2021/05/09 -刈谷・あいおいホール- 第1試合~第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2021/05/09 -刈谷・あいおいホール- 第1試合~第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

■中日本バンタム級新人王準々決勝
【ミニマム級4回戦】
大城 雄都(トコナメ) vs ドプラド・フェリペ(緑)

フェリペ棄権 試合中止

残念ながら棄権となったフェリペ。
大城は不戦での6/27の準決勝進出、美濃 巧人(とよはし)との対戦となった。

 

 

■中日本スーパーバンタム級新人王準々決勝
【スーパーバンタム級4回戦】
大中 雄貴(薬師寺) vs 西井 伸翼(滋賀)

大中 雄貴 1戦1勝
西井 伸翼 2戦2勝(2KO)

試合開始からキレのあるパンチで攻め込んで行く西井。
次々に大中の顔面を襲っていく。
大中は幾度も顔面を弾かれながら、ラウンド中盤に差し掛かる頃に反撃の右を突き刺す。

西井の右フックをテンプルに浴び、クリンチに逃れる大中…。
一方的か…しかし、終盤に大中の手数が増え始めると、強烈に西井の顔面を襲う場面が出始める。


2R、ラウンド開始から、大中が前進の圧力を強めて手数を増やす。
相変わらずキレのいい西井のパンチを浴びるが、
返すパンチはしっかりと力のこもったもの。

強烈なパンチがお互いを襲い合う中、
大中のボディから上へ返した左フックで西井が後ろ倒しにダウン。
棒が倒れるように、伸直したまま後頭部を強くリングに叩き付けた西井。
立ち上がったが足元が定まらず、レフリーが抱きかかえてストップを宣告。


TKOタイムは2R 1分9秒


今年の新人王トーナメント初戦をKOで勝ち上がっている西井のパンチは、
決して危険度の低いものではないはずだ。

それを幾度も浴びながら、力のこもったパンチで反撃していった大中。
腹の座った試合を披露したように思う。
攻められ続けながら、前へと踏み出し、勇気と度胸で劣勢の展開を
ひっくり返す一撃を産み出した見事な試合だったと感じる。


序盤、一方的に攻め込んで行った西井。
スピード豊かにキレのあるパンチを撃ち込んで行く姿には、
先々に期待をかけてもいいように思えた。

この試合を踏まえてどうなっていくか…。
今後が楽しみで仕方ない選手の一人だと思っている。


準決勝進出の大中は、6/20の刈谷でプリンス 藤原(駿河男児)と対戦予定。
デビュー戦とこの試合、大中がダウンを奪った場面はいずれも至近距離。
対して藤原もグイグイ詰める近い場所の展開は強い。
噛み合う予感しかしない好カードが成立することとなった。

 

 

【ミニマム級4回戦】
ヨッシャー 松本(HEIWA) vs 原田 竜輔(岐阜ヨコゼキ)

ヨッシャー 松本 5戦1勝2敗2分 サウスポー
原田 竜輔 5戦1勝2敗2分

1R、前の手を着き出し懐深く構える原田。
前後の動きで距離を測る中、松本はサイドに周りながら
近付いた場面でしっかりとパンチをまとめ、原田の反撃もスムーズにかわす。
松本がこれまで以上に滑らかな足運びでまずはラウンドを先取する。


2R、グイグイ前に出始める原田に対し、パンチを先に置いていく松本。
このラウンドも、松本が多く原田を捉えているか…。
しかし終盤に入ると試合は二人の第一戦を彷彿とさせる撃ち合いに。
原田の右ストレートが何度も松本の顔面を捉える。

際どいラウンド…アグレッシブなら原田か、単純にヒットで行けば松本か…。


3R、このラウンドも当ててはサイドへ、当ててはサイドへとヒットを積み上げる松本。
しかし中盤を過ぎた頃、松本が足を止める時間が長くなると
原田がしっかりと頭を振って松本のパンチをかわしながら松本の顔面を襲い始める。
原田の右で松本の顔面が跳ね上がる場面も…。


4R、獲った方に勝利が大きく傾きそうな展開…松本が撃ち合いに飛び込んで行く。
ここまで二人が戦って来た試合の中で、真っ向からの撃ち合いでは原田に分があった。
1戦目のフルマークは松本が真正面からの撃ち合いを続けてのもの。

止まっていた足をまた動かして…そんな予想を大きく裏切る松本の前進。
お互いに顔面を捉え合うが、やはり撃ち合いになれば原田か…。
両者出し尽くすように疲弊していく…歯を食いしばって必死にボディを襲う松本。
そのボディに耐えながら右で松本の顔面を襲う原田。

死力を出し尽くすような4Rが終了する。

 

マイジャッジ 39-37 松本

 

公式ジャッジ
38-38 ドロー
39-37×2 原田


2-0 勝者:原田

 

勝ち負けを越えたものを感じた第4ラウンド。
競技でありスポーツであるボクシング…
その殻を一つ一つむいていくと最後に残るのは男同士の殴り合い。
名勝負を見たときに感じる感覚。

二人の殴り合いに、まさにそれを感じてしまった。
誰が何と言おうと名勝負。


松本の足が止まった場面、原田は必ず頭を振って、
相手のパンチを外す動きをしてから拳を突き刺していく。
どれだけその動きを積み重ねたのだろうか。

負け越しの二人が、幸運にもライバルに巡り合い、大きな大きなドラマを描いた4試合。
原田は8月8日に予定される中日本新人王決勝の舞台へと上がる。

スタイルは違えど、どこか同じような愚直さ、純粋さを感じさせる二人だからこそ…
「松本の分まで」を素直に思える。

中日本新人王決勝戦、8月8日のドラマがより大きなストーリーを描くこととなったと感じている。

 

 

【フライ級4回戦】
山崎 隼人(名古屋大橋) vs 加藤 駿希(天熊丸木)

山崎 隼人 3戦2勝(1KO)1敗 サウスポー
加藤 駿希 2戦2敗

1R、ジャブを刺し合う立ち上がり。
お互いにスピード豊かに鋭利に刺し合っていく。
距離が詰まれば鋭利なフックを飛ばし合う緊張感…。
明確な差がない中で静かな1Rが終わる。


2R、距離が詰まったところでクリンチになる場面が増える。
そんな中、加藤がサイドに周ろうとしたタイミングで山崎の左フックが突き刺さる。
ここはなんとかクリンチで凌いだ加藤、試合が大きく動き始める。


3R、距離を詰めていく山崎。
多彩なジャブを持つ加藤が、ジャブを撃たせない距離での戦いとなる。
体で押し合う展開の中…ラウンド中盤、加藤が小さくまとめてつつ
立ち位置をサイドに変えての左フックで山崎のアゴを貫く。

腰からリングに落下する山崎。
思わず「うまい!」と声が出てしまう。

ここは立ち上がった山崎、再開後は前に出てクリンチとなる中、ラウンド終了のゴング。


4R、ダウンポイント挽回したい山崎…果敢に前に出る。
応戦する加藤…押し合いながらの撃ち合いが続く。
小さく拳を撃ち込む加藤の方がヒットを奪っているか。
しかし、ラウンド終盤には山崎が大きく撃ち込んだ右フックをきっかけに
連続で加藤の顔面を捉えて棒立ちに差せる場面も。

試合はお互いが体を押し合う中で終了のゴング。

 

マイジャッジ 39-36

しかし…ダウンがあったラウンド以外は際どいようにも思える。


公式ジャッジ
37-38×2
36-39


3-0 勝者:加藤

 

多彩なジャブ、至近距離での巧みなショート。
天熊丸木の血が加藤に注がれているように感じる。
前評判の高かった選手だったが、デビュー2連敗。

引退を表明したものの、先輩の丸木 凌介(天熊丸木)の活躍を見てリングに復帰。
ここまで歩いた道のりも色濃い選手だと思っている。
ようやくの初勝利、しばらくはその喜びをかみしめる時間に費やして欲しいと思う。


効かせた場面を何度も作りながら、ダウンを奪われての判定負け。
惜しかった…しかし、突きつけられるのは黒星。

ただし、今日の負けを見返すチャンスはちゃんとある。
そしてこの敗北がきっと山崎のドラマの布石となる。
そんなドラマが何度も何度も繰り返されて来たのがボクシングだと思っている。

8/8 中日本新人王決勝に登場する予定の山崎。
彼の物語を体感できるその日を、楽しみに待っていたいと思う。

 

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