2018/3/25 -刈谷あいおいホール-1試合目~3試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
この日、中止となった試合が3試合。
そのうちの一つが、栗原 祐樹(和光) vs 田代 裕正(三河)のライトフライ級4回戦。
田代の棄権による中止となった。
公式戦開始前に、出番を失った栗原の公開スパーリングが行われる。
相手は日本ライトフライ級11位の矢島 大樹(松田)。
急遽のリングになったとは言え、相手は日本ランカー。
しかし、臆することなく未勝利の4回戦ボーイが攻め込んでいく。
攻めて攻めて攻めまくる…手数で勝負するいつもの栗原のスタイルを、明らかに持て余す矢島。
2分3Rの公開スパーリング、試合が流れた悔しさを晴らすように大健闘を見せた栗原。
試合になれば当然こうは行かないだろうが…これが自信になれば…。
また、楽しみに感じれるボクサーが増えたように感じる。
■中日本スーパーバンタム級新人王準々決勝
【スーパーバンタム級4回戦】
室田 桂秀(畑中) vs 古俣 諒(浜松堀内)
・室田 桂秀 2戦2敗
・古俣 諒 デビュー戦
1R、ゴングとともに前に出る古俣。
密着した撃ち合いが展開される。
押し込んでいくのは古俣の方、下がりながら応戦する室田。
近距離での鋭いパンチを交錯させる両者だが、密着戦では手数で古俣がリードしていく。
ただし、わずかでも距離ができれば、室田の強烈なパンチが古俣を捉える。
一発当たればコンビネーションで連続で古俣にパンチをヒットさせる室田だが、
古俣は手を返して室田を止めると、小さくコツコツ当てて盛り返していく。
2R、距離をつぶして戦いたい古俣と、わずかでも距離が欲しい室田。
このラウンド開始直後、距離がつぶれる前に先に捉えた室田。
ワンツー連打で古俣の顔面を幾度も捉えて行く。
それでも惹かずに古俣が距離を潰すと、強烈なアッパーをきっかけにまた、古俣に流れが渡る。
攻守が目まぐるしく入れ替わる展開。
中盤に入ると、距離が詰まる前に撃ち出してしまった古俣を室田がカウンターで強烈に捉える。
3R、古俣が徐々に消耗し始めたか…室田が連打で捉えるシーンが目立ち始める。
しかし、ミドルレンジで室田のジャブにクロスをかぶせ始めた古俣。
このパンチが何度も室田を捉え、明らかに効かされる室田だったが、
そこから左右フックの連打で試合を盛り返す。
3つのラウンドすべてがどちらに流れてもおかしくないように思える試合。
二人がわずか3Rで抱えたダメージはかなり大きく。
…勝負を分ける最終ラウンドとなる。
手数で上回る古俣、的確さで上回る室田。
室田はハンドスピード含め鈍り始めてくるが…
要所要所で的確さを見せ…そのまま4つ目の際どいラウンドとなり最終のゴング。
超接戦。
マイジャッジは38-38。
判定が発表される。
39-37、37-39、37-39
判定が割れ…勝者、古俣 諒。
今年の中日本新人王戦、5人のデビュー戦選手を送り込んだ浜松堀内ジム。
まずは一人目が1勝を勝ち取る。
デビュー戦で古俣がこの接戦を切り抜けたのは大きいと感じるが…
次戦は4回戦で既に6試合を戦い、負けながらも実力を上げてきた後藤 憬(中日)。
僕が今年の中日本スーパーバンタム級新人王トーナメントで優勝予想に上げている選手である。
最近はカウンターパンチャーとして実力を伸ばしてきているが…元々、近い距離での回転力も持つ選手。
古俣が詰めていったところでの撃ち合いもまた楽しみにできそうだ。
室田はこれでデビューから3連敗。
2度目の新人王エントリーだったが、2連続の初戦敗退。
残るチャンスはあと一度。
相手の距離で苦戦する試合が続いている。
自分の距離を産み出すことさえできれば…この日もわずかにでも距離が空けば、
鋭利なパンチをいくつもヒットさせていた。
自分のやりたい距離で戦うこと…ができるようになってしまえば、
一気に勝利数を重ねていくことになるかもしれない。
ここから来年までにはまだ時間がある…3度目のエントリーに期待して、今年1年の室田を見ていきたい。
■中日本スーパーライト級新人王準決勝
【スーパーライト級4回戦】
近藤 裕真(畑中) vs 片岡 晃誠(蟹江)
・近藤 裕真 3戦1勝(1KO)1敗1分
・片岡 晃誠 3戦2勝(1KO)1敗
1R、どっしりと構える片岡に対し、距離を測りながらボディにストレートを伸ばす近藤。
お互いに少し離れた距離から踏み込んで撃ち込む為、両者の頭が衝突する瞬間も見られる。
終盤、コーナーに追い込んだ近藤がショートレンジの左右フックで片岡にダメージを与える。
想像していたより静かな立ち上がり。
2R、巧く距離を維持しながら、ボディジャブを差し込んでいく近藤。
近づけば左のショートフック…前の手の使い方に格段の進歩を感じる。
片岡は左右のフックを近藤のボディめり込ませるが、
それに合わせた近藤の左右フックが片岡の顔面に突き刺さる。
はじけ飛ぶ片岡の顔面に会場も熱を帯び始める。
3Rのオープニングヒットは、近藤の右に合わせた片岡の強烈なカウンター。
衝撃音が響くほど強烈な一撃…。
しかし、近藤は怯むことなく撃ち返し、近距離での撃ち合いとなる。
揉み合うような至近距離の争いで、的確さで上回った近藤が、片岡のフックに合わせて
カウンターの左フックを振り抜いた刹那…。
腰から崩れ落ちた片岡…なんとか立ち上がったが、ふらつく足取りに、
セコンドからタオルが投げ込まれる。
KOタイムは1分15秒。
片岡はこれで戦績イーブン。
僕が今年の中日本新人王優勝予想に上げていた選手が、初日でトーナメントから姿を消した。
実力的にははっきりと強い選手と言える片岡だが…結果がついて来ない形に。
相手の近藤の出来が良すぎたようにも思える。
近藤は前の手をうまく使って、衝撃のKOを演出したように見えた。
前の手が巧い…それは崩れづらい選手を意味する。
「近藤の大化けに期待」
…今年の中日本新人王戦での一つの注目ポイントとして言い続けてきたことだが、
現実味が増したように思う。
2年連続の中日本新人王に向けてあと1勝。
決勝の相手は冨田 雅季雄(三津山)vs永田 哲也(浜松堀内)の勝者。
6月17日の刈谷で決定する予定となっている。
【スーパーフライ級4回戦】
大林 鮎真(三河) vs 角本 陽平(結花)
・大林 鮎真 デビュー戦
・角本 陽平 デビュー戦 サウスポー
デビュー戦対決となった両者。
ゴングが鳴ると、まず目についたのが角本のスピード。
大林はまともなヒットを奪わせてもらえない。
角本が前に出た右手のアッパーでガードを叩いて、左ストレートを差し込む変則的なワンツー。
これを多用し、何度も大林の顔面を捉えて行く…タイミングも巧い。
2R、サイドへ回りながらパンチを撃ち込んでいく角本。
大林のワンに合わせてダッキングし、そのままサイドに回って強烈な左ストレートを撃ち込む。
撃ち終わりを狙う大林だが、基本通りに撃っては動くを徹底する角本を捉えられない。
3R、角本のサイドへ回りながらの左フックがドンピシャで決まり、大林がダウン。
強烈なダウンシーンだが、大林は諦めずに立ち上がる。
チャンスに攻めて出る角本だが、焦ったのか大きく振りすぎてしまい、
ここは大林がなんとかいなしてラウンド終了のゴングにこぎつける。
4R、距離を詰める大林だが、近い距離になると巧くクリンチに逃れる角本。
このあたりもなかなか巧みで、大林はまともなヒットを奪えないまま時間が経過していく。
レフリーから角本のクリンチに対して注意が与えられるも、ペースを乱すことなく最終のゴング。
マイジャッジは40-35
公式ジャッジも三者とも40-35で角本の勝利。
大林にとってはまともなヒットをほとんど奪えないまま、柔らかさの前にいなされ続けた12分間。
悔しい結果だとは思うが、これを踏まえてどう変化していくか…。
まだプロ生活はスタートしたばかり…、躓いた方が選手のドラマは面白くなる。
ここから始まるその活躍をしっかり見ていきたいと思う。
鳥取からよく遠征してくる結花ジムの選手…勝つところを初めて見れたと思う。
ド地方の新興ジム…こういったジムの選手が活躍することは地方ボクシングのファンとしては嬉しい限り。
必然的に敵地遠征ばかりになってしまう形だが、
その選手を何度も見ていれば愛着は必然的に沸いてしまうもの。
これからも中日本のリングに頻繁に登場してほしい。
中日本の選手と同じように応援していきたいと感じている。
そして、サウスポーの利点を巧みに活かした角本…なかなか面白い存在に感じる。
今年の新人王にはエントリーしていないようだが…来年あたり、新人王対抗戦で姿を見れれば…。
【カテゴリ別】
2018年中日本ボクシング観戦記一覧に戻る
中日本ボクシング観戦記一覧一覧に戻る
カテゴリ別記事一覧に戻る
【日付別】
【記事一覧】2018年3月に戻る
【記事一覧】2018年に戻る
【記事一覧】に戻る
各選手の戦績はこちら。
ボクシング選手名鑑
コメント