2023/06/18 -愛知・刈谷あいおいホール- 第1試合、第2試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
■2023年度中日本スーパーフライ級新人王準決勝
【スーパーフライ級4回戦】
片桐 頌斗(中日) vs 岩本 和樹(西遠)
片桐 頌斗 2戦1敗1分
岩本 和樹 2戦2勝
これまでの2戦を踏まえ、僕は片桐を「バーサーカー」「狂った拳」と評して来た。
その片桐を岩本が封じた。
この日も好戦的に出て来た片桐だが距離が遠い。
足を使い空転させながら、時折鋭く拳を飛ばしていく岩本。
ただ、圧力弱めずアタックを繰り返す片桐に対し、返す手数は少なく、
アグレッシブを獲られれば苦しい採点になるようにも見えた。
試合は岩本がこれまでの戦いと同じく、僅かずつ相手を上回るようなラウンドを作っての判定勝利。
採点は39-37×2、38-38。
相手を空転させ、ラウンド中に僅かな差を作って採点をさらっていく静かなボクシング。
中日本4回戦シーンで最も好戦的な選手とも思える片桐を封じた。
攻略の難易度は高い。
決勝戦では優勝候補がひしめいた対抗ブロックの選手との試合。
スペック差や経験値、技術差も大きく開いているように見える。
ただし、そういったものは全て”要素”であり、結果ではない。
勝負の最適化に長ける岩本の戦いぶりに注目したい。
■2023年度中日本スーパーフライ級新人王準決勝
【スーパーフライ級4回戦】
犬塚 音也(松田) vs 藤野 零大(カシミ)
犬塚 音也 5戦5勝(2KO)
藤野 零大 1戦1勝(1KO)
今年の大本命犬塚を上回るスピードを見せる藤野。
左のジャブ、右フックがバスバスと刺さる。
犬塚がバランスを崩す場面が何度も訪れる…
強烈に右ストレートを撃ち込んでくっつき、離れ際にも右を叩き込む藤野。
犬塚が右で藤野の膝を折る場面を作ってやり返す。
足を使い時折スイッチする藤野、プレスをかける犬塚。
2R後半にはハイクオリティの両者が正面衝突し始める。
3Rに入って藤野が足を使うと、藤野の距離の時間が長くなる。
詰める犬塚に強烈な一撃を見舞っていくが、
犬塚はコンビネーションを返して藤野を攻める。
4Rは激しい撃ち合い、長いコンビネーションで返す犬塚がヒットで上回るが
ラウンド終盤には藤野が犬塚を揺らすシーンも作る。
マイジャッジは39-37 犬塚
公式ジャッジは…
39-37 犬塚
38-38×2 ドロー
結果は1-0のドロー。
優勢点は、ドローにつけたジャッジ2者が藤野を支持。
優勢点で藤野が決勝へ勝ち上がり。
大本命の犬塚、ここでまさかのトーナメント敗退となった。
破壊的で抜群のスピードを持つ左。
攻防のメリハリもまた素晴らしい戦いぶり。
藤野は実力でここを勝ち抜いた。
堂々全日本新人王の有力候補としてその名を知らしめたように思う。
決勝では、直前の試合で勝利を挙げている岩本と対戦予定。
試合前、松田ジムの関係者の方との会話。
松田ジムのある選手の事を
「いい選手なのに勝ちがついて来ないんですよね」とつぶやいたところ、
「それはいい選手じゃないってことです」と返って来た。
ある選手について「次勝てばA級ですね」と言うと、
「まだA級でやらせないですよ。」と。
表面だけ触れれば、厳しく冷たい言葉にも感じ取れる。
しかし…選手は勝利を求める。強さを求める。
その為に、日々や人生の様々なものを削って試合に挑んで行く。
そこに真っ直ぐに向き合う松田イズムがあるように感じた。
「選手想い」にも形は様々。
勝負事の世界、その厳しさは優しさでもあると感じる。
既に5勝を挙げている犬塚は、次戦からB級での戦いに挑んで行くことが濃厚だが…。
果たして松田が彼にどんな道のりを用意するのか。
名門には名門の厳しさがある。
松田が犬塚にこれからどのようなルートを用意するか…。
言い方を変えたい。
犬塚が、松田にどんなルートを用意させるのか…。
周りを納得させることも、強さが成すもの。全て自分次第だ。
大本命からの滑落を踏んだ犬塚の4回戦。
今、彼の濃厚な物語がスタートしたように感じる。
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