2024/09/30 -東京・後楽園ホール- セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記・番外編) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【スーパーライト級8回戦】
ポンチャイ・スリソーン(タイ) vs ○ 池田 竜司(一力)
5RTKO
ボディから崩しにかかったように見えた池田。
元々攻撃力の高い選手だが、ジャブと左ボディで丁寧な立ち上がり。
2Rには左フックでダウン奪取。
ここで落ち着いて、またボディを中心に攻め立てて行く。
3Rにはトリッキーにスタンスを変えたポンチャイだが、池田は合わせることはせず。
やることを変えずにボディを削っていった。
4Rには池田が左ボディフックで2度目のダウン。
立ち上がったポンチャイだが、マウスピースが外れており、
レフリーがいったん水で流して口に戻すが、この作業がもたつく。
本来赤コーナーのポンチャイ陣営で洗うはずのマウスピースを
レフリーが青コーナーに持って行き、青コーナーの陣営が水を流した。
このもたつきで運よく休憩を得たポンチャイ、あきらめずにこのラウンドも粘り切る。
5R、倒されても粘り、反撃するポンチャイに丁寧に攻めて来た池田。
右ストレートを炸裂させ、3度目のダウンを奪ってここでレフリーはTKOを宣告。
TKOタイムは5R 1分29秒
勝負論で行けば実力差はあった試合に思える。
ただ、ポンチャイは倒されはするものの、立ち上がり、抵抗し、
異国での勝利を最後まで望み続けた戦いぶりだった。
負けはすれど、ポンチャイのような選手が増えることで、
「噛ませタイ人」と言われる世界観も変わってくるように思える。
池田は雑に倒しに行かず、丁寧に組み立て、
試合の感触を確かめるように相手を削り、何度もリングに伏した。
この一戦を先に繋げるように戦い抵抗する相手を倒し切った。
次の試合をどう戦うか、追って行けないのが残念だが、
国内戦線を浮上して来るのを楽しみにしていたいと思っている。
ポンチャイ・スリソーン 31戦16勝(11KO)10敗5分
池田 竜司 26戦14勝(7KO)12敗
【スーパーライト級8回戦】
川村 英吉(角海老宝石) △ vs △ 近藤 明広(一力)
8R判定 1-1(77-75、75-77、76-76)
昨年の全日本新人王が世界挑戦経験者へ挑むチャレンジマッチ。
絵に描いたように、若さと老獪さがぶつかり合う戦いとなった。
接近戦で始まった試合、左フックを上下に撃ち分けてまずは川村が攻勢。
時折、思わぬタイミングで近藤の右フックが川村を捉える。
体を寄せ合って試合が膠着した場面など、普通なら飛んでこないタイミング。
フッと気を抜きやすいタイミングでもあり、見た目以上に危険なパンチ。
中盤に入ると、川村をインプットしたかのように戦い方を変え、
足を使う場面、押し合う場面、自在に展開を創り上げていく。
巧みな右フックも何度も川村を捉える。
ただし、川村も左右フックを捻じ込み、展開こそ近藤に作られはするものの、
その場面場面でしっかり応じきり、拮抗した戦いへと持ち込んで行く。
世界挑戦経験者を前にして、巧さも肉体的な強さもしっかりと魅せつける。
後半、試合は拮抗し、クロスラウンドが並ぶ中で試合終了。
マイジャッジは 77-75 近藤
公式ジャッジ
77-75 川村
77-75 近藤
76-76 ドロー
1-1 ドロー
アマで国体準優勝の実績を持ちながら、4回戦スタートで全日本新人王を獲った川村。
輝かしい全勝レコードだが、まだ、全日本新人王である。
この試合がA級初戦の日本下位ランカー。
それが戦歴50戦以上を刻み、世界のトップ戦線で戦った選手に挑んだ。
近藤は昨年12月には第5の王座と言われるIBO世界王座に挑んだばかり。
ちなみにIBOのランキングはプロモーターの力関係が介入しない計算方式。
メジャー4団体のランキング以上に公平真っ当と言われるものでもある。
39歳と言う年齢ながら、落ち目と言うには早すぎる相手だ。
老獪に右フックを当て続けた近藤に対し、真っ向から挑んだ川村。
後半はがっぷり四つに組んでみせた。
結果、勝利には届かなかったものの、
スーパーライト級戦線に川村 英吉の名前がはっきりと浮上したように思える。
そして、まだまだ国内トップ戦線を争えるだろうと感じさせてくれた近藤。
ベテランらしいベテランとなっている39歳。
駆け上がらんとする選手を喰って再度成り上がる姿もありえるように思えた。
40歳手前にして、その可能性を見せてしまう。
国内に巣食うバケモノボクサーの一人、生観戦しておけてよかったと思えた。
川村 英吉 6戦5勝(3KO)1分
近藤 明広 52戦37勝(21KO)12敗3分
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