2021/09/05 -静岡・ふじさんめっせ産業交流展示場- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ！
【スーパーフェザー級8回戦】
木村 蓮太朗(駿河男児) vs 齊藤 陽二(角海老宝石)
WBOアジア太平洋フェザー級14位
日本フェザー級19位
木村 蓮太朗 4戦4勝(3KO) サウスポー
日本スーパーフェザー級12位
齊藤 陽二 6戦3勝(3KO)1敗2分
1R、ジャブを突いて距離を取ろうとする木村に対してグイグイ詰めていく齊藤。
木村がコーナーに詰まった場面、いきなり右のショートフックで木村が膝を着く。
齊藤が先制のダウンを奪う。
再開後、またジャブを突いて距離をとる木村、左ストレートを撃ち込むが
齊藤は貰いながら返す刀で、ダウンを奪った右フックを叩き込む。
波乱の幕開け…。
2R開始からジャブを連続で突き続ける木村。
強烈な左ボディも交えていく。
じっとこらえながら、一気に攻め込んでコーナーまで追い込む齊藤だが
木村はクリンチでからめとり、その後もスピーディーなジャブを突き続ける。
3R、変わらずジャブを突き続ける木村。
距離が詰まったところでは強烈なアッパーを叩き込む。
齊藤も木村がサイドへ逃れようとするところに
左フックをひっかけ、ヒヤリとするシーンを演出。
木村が捌いている時間が長くポイントはここでイーブンか。
4R、展開は変わらず、木村が捌いている時間が長くなるが、
はっきりと試合を決める一瞬を狙っている齊藤。
1Rにダウンを奪った鋭い右フックが出される度、
歓声を禁止されているはずの観客席から大きな声が漏れ出す…それほどにスリリング。
そんな中でラウンド終了直前、コーナーに詰めて右ストレートを炸裂させる。
木村、この日2度目のダウン。
5R、ついに撃ち合い始めた木村。
プロ入り後は距離を獲って試合を制してきたが、元来粘り強い撃ち合いの選手。
追い込まれた展開で、ついに本来の姿を現して齊藤に襲い掛かる。
しかし、元々乱戦が土俵の齊藤はかなりタフ。
被弾しながらも、試合を終わらせる可能性のあるパンチを振ってくる。
6R、撃ち合いの強さを発揮し、撃ち勝っていく木村だが
ラウンド終盤には齊藤に下がらされる場面も。
両者ともアマ上がり、それもエリートと呼ばれていい二人。
しかし「アマボク」の先入観的イメージとはかけ離れたファイター同士。
7R、激しい撃ち合いの中にもしっかりとジャブを交えて主導権を握る木村。
木村が右フックで齊藤を棒立ちにさせる。
齋藤もかなりダメージを蓄積…一度倒れれば試合が終わりそうにも思える。
しかし、この試合で2度のダウンを奪っている一撃の威力は健在。
ここまで、マイジャッジは木村の1Pリード。
8R、ラストラウンドに相応しい撃ち合いとなるが、
ここで木村の強烈なボディが何度も齊藤を捉える。
木村が急にスタイルチェンジした5R、巻き込まれたと取ればポイントが逆につく可能性もある。
そうなれば、このラウンドを獲ってもドロー、できることならダウンが欲しいところ。
しかし、齊藤はここを耐えきって試合終了のゴング。
マイジャッジ 76-74 木村
公式ジャッジも76-74が2名、75-75のドローが1名で2-0の木村。
世界を期待される木村が大苦戦…と言うよりも
齊藤という凄いボクサーがいたと言いたい。
名門の習志野から駒大へ…。
アマエリートコースを歩きながら、勝数と同数程度の負数。
B級デビューも、6回戦では1勝1敗2分とプロのリングでも勝ちが遠かった。
これで7戦3勝(3KO)2敗2分、戦績だけ見れば注目選手のものではない。
ただし、リングで魅せた強打と戦いぶりを見れば今後に注目したくなる選手。
試合をその目で見なければ、戦績でわかることなんてほとんどない。
ここまで本来の姿を封印してきた木村。
余分な被弾を受けぬよう、撃ち合いの選手が距離で戦って来た経緯がある。
そして、追い詰められたこの試合、プロのリングで初めて撃ち合いを見せた。
残り全ラウンド取らなければ勝ちがない状況で、全てのラウンドを獲り切った。
地力を感じさせる戦いぶり。
両者の魅力が爆発したような素晴らしい試合。
帰り道、清々しい感覚を与えてくれた。
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