2024/5/5 -三重・AGF鈴鹿体育館- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ！
【58.1kg契約8回戦】
濱口 人夢(市野) vs 飯見 嵐(LUSH緑)
体重を守れなかった飯見に対し、ゴング前、「全力で来いよ！」と叫び散らす濱口。
当日計量での戻し制限で試合は成立したが、飯見側には負い目のある一戦。
その負い目を拭い去っての真剣勝負を望む言動だ。
ゴングが鳴ると積極的に攻め込む濱口。
時折ジャブを撃ちながら、撃ち終わりにその強打を振るう飯見だがその数は少なく空を切る。
ラウンド終盤、コーナーで連打を見せた濱口、思い切り振り抜いた拳をヒットさせる。
インターバル中、リングをまわりながらお客さんを煽っていく。
最後の試合も常軌を逸した濱口ムーブ。
2Rに入ると変則的に詰めていく濱口に、足を使う飯見。
飯見の左フックが強烈に濱口を捉えるが怯まず、
左アッパーを連打で叩き込み、右をぶん回してボディをえぐる。
飯見も撃ち終わりを右ストレートをで捉えてみせる。
濱口は「来い！」のジェスチャー。
3Rに入ると飯見が前に出る。
撃ち合いになる中、濱口が飛び上がりながらのアッパーを見せると
飯見が右をぶん回して濱口のボディをえぐる。
4Rには頭をつけての撃ち合いの時間も長くなる中、
飯見の強打を上体柔らかく、上ではもらわない濱口。
下をその強打でえぐる飯見に対し、濱口はジャンプしながらのアッパーなど
トリッキーに捉え、飯見を翻弄して行く。
5R、押し込みながら襲い始めた飯見。
攻勢を強める飯見に、押し込まれる濱口だったが、
距離が空いた場面、飛び込みながら右を撃ち込んだ濱口。
飯見がバランスを崩した所に、体ごと行っていたため、
濱口と足が絡まり、もつれあうように二人が倒れ込む。
後頭部を強く打った飯見。
裁定はプッシングによるスリップダウン。
後頭部を強打し、ダメージの深い飯見に5分間の休息が与えられる。
続行に応じた飯見。
再開後、押し合いながらスリリングに強打で捉え合う両者。
濱口がラウンド終了間際に連打で効かせ、飯見が組み付いてもつれあうように
リングに二人が倒れ込んでラウンド終了。
6R、左右ストレートの連打で飯見を撃ちつける濱口。
押し合う時間が長くなる密着戦、飯見が強烈にボディをえぐる。
濱口が右を振り抜いて捉えた直後、押し合いの中で二人はロープを越えてリング外へ。
再開直後、濱口のぐるぐるパンチが突き刺さり、飯見がダウン。
立ち上がったところでラウンドが終了。
7R、押し合いの中、飯見が空振りで体が流れたところに、濱口の渾身の左フックがヒット。
そのままロープに押し付けて猛ラッシュ…手が出なくなった飯見をここでレフリーが救出。
TKOタイムは7R 2分18秒
相変わらずひっちゃかめっちゃかの濱口の試合。
勝利の瞬間、ロープに登って喜びを爆発させたまま、リング外へ落下して行った濱口。
突如として消えた主役は、リングサイドのJBC席の上でひっくりかえった兜虫のようにもがいていた。
毎度毎度のことながらお客さんを煽る姿もあり、ラフと見られがちな濱口のボクシングだが、
プッシングの場面も、撃った後に体を預けたところでもつれ合ったもの。
両者がもつれ合ってリングに倒れる場面は多々あったが、特に投げたような場面もない。
レフリーもプッシングとして飯見に休息は与えたが、悪質な反則とは取らず、減点もなかった。
初見の観客には濱口が傍若無人に見えたかもしれない。
5分間の休息の間には観客と口喧嘩まで始めた。
態度がよくは見えないだろう。
ただ、濱口は濱口のボクシングを飯見にぶつけて行った。
飯見もそれに答えたように思えた。
後頭部を強打するトラブル、5分間で回復できていたかは定かではない。
それでも、再開に応じて濱口と対峙していった。
ボクシングスタイルも、振る舞いも、叫びもひっちゃかめっちゃか。
でも、それでいいと思った。
濱口の最後を、飯見が受け止めてくれた。
あんなもの受け止めるには、それ相応の度量がいる。
飯見にはその度量があった。
二人ともカッコ良かった。
それが全てだと思う。
あんなものボクシングじゃないと言われるかもしれない。
だけど、ボクシングより人間が大事。
ボクシングが濱口 人夢という大馬鹿を救った物語がこの日完結。
勝利者インタビューまで含めて、映像を見てもらいたい。
人体を痛めつけるおかしなスポーツ「ボクシング」。
そんなおかしなものがこの世界に存在する意味が、濱口 人夢のボクサーズロードにあるように思う。
濱口 人夢 17戦7勝(1KO)8敗2分
飯見 嵐 15戦7勝(7KO)8敗
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