2018/12/02 -刈谷あいおいホール- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2018/12/02 -刈谷あいおいホール- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 

【ライト級8回戦】
力石 政法(緑) vs 前田 絃希(グリーンツダ)

力石 政法 4戦3勝(2KO)1敗 サウスポー
前田 絃希 10戦6勝(2KO)3敗1分 日本ライト級14位
 
 

1R、お互いに前の手を突き出してタイミングを測り合う静かな出だし。
中盤、お互いの前の手が絡まったところで、力石が左ストレートを突き刺したのがオープニングヒット。

一旦試合はまた静かになるが、前田が強烈に右ボディを叩き込むと、
それをもらいながら力石が左ストレートをぶち込む。
後ろ倒しに前田がダウン…足が揃ったところへの一撃。

再開後、攻勢を強める力石だが、前田のダメージはそれほど深くなさそう。
左ストレートを撃ち込む力石、右ボディを撃ちこむ前田…それぞれ捉え合って1Rが終了。
 

2R、前進する前田に対し、足を使って距離をとりながら戦う力石。
頻繁にジャブをヒットさせながら、距離が近くなればボディをえぐる。
防御本能高く、試合を作っていく…。
なかなかパンチを当てれない前田だが、ラウンド中盤に差し掛かるころに左フックをヒット。
しかし、ここは単発に終わる。
 

3R、左を刺し合う両者。
前半、力石の左ボディでバランスを崩して倒れた前田。
体の力で押し負けたようにも見え、スリップにもとれる。
レフリーも一旦はスリップのジェスチャーを獲りかけて迷った結果、ダウンを宣告。

再開後、右フックで強烈に前田を捉えた力石。
さらに右ストレートをもらいながら左フック、左フックをもらいながら左フック…。
攻勢を強めた力石がもらいながらではあるが、それを上回る威力で前田の顔面を襲う。
強烈な左ボディストレートも刺さり、展開が一方的になっていく。
 

4R、倒さなければ勝ちのない前田。
これまでより圧力を増し、二人の距離が近くなる。
力石は前田の顔面を跳ね上げる力強いジャブを幾度となく撃ち込んでいく。
ラウンド中盤、前田の右ストレートが力石を捉える。
前田のパンチの威力もまだまだ脅威。

駆け引きを交わし合いながら。前田の攻撃を躱してヒットを奪っていく力石。
このラウンドも力石が獲ったか…そう思ったラウンド終了直前、前田の強烈な右ストレートがヒット。
即座に左ストレートを返した力石だったが、一瞬背中がヒヤリとしたシーン。
 

5R、このラウンドから左ストレートの数を増やした力石。
中盤、サイドに動きながら突き刺した左ストレートに手ごたえを感じたか、
一気に攻勢を増し、強烈なパンチで上下に捉え…
距離が縮まったところで、フェイントで揺さぶると、左ストレートからの右アッパーでダウン奪取。

これまでとは違い、明らかに効かせてのダウン。
しかし…再開後、前に出たのは前田。

ダウンの後、相手が仕留めに出れば、それは逆にチャンスとなる。
ここまで、なかなか捉えきれぬまま過ぎてきた4R半、試合は残り10分程度で終わる。
この前田の選択は正解に思えた…ダメージを抱えたまま、勝ちに来ている…。

下がりながら強烈に捉えていく力石。
それでも前に出て行く前田…日本ランカーの勝ちに対する執着を感じる。
しかし…前田の右ストレートにカウンターで突き刺した力石の左。

仰向けに倒れ込んだ前田に、レフリーは試合をストップ。
 
 

TKOタイムは 2分48秒
 
 

真っ先にリングに飛び込んできたのは兄の矢吹 正道(緑)
セコンドに入るといつも高い声が良く通る…が、この日は声を出し過ぎて、途中から声が裏返っていた。
力の入っただろう一戦に、満面の笑みを浮かべる。
力石はコーナーポストに登ってガッツポーズ。

嬉しい時は嬉しい、悔しい時は悔しい。
素直な感情を体から大きく発散させる力石はボクサーとして魅力的だ。
一緒に喜べる、一緒に落ち込める…「力石が一番好き」というファンの気持ちもよく分かる。
 

サウスポーに強いはずの前田が、攻めあぐね続けた。
危ないパンチはあったものの、終わってみれば、ほぼほぼ完封でのKO勝利。
それでも力石を知る人は、まだまだ力の半分も出せていないと呟く。

勝利者インタビューで、坂 晃典(仲里)へのリベンジを口にした力石。
坂への敗北以来、試合会場で見つけた力石はどこか暗さを抱えていた。
再スタートは…切れただろうか。
 

決して前田が弱かったわけではない。
それは、これまでの前田の道のりが証明している。
日本タイトルまで争った男…そして、効かされた5Rをチャンスと見て前に出れる男。

あれは、強い選手にしかできないことだと感じる。
ズルズルいけば負けが確定する中、チャンスが産まれる可能性の高いタイミングで勝負する。
日本ランカーに相応しい選手だったと思う。
 

勝利者インタビューを「ボクシング最高ゥ!」と軽いノリで締めくくった力石。
これが今年の中日本ボクシングの締めだと気付いているのだろうか…。
明るい力石が帰ってきた感じが嬉しくてたまらなくなる。
 
 

試合後、知り合いと言葉を交わしながら会場を出る。
会場の客もほとんど帰ってしまった中、お世話になりすぎているぐらい
お世話になっているファンの方と話し込んでいると…
 

そこに帰り際の力石が通りかかる。
タオルを首からぶら下げ、「勝っちましたよぉ~」と陽気に…。
ご機嫌だ…超ご機嫌だ…。

そんな力石が帰る姿を見送り、帰路に着く。
 
 

この日、中日本のボクサーたちを愛情深く観戦していた人が観客席を去った。
気持ちは、よく分かる気がする。
ただただ、寂しい思い。
 

C級からA級まで…。
色んなボクサーの話をした。
 

様々な人が愛情を持って選手を見ている。
実感がない選手もいるかもしれないが、選手一人一人に尊敬の思いで
客席から一喜一憂しているファンは何人もいる。

「応援してくれる人がいると思っていなかった」なんて言うプロボクサーがいる。
そんなことがあるわけない。
選手はいつも、僕たちのヒーローだ。
 

だからこそ、トレーナーさん、会長さん、関係者の方々…
どうか選手をしっかりと支えてやって欲しい。
 
 

ここからしばらく興行がない寂しさと…。
そして会場で耳にした選手の引退の知らせへの寂しさと…。
去って行くファンへの寂しさと…。

満足過ぎるほどに満足した興行の余韻でかき消しながら、金山で少し飲む。
 

今年もいい試合もいい選手も…たくさんあった。
選手たち…本当に、戦ってくれてありがとう。

素晴らしい物語を沢山もらった一年。
ボクシング選手名鑑ピックアップの年間表彰を誰にしようか…。
そんなことで悩みながら、ほろ酔い。
 

うまい酒を飲んだ。
最高だ。
 
 
 

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