2017/11/26 刈谷あいおいホール-1試合目~3試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2017/11/26 刈谷あいおいホール-1試合目~3試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 

【60.0㎏契約4回戦】
岡田 和晃(富士) vs 太田 卓矢(とよはし)

・岡田 和晃 9戦3勝(2KO)6敗
・太田 卓矢 4戦2勝(2KO)1敗1分
 

1年3カ月ぶりの岡田と5年ぶりの太田。

ゴング開始直後から、リング中央で撃ち合い始める二人。
とり溜めた思いをぶつけ合うような戦い。

岡田の強烈な左ボディが突き刺さると
太田はカウンターの右ストレートを叩き込む。

撃ち合いは加熱。
距離を潰さず、お互いに危険な中間距離での攻防。
岡田の強烈な左ボディに、右のガードが下がり始める太田。
岡田が連打で攻め立てるも、撃ち終わると太田が盛り返す。

白熱していく攻防。
岡田のアッパーが太田を捉えたと思った次の瞬間。
太田の右フックがカウンターで炸裂。

強烈なダウンシーンが演出される。
立ちあがった岡田だったが、ダメージは深く、レフリーがそのまま試合をストップ。
 

1R 0:49秒

1分に満たない試合だったとは思えないほど攻防が入れ替わった。
前に出ることで距離を潰して安全圏に行くわけでもなく、後ろに下がることもなく。
最も危険な距離で殴り合った試合。
背筋が凍る思いの49秒は、実際よりずっと長く感じた49秒だった。
 
 

「5年ぶりの試合で緊張しましたけど、勝てて良かったです。応援お願いします。」
太田の勝利者インタビュー。
1試合限りの復帰戦では無さそうでホッとした。
この度胸は見ていて気持ちいい。
強烈なKOシーン含め、鮮烈な試合を見せつけてくれた。
 
 

敗れた岡田…この試合、僕は逆転KOだったと思う。
49秒の間ではあるが、優位に進めていたのは岡田だった。
もらってはいけない1発をもらった…敗因はそれに尽きるだろう。
どちらかがいずれ撃ち込むであろうパンチを先に撃ち込まれた。

これで4回戦での7敗目…負けに負けないで欲しい選手。
こんなところでくじけるな!
また、試合が見たい。
 
 
 

【スーパーライト級4回戦】
片岡 晃誠(蟹江) vs 橘 ジョージ(協栄)

・片岡 晃誠 2戦2勝(1KO)
・橘 ジョージ 5戦2勝3敗
 

距離を詰めて、オーバーハンド気味にガードを周り込むようなフックを叩く橘。
これで幾度も幾度も、片岡のテンプルを捉えていく。
守勢に回る片岡だったが、ラウンド終盤には撃ち合いに持ち込み、
互角に戦えることを示して1Rを終了。
 

2R前半、ワンツーのヒットを皮切りに連打を叩き込んだ片岡。
もつれ合って膝をついてしまった橘に、パンチを当ててしまう。
冷やりとするシーンだったが、橘のダメージは問題なさそう。
注意で試合が再開される。

仕切り直す形で試合が再開。
片岡は一発当たれば後続打もヒットさせていく。
しかし、橘の反撃のボディはかなり強烈。

ラウンド中盤に入ると、ボディから左フックに繋げて橘が盛り返していく。
強烈なボディに腰が浮き、そこにぶつけられるフックで片岡がバランスを崩すシーンが目立つ。
判定にどう響くか…。

前半の片岡優勢を、後半に橘が盛り返しきったのかどうか…ジャッジが割れそうなラウンド。
 

3R、ストレートを幾度もヒットさせて追い込んでいく片岡。
橘はもらいながら反撃…強烈なフックが大きな衝撃音とともに片岡の顔面に着弾。
一方的に片岡が攻めたラウンド前半だったが、またも後半に橘が盛り返す。

右と右が交錯したカウンターで、一瞬意識を飛ばされたかのうように見える片岡。
一旦クリンチに逃れた片岡だったが、ラスト10秒は橘のペース。
 

4R、テンポを上げて攻めていく橘。
ボディから上に返すコンビネーションで片岡に襲い掛かる。
一気にペースを握ったラウンド前半。

しかし、このラウンドは中盤から片岡が盛り返す。
短時間でめまぐるしく攻防を入れ替えながら、
熱戦の言葉がふさわしい殴り合いに発展していく。
そのまま、ラウンド終了のゴング。
 

マイジャッジ 39-37で片岡。

はっきりとしたラウンドは橘が獲った1Rのみだと思えた。
どう流れるかわからない判定…。
 
 

39-38 橘
39-37 片岡
 

…案の定、ジャッジが割れる。
ここまでくれば、ジャッジの席に誰が座っていたかの運。
 
 
 

39-38
 
 
 


 
 
 

橘は序盤、ガードの外を周り込むフックが有効に作用した。
あれで1Rを完璧に獲ったことも大きかったと思うし、毎ラウンドともに終盤を制したのも大きかった。
「KO勝ちは無いが、パンチはある。」
そんな前評判通りの姿を見せてくれた。
 

片岡はやはり当て感に優れた選手だったが…。
強烈なボディから攻略されてしまったような展開。
勝っていておかしくなかった試合、でも、負けでも妥当な試合。
橘は強い選手だったと思う、これで僕の片岡評が揺らぐことはないが…。

どうすれば勝てていたのだろうか…明日から、きっと重い日々が始まる。
悔しさと向き合って悩んで欲しい。
あの相手に負けない選手になれれば、新人王を勝ち抜く姿も浮かぶ。
この負けを糧に、結果を出していけるのかどうかは、時間との勝負のようにも思える。
 
 
 

【スーパーバンタム級4回戦】
太田 奏人(中日) vs 桐林 迅児(HEIWA)

・太田 奏人 1戦1勝
・桐林 迅児 4戦2勝(1KO)2敗
 

試合が始まってすぐに気付く。
強い桐林が帰ってきた。
敗れた2試合、バランスを崩し気味になっていた桐林だったが…
下半身としっかり連動した上半身。
遠征した京都で勝利…フロックじゃなかった。
 

細かくステップを踏みながら、ノーモーションの左を撃ち込んでいくサウスポーの太田。
小さく細かく反撃していく桐林。
1R中盤、もらいながら繰り出した桐林の右ストレートで太田の顔面が跳ね上がる。
 

2R、撃ち合いになったラウンドで目を引くのは太田の小さなアッパー。
細かく細かく撃ち込んでいく…決して大振りにならず、的確に桐林の顔面を捉えていく。
しかし、時折桐林がもらいながら繰り出す右フックがカウンターで突き刺さる。
痛烈に顔面が跳ね上がる太田。
ここまでヒット数では大きく太田がリードしているが、あわやの空気も感じてしまう。
 

3R、前のラウンドより若干距離が離れて、スリリングな位置で戦う二人。
太田がノーモーションの左を叩き込んで桐林を揺らすと、
桐林はサイドに回る太田に左フックを引っ掛け、揺らし返してみせる。
お互いに危険な位置をキープするスレスレの攻防。
ラウンド後半は太田のパンチを巧く外しながら、桐林が大きなフックをぶつけるシーンが目立つ。
 

4R、撃ち合いの熱が増していく最終ラウンド。
ここでは太田の的確なパンチが桐林を飲み込んでいく。
太田のノーモーションの左と、桐林の引っ掛ける左フック。
ここの軍配は太田にあがって最終のゴング。
 

マイジャッジは39-37で太田。
 
 

39-37、39-38、38-38

2-0 
勝者:太田
 
 

この試合、何よりも強い桐林が帰ってきたことが嬉しかった。
負けてしまったけれど、ここから先、とても楽しみ。
デビュー戦で見せた輝きから、今日まで、彼がどんな道を歩いたのか解らないけれど、
きつい連敗があり、遠征での勝ちがあり…そして、今日3敗目を喫した。

「数か月の練習の日々を全否定される」
ボクシングの負けについてそう言うボクサーは多い。
でも、この負けを全否定するのはまだ早い。
きっと次に繋がっていく負けだと思っている。
 
 

前戦で甲斐 貞行(HEIWA)を圧倒した太田。
この試合でもそんな展開があっておかしくないと思っていた。
僕は太田を新人王候補だと思っている…。
その目線で見れば、苦戦した試合なのかもしれない。
…が、”強い”桐林に勝ったことは大きい。
存在の面白さを再認識させてくれた。

来年、この近辺の階級には実力派が集まってくる可能性も充分に考えられる。
大激戦区…来春以降の戦いに今からゾクゾクしてしまう。
 
 

 

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