2019/08/04 -愛知・刈谷市あいおいホール- 見どころ(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
観戦記の途中ですが、来週…ついに行われる中日本新人王決勝戦。
いったんここでみどころ紹介!
この日、我らが中日本を背負う男が決定する。
これに勝った選手は、西部日本新人王、西日本新人王、東日本新人王と
各地の新人王を総ナメにする戦いへと旅に出る。
東に比べてエントリーの少ない地方の新人王だが、
全日本新人王を獲得するまでの道のりはシビアなものが用意されている。
■中日本ミニマム級新人王決勝
【ミニマム級4回戦】
大畑 龍世(伊豆) vs 丁野 拓海(中日)
大畑 龍世 2戦2勝
最軽量級のファイター大畑が決勝のリングに登場。
デビュー戦で迎えた準決勝では、一回りフレームの大きな相手に対して
前進を続けて距離を潰して押し切った。
さらにこの日までの間に敵地大阪でダウンを奪っての判定勝利。
勢い付いてこの日を迎える。
丁野 拓海 3戦3勝(2KO)
スピードも的確さも、頭一つ抜けているように感じる丁野。
前戦ではライトフライ級の決勝に登場する中村 潔(ARITOMI)を寄せ付けず
圧倒の1RTKO劇を演じている。
スペックでは丁野が大きく上回りそうに感じるが…。
大畑がデビュー戦で見せたような怯まぬ前身で押し切るような展開もあり得ると感じる。
圧力とスピードの勝負…ただし、丁野はスピードだけの選手ではない。
鋭利な丁野の拳に耐えきり、大畑がミッションを遂行できるか…。
それとも、丁野がそのポテンシャルを如何なく発揮するのか…。
僕自身は、丁野は全日本まで勝負できる選手と感じている。
それを勢いのある大畑が押し切ってしまうようなら…
年末に向けて大畑のシンデレラストーリーが加速していく可能性も感じる。
■中日本ライトフライ級新人王決勝
【ライトフライ級4回戦】
田中 蓮志(トコナメ) vs 中村 潔(ARITOMI)
田中 蓮志 3戦1勝(1KO)1敗1分
ポテンシャルは一級品ながら勝負所を読み違えたような撃ち合いで勝利を逃したデビュー2戦。
未勝利のまま迎えた新人王準決勝では元同門対決を制して初勝利を挙げた。
内容としては会心の出来だっただけに、ここから一皮むけた試合を見せて行く選手だと思っている。
抜群のタイミングと切れ味を持つ選手。
中村 潔 10戦3勝(2KO)7敗
中日本きっての頑張り屋が登場する。
戦績通り強い選手ではない…しかし、中村 潔のスタイルはいつだって前進一択。
有力選手との対戦も多く、圧倒される試合もいくつかあったが、
中村の頑張りに消耗し、絶望したような表情を見せるような相手もいた。
その戦いぶりは「明日も頑張ろう」を思わせてくれる。
試合を見てよかったと思えるその姿は、強さだけじゃないプロボクサーの魅力を凝縮させている。
この試合、田中勝利予想が妥当だろうと思えるほど、二人のポテンシャルには差があると感じる。
ただし、中村はしつこいボクシングに巻き込んでしまえば、相当厄介な選手に変化する。
5年に渡って中日本のリングで戦い続けて来た中村が、新顔に一泡吹かせる展開もあり得なくはない。
撃たれるボクサーでもある中村、キャリアも終盤に入ってきていると感じている。
頑張り続けて来た中村に、そろそろボクシングの神様が悪戯を施すような予感も感じてしまう。
■中日本フライ級新人王決勝
【フライ級4回戦】
中村 淳希(市野) vs 小坂 大地(ARITOMI)
中村 淳希 3戦2勝(2KO)1分
三重注目の逸材、中村三兄弟の次男が登場。
三兄弟の中で、リングの上でしっかりと実力を見せているのがこの選手だと感じている。
本番で練習通りの力が出せずに苦しむ選手も多い中、しっかりとその力を本番で見せられるのも強さの一つ。
他の兄弟と比較して、強打に頼らないスピードに乗ったボクシングもまた魅力。
小坂 大地 3戦2敗(1KO)1分
デビュー戦では3度のダウンを喫しながら、倒れなかった2つのラウンドでポイントを獲る試合をした。
あと一歩届かたなかったデビューからの2試合…そして、3戦目ではプロ初の圧倒的な敗北を喫した。
その相手が、この日戦う中村 淳希…リベンジを期する執念に期待。
両者ともに決勝から登場となった二人。
既に組み合わせが決まっている中、二人は4月に一度拳を交えている。
結果は中村が斬って落とす2RTKO勝利。
追うものと追われるもの…あの日からの4か月が、この日のリングで試される。
人工的な布石が打たれたこの試合に向けた物語。
エンディングがどんな結末となるか…それは現実に委ねられる。
■中日本スーパーフライ級新人王決勝
【スーパーフライ級4回戦】
永治 悟志(薬師寺) vs 原 彪真(中日)
永治 悟志 2戦2勝(2KO)
今年の中日本新人王戦、実は全日本新人王に一番近いのはこの選手ではないかと感じている。
スピードで頭一つ抜け、さらに離れた場所でも、近い場所でもそのスピードは削がれない。
センスの塊のようなボクシング、そして相手に襲い掛かる拳は鋭利そのもの。
原 彪真 2戦1勝1分
空手道やジュニアテコンドー選手権での実績を経てボクサーとしてプロデビュー。
今年の新人王戦でデビューすると、華やかな肩書とは裏腹に泥臭く2試合を勝ち上がった。
接戦が続いた分、経験値としては大きなものを得ているようにも感じる。
原は他格闘技で日本一になった実績が示す通り、ポテンシャルの低い選手ではない。
ボクシングのリングでの開花待ち状態にも思える。
この日対戦する永治は新人王戦の大本命とも思える強敵。
これまでの試合以上の実力者を相手に、原が一気に大化けの試合を魅せる可能性も孕んでいる。
■中日本バンタム級新人王決勝
【バンタム級4回戦】
木村 天汰郎(駿河男児) vs テル のび太(緑)
木村 天汰郎 3戦3勝
巧みな立ち位置とテクニック…相手が撃ち出す時にはそこにいない…。
プロデビュー以来、圧倒的な3連勝を飾っている。
A級ボクサーも含めて中日本のトップクラスの才を感じる。
テル のび太 7戦4勝(2KO)2敗1分
生粋のファイターとしては中日本No.1だと感じている。
銀縁眼鏡にひ弱そうな風体で登場し、激熱の爆裂ファイトを展開するのび太。
昨年の中日本新人王は西軍代表決定戦で敗北した借りを今年返せるのか。
アウトボクサーvsファイター。
単純な試合構図としての魅力が存分に詰まったような試合。
万能型が多い昨今のリングで、ここまではっきりと
ボクサーに寄る選手も、ファイターに寄る選手も少なくなっている。
飛び抜けた木村を捕まえられる可能性を持つ中日本の4回戦…
僕の頭の中では、生粋のファイターであるのび太しか思い浮かばない。
お互いにとってハードルとなる試合。
今年のバンタムは、評判のいい前村 隆気(宇部BS)が西部で勝ち上がっている。
また、東でも富山で別格の力を感じさせてくれた竹田 梓(高崎)や、
才能を開花させようとする酒井 大成(角海老宝石)など、有力選手がひしめいている。
強豪たちとの潰し合いに足を踏み入れるのはどちらか…。
ここもまた、楽しみなところ。
■中日本スーパーバンタム級新人王決勝
【スーパーバンタム級4回戦】
中村 龍明(市野) vs 阿部 史也(タキザワ)
中村 龍明 3戦2勝(1KO)1分
中村三兄弟で最も実力があると言われるのがこの選手。
既にA級クラスとも言われるが…過去三戦、その実力はリングの上で発揮されていない。
実力通りをリングで発揮できるか否か、そしてその姿はどれほどのものなのか…。
阿部 史也 5戦3勝(2KO)1敗1分
新人王トーナメント開始前、全日本新人王候補に挙げられるほどの力を発揮していた阿部。
しかし、新人王戦が始まると、その姿は影を潜めているようにも感じる。
それでも、実力者の後藤 憬(中日)を相手にドローながら試合を勝ち抜ける底力を見せている。
実力通りの力がリングで出ていない二人。
しかし、実力さえ発揮できれば、胸を張って全日本新人王候補と言えるだろう二人。
勝敗の全く読めない試合…当日、どちらがより本来に近い姿で現れるか。
■中日本フェザー級新人王決勝
【フェザー級4回戦】
伊藤 敏(蟹江) vs 三輪 珠輝(名古屋大橋)
伊藤 敏 8戦3勝(1KO)4敗1分
「実家はちゃんこ屋」伊藤 敏が、準決勝でハイセンスの太田 奏人(中日)を下して決勝へ。
東京のリングで腕を磨き、2年のブランクを挟んで故郷中日本のリングで復帰した。
三輪 珠輝 10戦5勝(1KO)4敗(1KO)1分
4回戦で二桁の試合数を刻む三輪…その長い道のりを血肉としてきた選手。
一時は椎間板ヘルニアで選手生命の危機に陥りながらもリング復帰。
強さを増してリングに戻って来た。
今年の中日本新人王トーナメントで、最もクレバーな選手。
三輪はクレバーな反面、かつて刈谷を揺らす怒濤の撃ち合いを演じたこともある。
その姿は、ジキルとハイドのように思えたりする。
ジキル博士が追い込まれたら…きっとハイドが顔を出す。
この試合では…いったいどうなるか…。
伊藤は準決勝で優勝候補の一角を下し、ここで実力者三輪まで撃破すれば驚きのシンデレラストーリー。
毎年、新人王トーナメントではシンデレラが登場する…。
蟹江のちゃんこ屋が今年、そのポジションを獲得するストーリーもまた面白い。
■中日本スーパーフェザー級新人王決勝
【スーパーフェザー級4回戦】
岡田 和晃(富士) vs 長谷 和紀(トヤマ)
岡田 和晃 11戦4勝(2KO)7敗
昨年、4年間に及ぶ6連敗を乗り越えた岡田。
負け続ける最中、腐ることなく地道に練習を続けていたと聞く。
昨年、4年ぶりの勝利を飾った試合を見る限り、弱くて負けていた選手ではなかったと感じる。
連敗脱出がきっかけになれば…充分に中日本新人王、そしてその先を狙っていけるハズだ。
長谷 和紀 3戦2勝(1KO)1分
富山県唯一のプロボクサーであり、富山興行では4回戦ながらメインのリングに上がる。
まさに地方を背負いしボクサー。タイミングに秀でた選手に思え、現時点での完成度は高い。
準決勝では高い攻撃力を持つ好選手、樋口 和輝(ARITOMI)を下して決勝へコマを進めている。
負け続ける4年間に腐ることなく戦い続けた岡田。
富山と言う地方を両肩に背負う4回戦ボクサー。
どちらにも色濃い物語を感じる…今年のトーナメントで最もドラマを感じる一戦。
■中日本ライト級新人王決勝
【ライト級4回戦】
神谷 啓太(畑中) vs 松岡 蓮(浜松堀内)
神谷 啓太 4戦2勝(1KO)2敗
松岡 蓮 4戦3勝(3KO)1敗
この試合は、神谷の棄権により、松岡の中日本新人王が決定している。
2017年も決勝で棄権となった神谷…これにめげることなく、
今後のボクサーズロードを歩いて欲しいと感じる。
松岡は2年連続の中日本新人王。
昨年は西部日本新人王との対抗戦で敗れている。
ボクシングにおける絶対的武器であるパンチ力に秀でた選手。
是非とも昨年の悔しさを晴らして欲しい。
■中日本スーパーライト級新人王決勝
【スーパーライト級4回戦】
片岡 晃誠(蟹江) vs 藤田 裕崇(名古屋大橋)
片岡 晃誠 4戦2勝(1KO)2敗
昨年全日本新人王に輝いた橘 ジョージ(協栄)と
紙一重の試合を演じたこともある実力者。
当て感に優れた選手で乱戦には強い。
藤田 裕崇 2戦2勝(2KO)
デビュー2戦で2試合とも即決の1RKO勝利。
早稲田大学ボクシング部ではスーパーホープとしれプロのリングに現れた
岩田 翔吉(帝拳)と腕を磨いている。
漲る自信をそのままシルエットから放つ姿もまた魅力。
デビュー以来、派手な2試合で一気に注目選手となっている藤田。
今年の中日本新人王トーナメントで1番の存在と推すファンもいる。
しかし…「強い奴に強い」そんな存在が片岡。
勢いさえつけば、驚きの結果を持ち帰る可能性も秘めている。
片岡にとって「勝てば勢いがつく」には充分な試合。
果たして…全日本新人王へ挑む資格を得るのはどちらか…。
■中日本ウェルター級新人王決勝
【ウェルター級4回戦】
能嶋 宏弥(薬師寺) vs 村田 望(岐阜ヨコゼキ)
能嶋 宏弥 2戦2勝(1KO)
村田 望 3戦1勝2敗(1KO)
この試合は村田が練習中の怪我による棄権で、能嶋の中日本新人王が決定した。
デビュー戦となった準々決勝では、今年の中日本新人王戦で
No.1の前評判だった上原 大樹(伊豆)にKO勝利。
全国で戦える実力は充分に示している。
【フライ級4回戦】
鈴木 尊虎(トコナメ) vs 山崎 隼人(名古屋大橋)
鈴木 尊虎 デビュー戦
デビュー戦の為、初見。
山崎 隼人 1戦1勝 サウスポー
デビュー戦では11戦ものキャリアを持つ溝口 孝良(西遠)と対戦。
相手のガムシャラなファイトに押し込まれながらも飲み込まれずに
左ストレートで綺麗なヒットを数多く奪って判定勝利を飾った。
歴戦の相手に中間距離を制した姿は見事だったと感じる。
中日本新人王決勝戦の中に、4回戦のオープン戦が組み込まれている。
岐阜でもセミファイナルに登場した山崎。
そして新たに登場するボクサーに出会える試合。
新顔同士の一戦は、来年の新人王戦を楽しむにも、重要な試合だと思っている。
【フライ級8回戦】
村上 勝也(薬師寺) vs 冨田 真(HEIWA)
日本フライ級13位
村上 勝也 9戦7勝(2KO)1敗1分
中日本でタイトルを狙える逸材の一人が前戦でようやく日本ランキングを獲得。
元々スーパーフライ級だったフレームはフライ級では大きい方。
しれっとした顔をしてしれっと勝ってしまう。
安定感は中日本随一。
冨田 真 18戦9勝7敗2分
勝ち負けを繰り返しながら、A級昇格を決めると一気に開花。
出入りのボクシングだった冨田が、熾烈なファイトで日本ランキングを勝ち取った。
元々のテンポの良さに熱量の高いファイトを付加したが…
前戦で村上に敗北し、ランキングを奪われている。
今年3月に行われた試合のリマッチ。
3月時点では冨田が日本13位、村上がノーランカー。
フレームの大きな村上が、冨田を入らせずに完勝した試合となっている。
元々センスの塊のような村上はベルトを期待してもいい選手だと感じている。
ただし、注目されるような選手ではない、一介の4回戦ボクサーだった冨田は
数々の敗北の中で強くなり、日本ランキングまで手に入れた。
一戦目を見る限り、村上の圧勝予想と感じてしまうが…。
冨田の歩いた道のりを思えば、そうは簡単にいかないようにも感じてしまう。
村上はこの試合に勝てば、日本王座挑戦権のある12位以上への浮上が濃厚。
そして冨田は、奪われたランキングを奪い返す戦い…。
全国の新人王と戦う男たちを決めるこの日、
メインイベントもまた、次に全国に羽ばたく選手を決定する戦いとなっている。
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