2023/11/23 -石川・内灘町体育館- 第4試合、第5試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2023/11/23 -石川・内灘町体育館- 第4試合、第5試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

【スーパーライト級4回戦】
小西 聖羽(カシミ) vs 小田 浩輝(折尾)


足を使って大きくリングを使う小田。
小西が入って来るところに拳を合わせて行く。
翻弄される小西だが、右を一発当てるとスリリングに振り抜きながら攻め込んで行く。
ここは小田がフットワークと上体で躱して切り抜ける。


2R開始直後、強烈に拳を突き刺した小西が攻め立てると、
小田は落ち着いてジャブで立て直す。
強烈に振り抜く小西が、単発ながら小田の顔面を捉える場面が増えて行く。
対して小田はラウンド後半、痛烈なカウンターを浴びせて反撃を見せる。


小田の方が少し距離が長いか。
僅かに小西のパンチが届かない距離を維持しながら
小田が的確にパンチを突き刺していく。
時折、小西の強烈なパンチが刺さるも、巧くいなして後続打は許さない。

ラウンド終了直前、小田が右をカウンターで撃ち下ろして小西が手を突くダウン。


4R、すいすいと躱しながら前進する小西をすり抜ける小田。
時折強烈な被弾はあっても、追撃は許さない。
強烈なカウンターでやり返して戦局を五分に戻す。

小西の熾烈な追い上げも実らず、試合終了のゴング。


マイジャッジ 38-37 小田


公式ジャッジ
39-36×2
40-35

3-0 勝者:小田


ボクシングも、試合運びも小田が巧みだった。
デビュー戦からこの試合運びはかなりいい選手だと感じた。
大きく動きながらの失速もなく、冷静沈着にミッションを遂行。
斬り落とすカウンターも見事なものだった。
注目したい選手…来年の新人王戦、もしかすると西を勝ち上がってくるかもしれないと思えた。


鋭く、思い切りよく振り抜いたスリリングな小西の拳。
しかし…プレスは効ききらず、小田を自由奔放に躍らせてしまった。
強烈なカウンターに臆せず出て行ける選手。
思い切りの良さは秀でている。

足運びや経験で強さを増していく選手。
じっくりとその道のりを見つめたいと思えた。


小西 聖羽 1戦1敗
小田 浩輝 1戦1勝

 

【54.5kg契約4回戦】
山本 愛翔(カシミ) vs 村田 碧(和光)


ゴングが鳴った瞬間から距離感を掴んでいるように鼻先で山本の拳をかわす村田。
接近戦でも反応よく山本の拳をかわしながら、クリーンヒットを奪っていく。
立ち上がり、手ごたえもなかなかないだろう中、
相手の拳を浴びた山本だったが、積極的に攻めていく姿は崩れない。

踏み込んで撃つワンツー、入ってきたところを叩く左フック。
空転させられながら、村田の拳を浴びる山本。
テンポを変えにかかったか、タイミングを測っていく山本だがその分手数が落ち
また、駆け引きでも完全に上回られてしまう。

2R終盤、接近戦で僅かにヒットを奪うと詰めていくが、
至近距離でも村田の上体は柔らかく、拳は空を切り、
密着した場面で村田の片腕を抑えても、もう片方の腕で巧みに襲ってくる。

3Rには至近距離での戦いに挑むが、乱打戦になりそうな場面で、
村田が左フックのカウンターで山本の腰がストーンと落ちる。
体を預けてのファイトに向かう山本、自分の拳をヒットさせるが、
その何倍も強烈に被弾…ボディも強烈にえぐられる。

最終ラウンド、攻めて出ようとする山本だが、村田はそれを許さず。
ヒラヒラとかわしながら強烈に拳を叩き込み続けて試合終了後のゴング。

マイジャッジ 40-36 村田

公式ジャッジ
37-39
36-40×2

3-0 勝者:村田

様子見の時間さえなく、相手のパンチを見切った村田。
試合開始直後の、ここなら安全…の精度が異常に高く、
そこからさらにリスクのギリギリまでその精度を高めていった。

リングの上で全てを機械的に精密に支配する姿に
「マザー」という言葉が思い浮かんだ。

一般的には母を示す英単語だが、コンピュータの世界では、
システムを中核として全ての制御を行うものを指す。
リングの上で全てを微細な距離を手に取るようにコントロール姿は
システマティックな美しさもあり、そして支配者的でもあった。
強すぎる…。


この試合、山本が奪えたヒットの数はどれくらいだっただろうか。
反応も良く、スペックも低くない。
撃たれても前に出て行ける…しかし、そのうえで実力差を見せられた。

デビュー戦からこの試合はある意味、残酷だったようにも思う。
ただし、戦い続ければいつか思い知る。
自分より強い存在がいることはみんな知っている。

ただし、いつかそれが目の前に現れる…現実としてそれを体感する。
それを踏まえた上で、自分がどこまで高みを目指していけるか。
完全に封じられたデビュー戦、ここから立ち上がることのハードルは高いようにも思う。
弱い選手でないと思えるだけになおさら。

だからこそ、もし2戦目に向かうのであれば、楽しみにしたいと思う。
打ちのめされた男の強さを描いて欲しい。

山本 愛翔 1戦1敗
村田 碧 2戦2勝

 

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