2019/12/15 -愛知・刈谷あいおいホール- 第1試合、第2試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ！
【フェザー級4回戦】
中村 龍明(市野) vs 高橋 利之(湘南山神)
中村 龍明 4戦2勝(1KO)1敗1分
高橋 利之 6戦3勝(2KO)3敗
1R、静かに左を刺し合う立ち上がり。高橋のジャブはスピードもあり鋭い。
高橋の左フックにしっかり反応してガードを挟む中村。
オープニングヒットはお互いの左フックが相打ち…より深く入ったのは高橋の拳。
左ボディジャブから右フックを差し込んで行く中村だが、
またも二人の左フックが相打ちの場面が訪れる。
…高橋の左フックのタイミングが合っている。
ラウンド中盤、ワンツーを突き刺した高橋に対して、
右ストレートでやり返した中村だが、高橋は左右フックを強烈に返す。
ラウンド終盤、中村が右フック、右ストレートで強烈に捉えてこのラウンドが終了。
2R序盤、足を使ってポジションを変えながら戦う中村に対し、じわりじわりと詰める高橋。
ロープ際で高橋が強烈に中村の顔面を捉える場面も。
高橋の左フックが何度も中村を捉え、そこからさらに次のパンチに繋がる。
ラウンド終盤、中村は小さい幅の出入りで撃ち合い始める。
3R、近距離で撃ち合う場面、強烈にボディをえぐり合う二人。
ぐいぐい圧力を強める高橋に、迎え撃つように強烈に捉える中村だが…。
高橋は引かずに前へ前へと足を進めていく。
後半、近い距離で鋭利に振るわれる高橋のアッパーに背筋が冷たくなる。
4R、お互いに前に出る二人、強烈に腹をえぐった中村。
拮抗し続けた試合、ここに来て初めてはっきりと中村が優勢に立つ。
頭を着けての撃ち合いになると、強烈な左ボディから顔面に繋げる中村。
明らかにボディを嫌がる高橋に対し、コンビネーションを浴びせて山場を作ると、
最後の数十秒…足を使いながらリスクを削ってポイントアウトするように試合終了のゴング。
片手を挙げて勝利を確信する中村。
本人は手ごたえがあったか…確かに4Rは獲ったと感じたが、試合を通せば際どいように感じる。
マイジャッジ 38-38 ドロー
公式ジャッジ…
39-38 中村
40-37 高橋
割れた…
39-37 中村
2-1
勝者：中村
高橋はこれで負け越し戦績だが、ジャブ、左フック…さらに密着した場面でのアッパー。
どれもスピードがあり、鋭利な代物。
明らかに強い…しかし、戦績がその強さに伴わない選手はいつも一定数いる。
中日本のリングで言えば、三輪 珠輝(名古屋大橋)や後藤 憬(中日)が当てはまる。
将来チャンピオンになるもの、勝てずに辞めていくもの、
チャンピオンになれる可能性を持ちながら、道半ばにリングを去るもの…。
そういった選手たちが混在するのが4回戦のリング。
4回戦だからレベルが低いというわけではない。
強い相手と数多く戦えば、戦績は悪くなる。
この試合で負け越しだが、勝ちと出てもおかしくない試合だった。
この選手が6回戦へ…8回戦へ登った頃、もう一度見てみたい。
きっと「結果」を残しているだろうと感じる。
この日、結果としては薄氷の勝利となった中村。
圧倒的な強さを見せるには至らず…しかし、その原因は高橋の強さだったように思う。
戦績に見合わず、上で充分に勝負できる力を持つ相手。
その相手に対し、4R目の戦いぶりは見事だったように思う。
しっかりと見せ場を作ったあとは、リスクを削って足を使った。
あれがしっかりとできれば、ラウンド数が倍に伸びるA級戦線でも
勝って行ける選手になるように思う。
中村がそこに到達するにはまだ数年…。
三重のリングを背負うべき男が勝ち上がっていく…。
そんな未来予想図を垣間見たように感じる。
【スーパーフライ級4回戦】
美濃 巧人(とよはし) vs 平井 乃智(寝屋川石田)
美濃 巧人 デビュー戦
平井 乃智 2戦1勝1敗
この試合は残念ながら美濃の棄権による中止。
練習中の眼底骨折によるもの。
【64.0kg契約4回戦】
高畠 愛大(タキザワ) vs 村田 望(岐阜ヨコゼキ)
高畠 愛大 2戦2勝
村田 望 3戦1勝2敗
ゴングから飛び出していった高畠。二人がいきなり撃ち合いに。
体で押し込みながら左ボディを叩きつける村田に対し、
下から突き上げるように、強烈な左右アッパーで捉える高畠。
少し距離があれば、高畠の左アッパー、左フックが一方的に突き刺さる。
密着した場面では、村田の力のこもった左ボディが突き刺さる。
ラウンド中盤には低い体勢で押し込んでくる村田に、
先に先に手を出す高畠のパンチが一方的に村田を捉える時間が訪れるも
終盤に入る頃には両者腹の削り合いに発展していく。
2R、激しく撃ち合う中、もらいながら撃ち込んだ村田の右フックで高畠の顔面が弾かれる。
撃ち合いの中、村田の右ストレートに合わせた高畠の左フックが刺さると
一瞬ガクっと膝を折る村田だが、相手に体を預けるように距離を潰して窮地を乗り切ると、
また愚直に左ボディを繰り返していく。
後半、逆にボディをえぐっていく高畠。
鼻血を吹き出し、苦しそうな村田。
3R、ガードを固めて愚直に前進する村田。
時折高畠の腹を捉える左ボディは若干オープン気味になることもあるが、
しっかり刺さるときにはズドンと大きな音を立てる。
中盤に入る頃、逆に左右ボディでえぐり返した高畠。
村田の左ボディに合わせて高畠が村田の顔面を襲っても
村田は恐れることなく、自身の得意パンチを撃ちに行く。
4R、激しく撃ち合い始める二人。
村田の右ストレートが高畠を捉える場面もあるが、
高畠がコンビネーションで捉えて行く展開。
高畠が左右ボディで村田の腹をえぐると、村田の動きが一瞬止まる。
それでも、詰めて左ボディを繰り返す村田。
試合はそのまま試合終了のゴング。
マイジャッジ 40-36
公式ジャッジ
40-36×３ 高畠
独特のタイミングを持つ村田に対し、高畠がフルマークの完勝。
村田の右を食う場面はほとんどなかった。
無傷の3連勝、鋭利なアッパーはファイターの前進を阻む強烈な武器。
来年の新人王のエントリーはあるのだろうか…。
契約体重での3試合、参戦するならスーパーライトか、ウェルターか…。
デビュー3連勝でも、中日本を制することができるかは不透明。
両階級とも、エントリーの可能性がある有望選手が複数いる。
高畠もまた、その一人…。
トーナメントの顔ぶれを想像するだけでワクワクさせてくれる。
この日は完敗の村田。
しかし、愚直に前進し、左ボディを叩きつけ続けた。
自身のサンデーパンチを叩き込むために、いくつものパンチを浴び、
時には膝を折り、ボディに耐えながら、ひたすらに可能性に賭け続けた。
まだまだ伸び代ばかりのボクサー。
ここから、強くなる要素はいくらでもある。
この日の試合に関しては…。
感動した。
その一言に尽きるように思えた。
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