2020/07/26 -愛知・刈谷あいおいホール- 前置き(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2020/07/26 -愛知・刈谷あいおいホール- 前置き(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 

 

時計が0:00をまわり、ついにこの日を迎える。
やならきゃならないことが片付く目途はまだ立たない。

当初、この日は仕事の予定だった。
コロナウイルス流行の影響が小さくなっていれば、観戦にいくつもりでもいた。
どちらに転んでもいいようにバランスをとって調整する難しい作業が続いていた。
しかし…1週間ほど前からコロナウイルスの感染者がどんどん増加していく。

明らかに第二波がやってきている状況…。
 

この時点で、観戦はほぼあきらめた…。
仕事のスケジュールを当て込んで、観戦に向かえないモヤモヤを「没頭」で誤魔化す算段を組む。
 

しばらく経って、かみさんが声をかけてくる。
「26日着てく喪服準備してある?」
 

!???
 
 

…そうだ、かみさん方の祖母が亡くなって5年。
妻方の家系は神道で、5年ごとに○○祭という法事ごとがある。
 

まさかのダブルブッキングに大慌て。
スケジュールを前倒しにしてぎゅうぎゅうに詰め込んで乗り切るしか手段はない。
そのおかげで、前日からのフル回転。

「ボクシング選手名鑑デスク」でこなしておきたい作業もあり、
仕事が片付いてもまだまだやるべきことは終わらない。
 
 

…ちょうどよかった。
刈谷あいおいホールでボクシングの試合がある日に、それを見ていないなんて時間は数年ぶり…。
正直、どうやって過ごしていいかわからない。

メインはこれまで力を込めて応援してきた矢吹 正道(緑)がいよいよ挑む日本王座決定戦。
それが見れないなんて…きっと気分も落ち込んで行く。
 

こういう時、自分にとっては「没頭」しかない。
別のことに集中して、悔しさやモヤモヤをかき消してしまう。

深夜3時を過ぎ、そろそろ眠ろうかと思うも、矢吹の試合がどうなるか…
不安ばかりが渦巻いて、とてもじゃないが眠れる気がしない。
そのまま作業を続行し、気が付けば、ボクシング選手名鑑のページもトータル24ページを追加。
7:00にセットした目覚ましの音が鳴るまで、延々と延々と何かしらの作業を続けていく。
 

目覚ましを止めてカーテンを開けると、外は雨。
ニュースを見ると、大雨警報が出ている。
 

矢吹は日本王座挑戦権を獲得するまでも、何度も対戦相手の怪我で変更や延期を重ねた。
自分も拳を粉砕骨折するなどしたが、片手落ちでも試合に勝利して地位を確立。

いざ挑戦権を獲得し、タイトル戦が決まったところでも、コロナウイルス流行での延期が繰り返される。
その間に、挑戦する予定だった日本王者の高橋 悠斗(K&W)が引退。
試合は王座決定戦に変更され、日本2位の佐藤 剛(角海老宝石)との対戦となった。

この日を迎えるまで、何一つスムーズにいったことなどなかったのではないだろうか。
試練という試練がこれでもかというくらいに降りかかって来た。
それはもう、呪いや祟りの類を疑いたくなるくらい…。

それでも、毎度毎度の紆余曲折を繰り返して登ったリングの上では、確実に結果を残し、この日を迎えた。
 

もしかして…まだ神様は矢吹に試練を与えるのか…。
大雨警報に嫌な予感がよぎるが、収まりつつある雨の状況を見て、そんな思いを振り払う。
 
 

喪服に着替えて準備を済ませると、道中で親戚を拾うなどしながら遠回りして神社へ…
真っ先にお参りを済ませる。
どうか、矢吹や、矢吹を支えて来た人達が喜ぶような結果に…
そして、様々な人たちが尽力して作ったこの日の興行が無事に終わるように。

リングの外側の人間ができることなど限られている。
ご利益があるかどうかなんかは解らない。
ただの自分への気休めに他ならないことは解っていても、何かしらをせずにはいられない。
 

昼前には法事が終わり、その後は親戚での食事会。
普段は食べられないような豪勢な食事だが、三人娘の食事の世話が優先でゆっくり楽しむ隙は無い。
もちろん、刈谷の状況をスマートホンで確認する余裕もなし。
 

頭の中では矢吹の入場曲、麻倉未稀の「ヒーロー」が鳴り響く。

考えてみれば、矢吹の遠回りは日本王座を争う戦いに限ったことではない。
若くして家族を持ち、東京で弟を待ち、その後、名古屋にやって来てようやくプロデビュー。
何もかも抱えて歩いて来たからこそにも思える。

それは今回の試合で、3月に亡くなった田中 蓮志(トコナメ)の名前をトランクスに刻んだことからもうかがえる。
矢吹 正道は”そういう奴”なのだ。

そんな矢吹だからこそ「強いだけ」の選手ではなく、客席の夢を背負うヒーローと化している。
遠回りが無ければ、矢吹の日本王座挑戦に胸躍らせる人々がこれ程までに増大しただろうか。

当初は現代の選手が昭和の名曲で入場する姿に違和感を覚えたこともあったが…
今やもう、この曲が鳴り響けば矢吹の姿が思い浮かぶようになってしまっている。
 
 

食事会も無事終わり、長い運転を経て自宅に帰りつく。
そろそろゴングの鳴る頃だろうかとTwitterを開いてみる。
その瞬間、試合結果が目に飛び込んで来る。
 

そうか…
 

これまで、様々な局面に立ち会ってきた矢吹の節目の試合。
様々な感情が押し寄せる。
 

さて、ここでいつもの言い訳前置き

自分はファンではあるが、熱狂的なマニア程の肥えた目を持ってはいない。
自分より凄いと思えるファンはそこらじゅうに転がっている。

先に言い訳をしておきたいわけではなく、そういうものだと言っておきたい。
同じ試合を見ていても、違う感想を持つファンもいるわけで…。
ここに書いたことが正解ではないと…。
それだけは認識した上で、読み進めていただきたい。
 
 

今回も前回と同じく映像観戦の内容を記事にする。
有料動画サイトなどでも配信されるため、ぜひぜひその試合ぶりを確認していただきたい。
 
 

 

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