2017/11/19 じゅうろくプラザ-見どころ(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
さて、いつもは興行直前にアップしている見どころ紹介ですが、
来週日曜日から、岐阜-刈谷-刈谷-刈谷…と4週連続の興行。
さらには金沢でも興行があり、観戦記を書いているうちに次の興行がやってくる状態になること請け合い。
…というわけで、せきちゃん@mosが感じる4週間分の興行の見どころを前倒しして紹介していきます。
ここから一気に年末に向かって色濃くなっていくボクシングシーン。
口火を切るのは岐阜の興行。
なぜかいつも迫力満点の岐阜…その背景にはリング外から声援を送る
激熱ファンの存在があると勝手に思っている。
ピンクの法被の応援団はもはや岐阜のボクシングを彩る名物。
地方ボクシングを感じたいファンには是非見てもらいたい興行です。
熱さとは何なのか、盛り上がるリングにはいったい何が必要なのか…。
そんな答えがたくさん詰まっているとも感じる岐阜興行。
渾身のお奨めです。
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【50.5Kg契約4回戦】
栗原 祐樹(和光) vs 中山 慶伍(駿河)
・栗原 祐樹 1戦1敗
突貫ブルファイターの栗原が第1試合に登場。
ただでさえ迫力の増す岐阜のリングにこの男がトップバッターとなるとワクワクが止まらない。
身長が低く骨格が横に広い栗原は、見た目通りのブルファイター。
止まらない手数で安藤 佳孝(中日)を撃ち合いに引き摺りこんだデビュー戦はたまらなかった。
撃たれても本能でダウンを拒否し続け、最後は力尽きたデビュー戦。
決して巧いボクサーではないからこそ、これから紡ぎ出すドラマが見逃せない。
・中山 慶伍 3戦1勝(1KO)2敗
今年の中日本新人王戦、圧倒的に勝ち上がった近藤 冬真(蟹江)に対し、
左ボディからの右フックで抵抗して見せた。
はっきりとしたサンデーパンチを持つこの選手。
このパンチが生きる距離で勝負するすべが身に付いたなら…
来年の新人王レースで中心を脅かす存在になることも想像できてしまう。
あれから半年…中山がどれだけの積み重ねを得てきたか、期待がこもる試合。
【スーパーフライ級4回戦】
松田 優希(市野) vs 岡﨑 駿一(中日)
・松田 優希 2戦1勝(1KO)1敗
8月に中日本新人王決勝で壮絶なKO負けを喫した”イケメンゴリラ”が再起戦。
中日本新人王を勝ち上がった松浦 克貴(岡崎)は12月の全日本新人王戦にコマを進めている。
あの日、ゴリラのマスクを被って派手な入場を見せた松田だったが…。
懲りずにこの日も見せてもらいたい。
魅力的な強打を持つこの選手、そのうち観衆を引きつける試合を見せつけてくれるはず。
その日の為にも…今のうちにそのキャラクターを刻みつけておいて欲しいところ。
・岡﨑 駿一 1戦1勝
デビュー戦、抜群のクリンチワークを見せた岡﨑。
まるでベテランのようなその試合運びには驚きを隠せなかった。
相手の入り際を捉えながら、入ってくるとクリンチで絡め、離れ際に強烈なパンチを叩き込む。
クリンチというとイメージが悪いが、離れ際に見せる強烈な一撃に、目を離せなくなる。
この選手のクリンチは面白い…そして、そのテクニックは惹きつけてくれる。
次の新人王レースでは、優勝候補の一人に上げられるだろうテクニシャンだと思っている。
【50.0Kg契約4回戦】
稲塲 太一(岐阜ヨコゼキ) vs 中村 潔(ARITOMI)
・稲塲 太一 1戦1敗
デビュー戦では今年の中日本新人王を制したマンモス 和則(薬師寺)の速攻劇に沈んでしまった。
あっという間に終わってしまったデビュー戦、僕はこの選手のボクシングを見ることができていない。
新たなボクサーを見るワクワク感を持って観戦に挑みたいと思う。
・中村 潔 7戦2勝(1KO)5敗
元々はKUWANAボクシングジムで活動していたが、そちらのジムは
アマチュアジムの四日市ボクシングジムと提携し、プロの中村はARITOMIジム所属選手となった。
今年の新人王戦では、一度負けている溝口 孝良(西遠)を相手に、ダウンを奪いながらの悔しい初戦敗退。
しかし、その内容は大激戦と言うに値する壮絶なモノ。
大きく負け越してしまってはいるが、血沸き肉踊る試合を求めるなら、マークしておきたい選手の一人。
【フェザー級4回戦】
菅原 秀馬(市野) vs 高島 裕樹(宮田)
・菅原 秀馬 4戦3勝(2KO)1敗
昨年の中日本新人王戦、抜群の才能を振りまいた菅原の前に立ちはだかったのは、
この日、メインを務める佐伯 瑠壱斗(岐阜ヨコゼキ)。
ハイレベルの一戦は、ほんのわずかな差で佐伯に転がり、その後の佐伯は
岐阜でメインを張るまでに駆け上がっていく。
佐伯との試合以降、順調に2連勝を飾った菅原だが、未だ立場は4回戦。
佐伯との再戦を望む菅原…先を走る佐伯を捕まえる為には足踏みは許されない。
数年後の中日本の黄金カードが実現するのか否か、菅原のボクサーズロードから目を離す手はない。
・高島 裕樹 11戦4勝(3KO)6敗1分
今年の東日本新人王戦は2戦目で敗退しているが、初戦で破ったのは
評価の高かった太田 魁星(E&Jカシアス)。
長い距離を得意とし、パンチもあると聞いた。
中央に比べれば地方はレベルが低いと言う声も聞くが、そんな声を菅原が覆せるのか。
中日本と東日本…全日本新人王戦前の代理戦争の構図とも捉えられる。
このカード…ガチガチのマッチメイクで知られる人物が組んだとも憶測される。
将来が期待される中日本の選手に他地方の負け越し戦績の相手がぶつけられる体裁のいい試合…
なんて見方をしていると、試合内容にぶっ飛ばされてしまう可能性も…。
【60.5㎏契約4回戦】
加藤 道哉(岐阜ヨコゼキ) vs 北川 仁暉(唯心)
・加藤 道哉 1戦1敗
デビュー戦では前田 隆宏(中内)に1RTKO負け。
ブレイク直後の隙をついた前田のワンツーから一気に攻め込まれた。
身体的な力は強い…ここからどう変化を見せていくのか。
素材は持っていると思える選手。
・北川 仁暉 1戦1分
デビュー戦は児玉 宏紀(タキザワ)を前半完封しながら、近い距離での攻防で後半を失っての引分け。
丁寧に戦うアウトボクシングは綺麗の一言。
詰められた時にどう対応できるか…もしくは詰めさせずに封じ込めることができるか…。
この選手の課題が試される一戦。
遠い距離での攻防は抜群なだけに、面白い存在になって行って欲しい選手。
【女子ライトフライ級4回戦】
児玉 このみ(岐阜ヨコゼキ) vs 近藤 佐知子(駿河)
・児玉 このみ 1戦1敗
デビュー戦では現在日本フライ級9位にランクされる鈴木 なな子(ワタナベ)に敗戦。
後楽園ホールでデビュー戦を飾った児玉が、地元岐阜での試合に挑む。
中日本では数少ない女子選手、活躍を期待したいところ。
・近藤 佐知子 1戦1敗
こちらはデビュー戦で現在日本フライ級10位の塩見 寿奈(トコナメ)に敗北。
しかしこの試合はかなりの接戦…マイジャッジは近藤につけている。
しっかり相手の攻撃を外してからのワンツーが目についた。
女子の試合は観戦歴が短く、構図も把握しきれていないが、
中日本で活躍する選手については把握していきたい。
【フライ級4回戦】
溝口 孝良(西遠) vs 十河 正人(MSG平石)
・溝口 孝良 6戦2勝3敗1分
今年の中日本新人王戦は準決勝で敗北。
敗れた試合は全てKO負け、そして勝った試合でも1つはダウンを奪われている。
撃たれ弱さは目につくが、そこからの回復の速さもグラスジョー特有のもの。
スリリングな撃ち合いの中、ダウンからの挽回で逆転勝利を収める試合を見せている。
・十河 正人(MSG平石) 4戦1勝3敗
負け越し戦績だが、中身の濃さは異常。
抜群のセンスを誇る水谷 流(トコナメ)、2016年の全日本新人王を制した戸谷 彰宏(蟹江)、
そして今年の全日本新人王に挑む長井 佑聖(市野)。
ポイント差が開いての負けばかりだが、しつこい手数と前進はスコア以上に相手を苦しめている。
接近戦が土俵の二人が激突。
負け越し同士の試合だが、激戦の匂いが漂うカード。
【スーパーバンタム級4回戦】
久保田 祐介(岐阜ヨコゼキ) vs 後藤 憬(中日)
・久保田 祐介 11戦4勝(2KO)7敗
7度もの敗戦は、今の中日本の中心選手たちに喫したものばかり。
3敗は現在日本ユース王者の水野 拓哉(松田)に喫したモノ。
西日本からB級デビューした宮本 知彰(アポロ)、”日本ランカー級の実力”と言われた
深蔵 和希(HEIWA)や、静岡で存在感を放つメンドサ・ケビン(駿河男児)…
さらに深蔵と大激戦を繰り広げた濱口 人夢(市野)とは1勝1敗。
シビアに戦い抜いてきた7敗はもはや勲章とも思えてしまう。
実力的にはセミファイナルを張るのに充分過ぎる選手だと思っている。
・後藤 憬 5戦2勝3敗
近い距離でのショート連打は魅力的。
さらにカウンターセンスも抜群で、この戦績が信じられない選手。
離れても近くても勝負できる選手で、ポテンシャル自体は抜群に高い選手だと思っている。
近いところでの敗北は、今年の西軍代表決定戦で惜敗した千場 悟(タイガーウイング)や
加賀 聖也(タキザワ)など…新人王レースの中心と目された選手ばかり。
負け越しの実力者がぶつかり合うカード…。
これこそ通っていなければ解らない…マニア生唾のカードだと思ってしまう。
【56.0kg契約8回戦】
佐伯 瑠壱斗(岐阜ヨコゼキ) vs クーキアット・ソーケーオカムシー(タイ)
・佐伯 瑠壱斗 7戦6勝(1KO)1敗
昨年の中日本新人王が早くもメインに登場。
まだ早過ぎる…そんな声が聞こえているし、僕自身もそんな思いはある。
ただし、中心選手が相次いで引退してしまった岐阜に置いて、
佐伯以外に岐阜を背負える選手がいないのも事実。
ある意味、岐阜の中心として、ここから佐伯の物語が始まって行くような感覚も受けている。
西軍代表決定戦では敗北してしまったが、デビュー戦から抜群の輝きを見せた佐伯。
6回戦を順調に乗り切り、この試合でナショナル王者を相手にランク獲りに挑む…。
・クーキアット・ソーケーオカムシー 12戦8勝(4KO)4敗
戦績は判明済みのもののみ。
タイ国王者のルンニルン・ゴーラットスポーツスクール(タイ)から相手が変更された。
判明している戦績のうち、4試合が日本での試合。
日本3連敗で噛ませボクサーと目されたが、前回の試合では劣勢の中、
相手の右目上を切り裂いてのTKO勝利。
アップセットを起こして見せた。
シーサケット・ソールンビサイ(タイ)のローマン・ゴンサレス(ニカラグア)撃破以降、
タイ人ボクサーの雰囲気の変化も感じる。
ここでクーキアットが連続アップセットでも見せようものなら…。
※対戦相手に変更があった為、アップ時の記事からは修正されております。
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メインイベンターとして佐伯が立つ岐阜の興行。
新たな時代の始まりを感じる。
そして、セミに登場する負け越し実力者の久保田。
この二人が作っていく岐阜…その序章をこの目に焼き付けに行く。
そんな思いが強い。
そして何よりも、菅原は佐伯の対角コーナーを射止めることができるのか…。
リマッチを実現させることが可能かどうか…二人が同じリングに立つこの日、
それを見せつけるには充分な下準備は整っていると感じてしまう。
来年の新人王レースを含めて、この興行で形作られる構図も多くある。
決して見逃せないターニングポイントともなる一日。
今からワクワクが抑えきれない。
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