2018/7/29 -刈谷あいおいホール- 1試合目~3試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【スーパーバンタム級4回戦】
溝越 斗夢(緑) vs 鶴海 高士(寝屋川石田)
・溝越 斗夢 2戦1勝(1KO)1分
・鶴海 高士 3戦2勝(1KO)1敗
1R、ガード低くパンチを見ていく溝越。
距離を詰めて手を出していこうとする鶴海に対し、溝越はしっかりと外しながら向かい合っていたが、
不要に入ったところで被弾する場面も。
ラウンド終盤、溝越は距離を維持しながら、スッと入ってタイミングよく、いきなりの右を突き刺す。
2R、圧力を強め、手を出しながら前進する鶴海。
溝越は徐々に足が鈍り始める…減量苦が聞こえてきていたが、その影響だろうか。
鶴見のパンチに合わせるだけになりつつあったところ。
強烈な打撃音を響かせて溝越の右が突き刺さる。
その後、また同じく強烈に右ストレートを突き刺した溝越。
リングに崩れる鶴海。強烈なダウンシーン。
ここは立ち上がった鶴海…溝越は一気に攻めていくが、溝越も足がまわらない状態。
ここを逃せば…逆にマズくなる可能性も…。
この場面でロープに詰められながらも愚直に拳を突き出していく鶴海に対し
次々とカウンターを突き刺す溝越…何度も鶴海の顔面が跳ね上がり、レフリーが試合をストップ。
TKOタイムは2R 2分32秒。
前進して手を出し続けた鶴海。
隣で見ていた友人は、初めて生で見たボクサーとして彼を強烈に記憶に残したようだった。
試合後の席では鶴海の話ばかり…。
この日、実直なボクシングを見せたが、なかなかいい場面が作れずに試合を終えてしまったように思う。
しかし、その姿を脳裏に残したファンもいる。
また、運命が導くなら、より強くなった姿で刈谷に姿を見せて欲しいと願う。
最後は足が死んでいたように見えた溝越…痛快なKO勝利だったが、その実、薄氷だったと思う。
フットワークをもがれた中で、相手のパンチに次々に合わせていった姿は
持ち合わせたモノの大きさを感じる。
コンディションさえきっちり作れるようになれば…
思えば前戦でも4R…あと一歩のところで消耗してしまっての引分。
優先点で上回られ、新人王を敗退してしまった。
溝越の才能が今後どうなっていくのか…リングの上以外の課題が多いように感じる。
何よりも…全快の溝越が見てみたい。
この試合、僕は溝越の大苦戦だと思っている。
【スーパーフライ級4回戦】
角本 陽平(結花) vs 安西 蓮(岡崎)
角本 陽平 1戦1勝 サウスポー
安西 蓮 2戦1勝(1KO)1敗
1R、足を使って旋回する角本に対し、入って来るところを狙う安西。
角本の入り際にしっかりと左フックを合わせていく。
2R、時折鋭利な右フックで冷やりとさせる角本だが、安西はしっかりカバー。
手数としてはなかなか出ない角本だったが、このラウンド中盤以降、
いきなりの左を突き刺す場面を作り始める。
また、的確に捉えられていた状態だったが、徐々に巧く外し始めてきたようにも思える。
3R、くっついた場面ではうまく腕を折りたたんで攻める安藤。
このラウンド序盤、強烈に右ストレートで捉えると、詰めていってラッシュを仕掛けた安西。
しかし、ここは角本が柔らかくいなす。
試合はまた緊張感のある展開に…と思いきや、突如の場面。
角本が入った場面で、安西が右を撃ち降ろし…効かされてゆっくりリングに沈んだ角本。
立ち上がり、再開に応じるがダメージは深そう。
チャンスに安藤は攻め込んでいくも…ここも角本は柔らかさでいなして、ラウンド終了のゴング。
4R、距離を潰してパンチを振るっていく安西だが、
時折、角本の大きな右フックも安西を捉える。
最後まで足を止めない角本…倒さなければ勝ちのない状況だが…
スタイル的にタイミングのいい一発に頼るしかないか…。
刻々と時間は過ぎて行き…試合終了のゴング。
マイジャッジ 40-35 安西
公式採点は…
40-36、40-35×2
勝者:安西
足を使い、安西を攻めあぐねさせる時間も長かった角本だったが、
なかなか手が出せずにフルマークを許した。
しかし、ここまではっきりとしたアウトボクサーを中日本のリングで見る機会は少ない。
好きな人にはたまらなくなる選手だろうと思う。
4R、追い込まれた状態での選択は、「自分のスタイルを貫くこと」。
ガムシャラに前に出れば違ったかもしれない。
でも…そうじゃなかったかもしれない。
常に選べる道は一つ…そこで自分のスタイルを貫いたことに、美学を感じた気がした。
安西は、デビュー戦の敗北をしっかり糧にしているように感じる。
しかし、2Rには危ない角度のパンチもいくつか被弾。
攻撃力は魅力…それを削がずに、被弾を減らしていけるのか…。
これから長く続いていくだろうボクサーズロード。
そして…来年には新人王へのエントリーもあり得る。
伸び代の大きな選手…初めてこの選手の長いラウンドの試合を見て、今後の活躍がより楽しみになった。
【56kg契約4回戦】
三輪 珠輝(松田) vs 谷口 政治(結花)
三輪 珠輝 7戦3勝(1KO)4敗
谷口 政治 5戦1勝4敗
1R、どっしり構えて三輪が入って来るタイミングを捉えようと狙う谷口。
ネコ科の動物のようにジッと狙いを定め、三輪が入って来るところを強烈な左右フックで襲う。
明らかに狙われている状態に、三輪も手数が少なく見合う時間が長くなる。
2R、三輪が飛び込むと腹から上へ強烈に襲う谷口。
しかし、次に飛び込んだ場面では、三輪が強烈に谷口のボディを襲う。
谷口は右ストレートの引きを遅らせて、三輪の右ストレートを誘い込む。
そこに合わせて左右フックを叩き込む…。
谷口の試合はこれまでの5戦中3戦を見たが…こんな谷口は初めて見る。
強いけれど結果がついて来ていないボクサーだと思っていたが…。
初勝利を経て、その強さは格段に増している。
ラウンド終了直前、大きく振っていく谷口に対し、三輪はもらいながらも強烈に右を突き刺す。
3R中盤、強烈に右ボディを突き刺す三輪。
効いたか…苦しそうな谷口だが、ボディと引き換えに強烈な左右フックを三輪の顔面へ。
しかし…チャンスと見た三輪は徹底的にボディを叩く。
ボディボディボディ…手を出せば叩かれる状態に。
足を使う選手ではない谷口…耐えるしかないところにまで追い込まれる。
4R、自分から攻めていく谷口…待ちに入ればボディを叩かれる。
ボディを叩く三輪、顔面を襲う谷口…。
このラウンドがどちらに流れるか…4Rの攻防が勝敗に直結しそうな展開。
頭を付けた撃ち合いの中、ボディから顔面へ谷口が上下に捉える。
ラスト10秒、これまで以上に大きく左右フックを振るって三輪の顔面を捉えた谷口。
試合終了のゴングが鳴る。
マイジャッジ:39-37 谷口
公式採点が発表される。
39-37、38-39、39-38
…割れた…まさか。
2-1
勝者:三輪
思わず、疑問の声が口から出る…。
2Rと4Rを明確に谷口が獲ったように見えていた。
モヤモヤとした思いが広がる…しかし、別のファンに聞いた感想では、三輪に付けていたとのこと。
割れるべくして割れたということか…。
なんだかホッとして胸をなでおろした
見方や角度によって採点にはブレが出る。
だからこそ、ジャッジが3人いる。
自分の素人採点など、あてにならない。
この試合は…最後にはジャッジ席に”誰が座っていたか”の運に委ねられるほどの大接戦だったということだ。
三輪は強い。
これまでの激戦がそれを証明している。
干場 悟(タイガーウイング)、伊藤 記道(市野)とも真っ向から撃ち合った。
1勝4敗の相手に大苦戦を見せた三輪だったが…。
この日、三輪の前に立ちはだかった大幅負け越しの男が、想像以上に強かっただけのこと。
これで4勝目、B級の資格を手にした。
SB~Feの6回戦…現在、中日本でかなり面白くなっているところ。
また新たな顔がそのステージに現れる。
これからのカードを想像するだけでワクワクしてしまう。
この日の大苦戦、糧にしてほしい。
谷口…これで1勝5敗。
負け試合のデビュー戦を見て、強いと思った。
そこからあれよあれよと4連敗。
倉敷で偶然見ることができた初勝利には嬉しくてたまらなかった。
そしてこの日、刈谷のリングに現れた谷口は一層強かった。
僕は谷口の5敗目に少しドヤ顔気分。
「谷口は、俺の言った通り強かったやろ。」
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