2025/09/14 -愛知・名古屋IGアリーナ- 第1試合~第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2025/09/14 -愛知・名古屋IGアリーナ- 第1試合~第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

【バンタム級4回戦】
綾野 太晴(中日) vs 名和 祐輔(岐阜ヨコゼキ)


お互い固いながらも積極的に攻めていった名和に対し、
綾野の左フックがカウンターで入り、いきなり綾野がダウン奪取。

再開後、名和は前へと出ていく。
強烈な被弾もある中、ダウンを奪われた左に右をかぶせるクロス。
綾野が右ストレートで何度も襲うが、名和は下がらず。
ラウンド終了間際に右ストレートを3つ立て続けに突き刺す。


頭をつけての撃ち合いとなった2R。
至近距離では名和が回転よく綾野を捉えるが、
半歩引けば綾野が危険なパンチを差し込んでいく。

お互いに撃ちつ撃たれの戦いの中、
綾野が左フックで効かせた場面、この試合初めてズルズル下がった名和。
綾野が詰めて攻め、右ストレートを突き刺すと名和の腰が落ちる。

なんとかこらえた名和だったが、レフリーが試合をストップ。


TKOタイムは2R 2分3秒


ダウンを奪われて、前に出た名和。
その強打をいくつももらうスリリングな展開となりながらも、
決して主導権を譲らず、攻撃勝負で真正面から相手を打ち砕いた綾野。

綾野がはっきりとその強さを示した試合と感じる。
そのセンスが開花したわけではないが、高い地力を証明した。

その綾野に、ここまで食い下がった名和。
TKO負けではあったが、ダウンを奪われての完全劣勢の中で
ヒヤリとする一撃を何度も放り込み、真っ向勝負を演じて見せた。


第1試合はただの前座ではない。
その日の会場の空気を決める重要な重要なカード。
中日本4回戦の二人が、この大舞台に相応しい戦いを演じてくれた。
誇らしい気持ちでいっぱいになった。


綾野 太晴 5戦3勝(2KO)2敗
名和 祐輔 8戦2勝(1KO)6敗

 

【スーパーフェザー級8回戦】
英 豪(緑) vs 大畑 俊平(駿河男児)


踏み込んでまとめる場面を作る英豪だが、離れ際に大畑の右が飛ぶ。
タイミングを測り合いながら、出、入り、撃ち出し、撃ち終わり
それぞれで濃厚な駆け引きが繰り返される。
まとめる分、英豪の手数、ヒットが上回った立ち上がりか。


2R、大畑がワンツーで先制すれば、英豪もワンツーで反撃。
鋭く踏み込んで右ストレートを突き刺した大畑。
右クロスをかぶせると見せかけて左を突き刺す英豪。
印象的なヒットは大畑だが、ジャブは英豪か。
際どいラウンド。


3R、左フック、右ストレートと多彩に英豪を襲う大畑。
大畑のジャブが捉える数が増え、英豪のパンチは距離が合わなくなる。
が、分が悪くなりかけると英豪はジャブを突き刺して完全には譲らない。


4R開始すぐ、衝撃的なシーンが訪れる。
お互いに踏み込んで、コンビネーションをぶつけ合ったタイミング。
最後に一つ多く飛んだ大畑の左フックが痛烈に英豪の顔面を貫く。

後頭部を撃つ痛烈なダウン。
立ち上がろうとするも足に来てまともには歩けず。
その姿にレフリーが試合をストップ。


TKOタイムは4R 47秒。


大舞台での劇勝でその名を一気に拡散した大畑。
入場曲は世界王者と被っても気にしない。
ファンに媚びないスタンスも知られたように思う。

3Rあたりから、英豪のパンチがジャストミートしなくなり始めた。
大畑がタイミングを外し始めたと言えるようにも思える。
立ち上がりは英豪が上回ったようにも思えた。
特に大畑は生命線であるジャブで上回ったことで暗雲立ち込める立ち上がりとなった。

しかし、タイミングを変え、試合展開を変え、そのうえでのKO勝ち。
採点的には劣勢からの逆転KOかもしれないが、
一発で逆転した試合ではなく、主導権を握った上でのKOに見えた。

はっきりとした決着。
どちらかが勝ち、どちらかが負ける勝負事。

タイトル戦を望んでいた英豪だったが、まだ早かったと言わざる得ない現実。
この結果をどう受け止め、どう変化していくか。

英豪は充分に強い、しかし、まだ足りない。
1番強いやつが、チャンピオンになる。
強くなる…英豪がこの負けから、満点回答を出してくれることに期待したい。


英 豪 6戦5勝(2KO)1敗
大畑 俊平 8戦7勝(4KO)1敗

 

■日本ライト級王座決定戦
【ライト級10回戦】
村上 雄大(角海老宝石) vs 今永 虎雅(大橋)


ジャブの差し合いで立ち上がったサウスポー同士の試合。
大砲の左につなげる頻度は村上の方が多いか。
今永は大砲をボディへ持っていく展開。

2R開始直後から見切ったように村上のジャブに踏み込んで襲い始める今永。
距離を詰めてからパンチをまとめる村上だが、今永はガードで受け止める。
ジャブに合わされることで、村上の手が減り始める。

3R開始早々左ストレートに左ストレートを合わせる今永の危険なカウンター。
踏み込んだ後の今永の左が多彩になってくる。
長い距離でジャブで上回られた村上、至近距離に活路を求めるか。
前に出て撃ち合おうとする場面が増える。

4R、前に出る村上だが、多彩で強烈なパンチに襲われるが、
もらいながらも撃ち返していく…無傷の攻防は選択肢から捨てたかのような
腹をくくった戦いぶりで今永を捉えに行く。

中盤いったん距離を取る者の、ラウンド終盤にはまた踏み込んだ村上。
撃ち勝っているのは今永だが、もらってでも打つ村上が可能性を見出していく。

5R、じっと見始めた今永に対し、踏み込んでいく村上。
ラウンド中盤には今永が狙いすましたように効かせると
一気にパンチをまとめて滅多打ちにしていく。

強烈なパンチが襲い掛かる中、もちろん被弾は重なるが、
落ち着いて、その数を最小限に抑える村上。
タフネスも相まって、ここを乗り切っていく。

ここで、公開採点

マイジャッジは
50-45 今永

公式ジャッジも50-45×3

6R、まるで4回戦ボクサーのようにがむしゃらに前に出た村上。
相打ち上等…どころか5発もらっても1発当たればいいというような戦いぶり。
キャリアでKO勝ちのない村上が、逆転の一撃にかけていく。

7R、今永のパンチが強烈に村上を捉える展開は変わらないが、
もらいながらも返していく村上。
大量の強烈な被弾を浴びながらも、村上に疲弊はなし。
村上がクリーンヒットを奪うシーンが少しずつ増え始める。

8R、捨て身とも見える村上だが、反応しているパンチも多く
ただ自身のタフネスに頼っているだけのようには思えない。
上下に強烈に被弾しながらも、残り僅かになった劣勢の試合、
逆転勝利に挑んでいく。

9R、詰めるまで強烈な被弾を浴びながら、詰めてまとめる場面を増やした村上。
終盤にはタイミングをずらしたようなスローの左オーバーハンドで今永を捉え
その後に一気にパンチをまとめる。
しかし、冷静にガードしてここをやりすごす今永。

10R、コンビネーションで村上を襲う今永。
大量に被弾しながら、返すパンチで今永の顔面が跳ね上がるシーンも。
明らかにダメージがあるのは村上の方だが、お構いなしに攻め込んでいく。
村上が撃ち合いに巻き込むような形の中で、試合終了のゴング。

マイジャッジ 99-91 今永

公式ジャッジ
99-91
100-90×2

3-0 勝者:今永

単純にタフなだけではなかった村上。
強烈に被弾しても、わずかにでも反応して首をひねるなどダメージを殺し。
怖くなるような被弾の数の中でも、ダメージをあらわにすることもなかった。

相手の長所を潰してしまう技巧派が、劣勢の試合展開の中、
逆転にかけて、被弾覚悟の前進を見せた姿には鳥肌が立った。
これを今永相手にやってしまうことに震えが来た。
日本トップ戦線で戦う男の、強さを見せつけられたように思う。

そして、そんな村上を結果的に圧倒して制した今永。
捨て身の村上に慌てることなく、リスクをほとんど犯さずに上回り続けた。
強い強い日本王者が誕生した。
この試合を「テスト」とも口にした今永…視線はのちの世界へと向いているだろう。

ここから世界ランキングを手に入れ、その先へ…。
しかし、その過程は決して安易なものではない。
クセのある選手たちが揃う日本ランキング。
その王者として相応しいのかどうか、その証明はまだこれからとも思える。


村上 雄大 10戦6勝3敗1分
今永 虎雅 9戦9勝(5KO)

 

 

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