2017/7/16 刈谷あいおいホール-7、8試合目(中日本ボクシング観戦記)　ボクシング選手名鑑ピックアップ！

2017/7/16 刈谷あいおいホール-7、8試合目(中日本ボクシング観戦記)　ボクシング選手名鑑ピックアップ！
 
 
 

【スーパーフェザー級６回戦】
今井 勝典(ワタナベ)　vs　今田 雄大(蟹江)
 

・今井 勝典　16戦5勝8敗(1KO)3分
・今田 雄大　9戦5勝(3KO)2敗2分　サウスポー
 

既にA級のリングに上がっている今井と、
この試合が初めての6回戦となる昨年の中日本新人王の今田。
 

いきなり大砲から入るのが定石となっている、オーソドックスvsサウスポーの戦い。
しかし今田は、1R開始から丁寧にジャブを突いて行く。
ラウンド中盤には今田のワンツーが今井を捉え、ヨロヨロと後退。
ここで仕留めようと焦った今田は、ロープに突っ込んでしまいチャンスを逃す。

このラウンド、バッティングで今田がカット。
 

2R、展開は一旦落ち着くも、変わらず丁寧にジャブを突く今田。
時折、大砲の左から入るシーンも見せ始める。
お互いにあまり足は使わず、固定された距離で試合が展開。
 

3R、機先を制された今井は手が出なくなってしまう。
時折放たれる左右フックに力はあるが、今田がうまく外していく。
ボディへの強烈なパンチもいくつか放っているが、今田の顔色は変わらない。
 

4R、自分から仕掛け始めた今井。
相変わらず、今田のジャブに手は焼いているものの、
圧力を強めたことで今井が押し込む場面も出始める。
 

5R、攻めの姿勢を強めた今井に対し、今田は出入りをし始める。
今田優勢の状況は変わらないが、静かなまま続いていた試合が熱を帯び始める。

強烈なワンツーを効かせて攻め込んだ今田を、今井のショートアッパーが襲うシーンも。
効かされて後ろに下がる今田…この場面はガードとバックステップで乗り切る。
バッティングでカットした傷から大量の血が流れ始める。
 

6R、最後のチャンスにかける今井。
圧を強めてアタックしようとするが、今田はロングレンジでガードを高く上げ、リスクを削って戦う。
距離が詰まれば、クリンチで対処し、確実に勝利を手中にした今田。
 
 

マイジャッジは59-55

59-55、59-55、60-54で3-0。
勝者：今田
 

今井はきっと不完全燃焼じゃないだろうか。
そうさせられてしまったように見える試合。

静かな試合展開が続いたが、そこに今田の強さを見た気がした。
見事に封じたと言える内容だと感じる。
 
 
 

【フライ級６回戦】
村上 勝也(薬師寺)　vs　山本 大智(KTT)
 

・村上 勝也　7戦5勝(1KO)1敗1分
・山本 大智　12戦5勝(3KO)6敗1分
 

勝った方がA級昇格の権利を手に入れる1戦。
 

試合開始とともにスピードに乗った両者の攻防。
フレームでは村上が若干有利だが、山本の出入りのスピードはその差を感じさせない。

めまぐるしく攻防を入れ替えながら進んだ、ラウンド中盤。
山本の入り際に、村上の強烈な左フックが炸裂する。
腰を落とす山本…村上は深追いせず、山本は体制を立て直す。

さらにその30秒程後にもそのシーンは繰り返される。
入ってくる山本をサイドにかわして右アッパーを突き上げた村上。

山本は速い…しかし、村上はもっと速い…。
この時点で、山本は村上のサイドの動きに置いていかれてしまう。
 

2R開始直後、村上が右ストレートを痛打すると、試合は一気に撃ち合いに。
好戦的でスピーディー…テンポのある二人の試合は見ていて爽快。

強くて速いコンビネーションを叩き込む村上。
コーナーに追い込むと一方的に攻めるシーンも…。
徐々にボディが効いてきたか、山本の腰が立ち始める。
 

3R、めまぐるしい攻防の中で、一歩間違えば
相手の意識を刈り取りそうなタイミングのフックをカウンターで放つ山本。
村上は鼻先でこれを躱す…しっかり見えているよう。

中盤には強烈な左フックで山本が揺れる。
 

4R、逆転を狙って出た山本。
その分被弾も増えてしまう。

またも強烈に左フックを浴びせた村上。
完全にサイドを獲った一撃。

ロープに詰められ、一方的な展開の中、まだ手を返していた山本だったが…
レフリーが一旦試合を中断し、山本のダメージを確認。
続行不能と判断されて試合がストップ…。

早過ぎるようにも見えたストップだったが、
コーナーに自力で戻る足がおぼつかない山本。

傍目には気付けないほどのダメージを負っていた山本。
福地レフリー…凄みを感じる裁定。
 

TKOタイムは1:06
 
 

中日本にも続々とホープが産まれているけれど…。
村上がなぜ未だに騒がれていないのだろうか…。
これでA級に昇格し、その実力を多くの人に見てもらう機会が出てくるだろう。

来年あたり、この選手は全国的に騒がれていておかしくないと思う。
えげつなく強い…そして、その小気味いいテンポで試合に引き込まれてしまう。
他のスーパーホープたちに比べれば、KOは少ないけれど…

そのうち他のホープたちをすっかりまくってしまってもおかしくないと思う。
名のない強豪として、ランカー挑戦に苦慮する前に、名のある強豪として認知されて欲しい。
名前のあるなし…それは、ファンが叫ぶかどうかだと思う。

村上は強い。
それもランカーと遜色ないレベルで…。
僕はそう断言したいと思う。
 

山本…一方的な試合になってしまったが、相手が悪すぎたようにも思う。
そのボクシングの魅力は充分に感じることができた。
スピードもあり、カウンターも撃てる。
そして、レフリーが止めるまでダウンを拒否し続けた”根性”。

根性を語るのは好きではないけれど、それなしでは説明がつかないことがある。
この試合の山本 大智は立派だった。
 
 

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