中日本新人王を手にした。
結果が示す通り、原田が劣っていたわけではないと感じる。
松本のひたすらの手数に押し切られた形にも見えた。
「好敵手」の存在は、そのボクサーのドラマを豊かにする。
二人のボクサーズロードが今後また交わるかは運命次第だが…。
たとえ交わらなくとも、各々の道のりがどう進んで行くか、二人を見比べていくのも面白い。
二つの熱戦を繰り広げたこの二人に、見る側としてはどうしてもライバル関係をこじつけてしまう。
中日本新人王の誕生と共に、今後楽しみにできる一つの物語がスタートを切ったように感じた。
そして、ヨッシャー 松本がリングネームの通り、
「ヨッシャー!」と叫べる日が来ることを願っていたいと思う。
コロナ明け、最初のリングに上がったボクサー。
彼の叫びが、きっとコロナの終焉を意味してくれる。
■中日本フライ級新人王決勝
【フライ級4回戦】
加藤 駿希(天熊丸木) vs 鈴木 尊虎(トコナメ)
加藤 駿希 1戦1敗 サウスポー
鈴木 尊虎 2戦1勝1分
お互いハイスピードで主導権を探り合う1R。
じっとしたところからネコ科の動物のように、スピードに乗ったパンチを交わし合う。
お互い僅かにパンチが届かない距離を維持し、緊張感が高まる中、お互いに踏み込んで
距離が縮まったところで強引にねじ込んだ鈴木の右フックがオープニングヒット。
しかし、同じように距離が縮まった場面、今度は加藤が右を捻じ込んで後続打も浴びせてみせる。
2R、変わらず緊張感の高い中、二人の右と右が交錯した瞬間、加藤が後ろ倒しにダウン。
立ち上がった加藤…再開後攻め込む鈴木に対し、その勢いをなんとかクリンチで寸断した加藤。
持ち直すと、ラウンド終盤、鈴木が入って来るところに強烈にワンツーを突き刺す。
3R、鈴木が踏み込む頻度を増やすと、入る鈴木と待ち受ける加藤の構図に。
加藤はコンビネーションで鈴木の顔面を捉えるが、鈴木はビクともせず…もらってもブレずに撃ち込んで来る。
鈴木が右ストレートで加藤の顔面を跳ね上げると、加藤がそのまま左ストレートを返してグラつかせるなど
意地の張り合いのような攻防も…。
4R、ここまでのポイントはダウンの分鈴木か…それともイーブンか…。
どちらにとっても獲りたい最終ラウンド。
待ち受けてカウンターを奪っていた加藤だが、果敢にトライを繰り返す鈴木と撃ち合いに出る。
強烈に捉えても、芯がブレずに撃ち返してくる鈴木。
人並外れた頑丈さを武器にこの撃ち合いを上回って試合終了のゴング。
マイジャッジ 38-37 鈴木
公式ジャッジ
39-36 鈴木
38-37 鈴木
38-37 鈴木
3-0 鈴木
センスとスピード、カウンターセンスに溢れた加藤。
鈴木を上回るものは加藤の側に多くあったように感じる。
ただ一発のパンチでのダウンと、頑丈さを武器に最終ラウンドの撃ち合いを上回った鈴木。
単純に…鈴木が強かったと感じる。
前戦ではセンスあるアウトボクサーから引分けをもぎ取った鈴木。
スピードもあり、また頑丈さでは飛び抜けたものがあるように感じる好選手。
さらに、何かで上回られても試合展開の中で、それを凌駕してしまう。
「勝負に強い」と言いたくなる選手。
そして、それが感じられたのは、はっきりと強いと言える、
加藤と拳を交えたこの試合があったからだとも思える。
両者とも、今後の中日本軽量級の重要なパーソンとなる力を持った選手。
まずは、鈴木が全日本新人王戦への道のりの中で、
その強さに対する認知をしっかり得て帰ってきて欲しい。
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