2019/09/15 -愛知・刈谷あいおいホール(二部)- 1試合目、2試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ！
【62.5kg契約4回戦】
下田 一貴(天熊丸木) vs 村田 翼(和光)
下田 一貴 2戦1勝(1KO)1敗 サウスポー
村田 翼 1戦1敗
キビキビと左を刺し合う中、下田がボディへのストレートを入れると、
村田もボディへのストレートでやり返す。
ワンツーを撃ち込んで詰めていくシーンを作った村田。
そのまま組み付いた場面で、下田は強引に拳を捻じ込む。
ラウンド終盤には入って来る村田に左ストレートを突き刺した下田。
2R、組み付いたところに強烈に左フック、左ボディを捻じ込んでいく下田だが
離れ際、村田が強烈に右ストレートを撃ち込んで下田が揺れる。
村田が一発当てればパンチを纏め、下田がクリンチに逃れる。
しかし、その離れ際にまた村田が下田を捉える…。
何度かこの展開を繰り返す中、ラウンド終盤には激しい撃ち合い。
村田が下田のボディを捉えると、村田はボディへ集中砲火。
そんな中、村田の上に返したパンチが下田の後頭部を撃ってしまい、下田に休息が与えられる…。
ボディが効いていたように見えた下田にとってはやや幸運だったか。
再開後は、撃ち合いの中、両者顔面を跳ね上げあってこのラウンドが終了。
3R、組み付くシーンが増える中、下田の左アッパーにカウンターで村田の右フックが炸裂。
ここでロープに詰めてガードの上から村田がパンチを集める中、強烈に左ボディをえぐり、
さらに体をくの字に曲げた下田に、村田がアッパーを突き上げる。
村田の止まらぬ手数に、下田は手が出なくなり、レフリーが試合をストップ。
TKOタイムは3R 2分9秒
これで2連敗となった下田だが…
デビュー戦で相手を失神KOさせた綺麗な左ストレートは忘れられない。
効かされた場面でムキにならずにクリンチができる冷静さもあり、
ここから勝っていける要素は充分にある選手だと思える。
クリンチの離れ際を狙われたこの試合、はっきりと課題が見える試合だっただけに
次の試合に強く期待したいと感じる。
村田にとってはデビュー戦に続いて、この試合も急なセットとなった試合。
「いつでも行けるように準備している」
この手の選手は試合のキャンセルに対するハードルの低い米大陸に多くいる。
代役としてチャンスを狙うため、体重をキープし、チャンスが訪れれば躊躇なくリングに上がる。
そしてアップセットと言われる試合を演出し、その名を浮上させる。
国内では珍しい村田のスタンスはA級に上がれば、大きなチャンスに巡り合えるものだと思っている。
また、その技術豊かなボクシングスタイル自体も長いラウンドの方が適しているように感じる。
早くA級に上がって欲しいボクサー。
常にチャンスを狙う「中日本のハイエナ」。
きっとここから中日本のリングで活躍した印象深いボクサーとして
その名を残してくれるはずだと感じている。
【ライトフライ級4回戦】
後藤 圭人(タキザワ) vs 各務 海都(尾張水野)
後藤 圭人 3戦1勝1敗1分
各務 海都 1戦1勝 サウスポー
各務のジャブに後藤が右を合わせたのがオープニングヒット。
踏み込んで距離を潰して左フックと右ボディの繰り返しで強烈にヒットを奪う各務。
しかし今度は後藤が右ストレートから左フックで捉えてみせる。
やったらやり返す展開の中、各務が右フックからの左ストレートで痛烈なダウンを奪う。
立ち上がった後藤、ダメージをそれ程感じさせずに撃ち合いに挑むが、
今度は各務の右フックが刺さってこのラウンド2度目のダウン。
立ち上がった後藤、またも撃ち合いに挑み、カウンターで強烈に各務の顔面を捉えてラウンドが終了。
2R開始からまたも激しく撃ち合い…シャープに捉える後藤だが、
大きく振るう各務の強烈な右フックが後藤の顔面を襲う。
ラウンド序盤には後藤が左目上をカット。
ドクターチェックは続行だが、その後も距離を潰して大きく振るう各務のパンチを食う。
倒さなければ勝ちはない…2度のダウンを奪われ、退く選択肢を失っている後藤は
顔面を知に染めながら、各務との激しい撃ち合いに身を投じる。
両者の撃ち合いは激しさを増し、消耗戦の様相も呈する…。
ハイペースすぎる展開、ラウンド終盤にはまるで世界戦の後半のように両者疲弊を見せ始める。
3Rもまた激しく撃ち合う二人。
後藤の左フックで躓いたようにリングに手を着いた各務。
ダウンと獲られてもおかしくないタイミングだったが、ここはスリップ。
再開後も激しさは収まらず、ド突き合いの中、各務の大きなフックが捉える場面が目立つ。
後藤の流血が激しさを増す中、ドクターチェックが入るも続行。
新たなカットも増えたか、後藤の顔面は大量の血に染まり、各務も返り血で真っ赤に染まる。
4R開始前、インターバル中にも再度ドクターのチェックが入る。
いつ試合が止まるか…そんな状況の中で4R開始。
スピードのあるはずの後藤は疲弊からその武器を削がれているが、
勝つためには倒すしかない展開。撃ち合うしかない…。
お互い押し合いながらスローモーな撃ち合いとなるが…。
各務の左右フックが強烈に後藤を捉えたところで
レフリーが割って入って試合がストップ。
TKOタイムは4R 1分14秒。
スピードで上回る相手との距離を潰し、思い切りよく左右のフックを突き刺していった各務。
後藤のテクニックとスピードをねじ伏せた試合。
序盤にダウンを奪えたことも、展開を有利に運んだが、はっきりとポイントで有利に立った後も
しっかりと撃ち合いを貫いていったことで、主導権を譲らなかった。
前戦に引き続き後半に消耗したことは課題だと感じるが、
試合展開として仕方ないケースだったようにも感じる。
攻撃力を維持したまま、後半の失速を招かないペース配分さえできれば、
かなりいいところまで登っていける選手だと思えるだけに、今後の伸びが楽しみでたまらない。
序盤の2度のダウンで、選択肢が撃ち合い以外になくなった後藤。
しかし、その限られた勝ち筋を決して踏み外すことなく、顔面を血に染めて殴り合いに身を投じた。
4戦して1勝…持ち合わせているセンスからすれば、
はっきりと「結果がついて来ていない」と言えてしまうだろう。
この日、勝利に向かって全霊で突き進んだようにも見えたファイト。
だからこそ余計に、敗者としてリングを降りる姿に、悔しさが滲み出ているように感じた。
結果を残す要素は充分にある選手。
現状に折れるか、折れないか…この選手が試される局面を迎えるように思えた。
最終的に結果を出す選手は、結果が出るまでやる選手でしかない。
次の試合を…後藤が結果を出す瞬間を…待っていようと思う。
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