天才陥落 ソット・チタラダ(タイ)③ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/05/01

天才陥落 ソット・チタラダ(タイ)③ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/05/01
 
 

さて…ソット・チタラダ(タイ)の三日目。
 

ピークを迎え、リングを華麗に舞い踊ったソットが、夜遊びに溺れ始めた頃。
ソットが来日し、日本のファンの前についにその姿を現します。
 
 

5度目の防衛戦、ソットが唯一日本で行った試合。
神代 英明(グリーンツダ)戦。
 
 

プロ転向後わずか8戦目の神代。
この頃のグリーンツダジムはジムにチャンスが転がっていると言われるほど、
積極的なマッチメイクを行っており…

神代は世界ランキング9位ながら、強さの鳴り響くソットに対して
この戦いは無謀なミスマッチとして後世まで語られています。

しかしこの試合…序盤の様子見の時間帯、そして撃ち合いとなった2R。
実は互角の展開を見せている神代…。
ソットの華麗なステップは影も形も見られず。

しかし…2R後半に右目を深くカット。

片方の視界を失うと、展開は圧倒的。
ソットの強い右ストレートが的確に神代を捉えていきます。
ジャブで執拗に傷口を狙い、虚をついた右で神代を捉えていく。

フットワークにいつもの冴えは無くとも、
高水準のヘッドスリップやスウェー、そしてハンドスピードは健在。
傷をかばって戦う神代に対して、前へ出るソット。

アッパーを撃ち込んで、高速のステップでサイドへ周ってのワンツー…。
このコンビネーションが一度も出ず…というよりはアッパーさえなかなか出ない。
苛立ちからか、もつれ合いから投げを繰り出し、プッシングで膝をつかせ…。

コンディションの悪さを伺わせます。
 

そんなソットであってもソット・チタラダはソット・チタラダ。
展開を一方的に押さえると、7R終了後、新たに右目にも傷を作っていた神代陣営がギブアップ。

この頃は情報も少なく、ネットで検索して動画を見るなんてことができない時代。
状態の悪いソットでも…その実力に対して、日本で上がる驚愕の声。

もしベルナル第3戦や、カスティーリョ戦のソットを見ることができていたら…。
ソットに対して期待外れの声が上がったかもしれません。
 
 

6度目の防衛戦になると、ソットのコンディション不良は最悪の物に…。
当日になって一気に体重を落とすという暴挙に出たソット。
試合中には極度の脱水症状に陥ったと言います。

相手はキム・ヨンガン(韓)
このピックアップで何度出てくるのか…。
それだけ歴戦の猛者達と手を合わせたということ。

遡って振り返れば脇役なのかもしれませんが…こういうボクサーがいてこそなんですよね。
 

さて、この試合オープニングヒットはヨンガンの左フック。
しかしこれはレフリーがストップをかけた後…。
反則打です。

それに対してソットのオープニングは…肘…。
偶然当たったかもしれませんが…しかしオープニングヒットの経緯からいくと…狙ったようにも思えます。

ヨンガンがソットの周りをサークリングし、お互いの手数が少ない序盤。
わずかな差でソットにポイントが流れそうな前半の3つのラウンドを終えた後…
事件は突然起こります。

4Rにヨンガンが放った右のオーバーハンドがソットを直撃。
あと少しで尻もちをつきそうなところまでしゃがみ込むダメージ。
ヨンガン…即座に上から押さえつけて、なりふり構わずダウンにしようと試みますが
ここはソットがなんとか持ち直します…が、被ったダメージは甚大。

避ける技術が高い為に、ガードの甘いソットは反応が鈍ると致命的。
面白いようにヨンガンの右のビッグヒットをもらってしまう。
なんとかこのラウンドを乗り切ったソット。
10-8がついてもおかしくないラウンドでした。

5R、一気に詰めにかかるかと思われたヨンガンですが
また足を使ったボクシングに戻します。
これがソットに休息の時間を与え…。

展開は1R~3Rに逆戻り。

しかし7R以降、コンディションに問題を抱えるソットは動きが鈍くなり…
手数を増やしたヨンガンに捉えられていきます。
ヨンガンの飛び込みざまに、頭が直撃するシーンも度々あり…
全開のソットなら抜群のフットワークで体ごと避けていたのでしょうが…。

9R以降には撃ち合いに出たヨンガン。
一進一退の展開ですが、ヨンガンのボディにガードが下がるソット…。
みるみる消耗していきます。
 

結果、ヨンガンの3-0判定勝利。

荒れ気味の試合展開…ソットの不調はあったものの、
それでもこの結果を勝ち取ったヨンガンは凄い。

明らかに後半勝負の作戦をそのまま実行しきったこと、
注文通りにソットを消耗させたこと…。
素晴らしい世界王者です。
 
 
 

さて、自らの不摂生がたたり、王座を失ったソット。
しかしながらこれで終わりではなく…ここからキャリア後期を迎えます。

そしてそこには…語り継がれる「悲しき戦い」。
 

その辺り…また次回。
 
 

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