2018/11/25 -刈谷あいおいホール- 第1試合~第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2018/11/25 -刈谷あいおいホール- 第1試合~第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

この日、中止になってしまった曽根 光輝(浜松堀内)vs菅原 健太(名古屋大橋)の代替えとして
まずは公開スパーリングが行われる。

この日に向けて準備をしていた菅原 健太と、曽根の同門で翌週に試合を控える古俣 諒(浜松堀内)
チケットの売れる菅原…、その試合を楽しみにしていたファンも多かっただろう。

 

【65.0kg契約4回戦】
鈴木 啓市(とよはし) vs 藤田 裕崇(名古屋大橋)

鈴木 啓市 デビュー戦
藤田 裕崇 デビュー戦 

両選手の客席からデビュー戦同士とは思えない程の声援が響く。

ジャブの刺し合い。
トランクスに「闘牛」の文字をしたためた鈴木。
その異名に違わぬ姿…ジャブを突きながらズンズン前進していく。

対して足を使いながら左を刺す藤田…先に捉えたのは藤田の方。
ひらりひらりと圧力を反らしながら、次々に左を突き刺し、右ストレートもヒットさせる。
しかし、鈴木の圧力は弱まらず、鈴木が藤田をワンツーで捉える…が、
次の瞬間、藤田がワンツーで捉え返し、追撃の右アッパー。

強烈なダウンシーンを演出する。
立ち上がった鈴木だが、ダメージは大きそう。

再開後、藤田はワンツーでロープに詰め、
またも右アッパーを炸裂させたところでレフリーがストップ。 

TKOタイムは1R 59秒。 

鈴木の力を確認する前に試合は終了。
ガンガン前に出て行く圧力は、嫌がる相手が多いだろうと思う。
この日の相手は相性も悪かったように感じる。

デビュー戦敗北のショックがあるとは思うが、少し休んだら次に向けて切り替えて欲しいと思う。
「豊橋の猛牛」が真価を見せてくれることを期待したい。
きっとそのうち、観ている人間が熱くなる試合を繰り広げてくれるだろう。
永田 哲也(浜松堀内)との試合を見てみたい思いにも駆られた。 

デビュー戦から、主武器となる強烈なアッパーを披露した藤田。
有効なパンチだが、戦歴の序盤からこのパンチをサンデーパンチとして扱える選手は少ない。
ワンツーからの右アッパー…今後を戦う中で、はっきりとした武器になると感じた。 

この日の契約ウェートはスーパーライトからウェルター級の間…。
二つの階級で7名がエントリーした今年の中日本新人王戦。
さらに先日、来年の新人王戦では北川 仁暉(唯心)がウェートをスーパーウェルターに挙げてきている。
藤田がどちらの階級にエントリーしても面白くなると感じる。

 

【55kg契約4回戦】
森泉 正巳(鈴鹿ニイミ) vs 永治 悟志(薬師寺)

森泉 正巳 14戦5勝(4KO)8敗(2KO)1分
永治 悟志 デビュー戦 

東京の宮田ジムでプロテストに合格するものの、デビュー戦を戦うことなく名古屋に拠点を移した永治。
薬師寺ジムで再度プロテストに合格してデビュー戦のリングを踏むこととなった。

B級のリングで8連敗を喫していた森泉は2年半ぶりのリング。
デビュー戦と、15戦目…背景にあるシルエットが全く異なる二人がぶつかる。 

1R、ゴングが鳴ると同時に、スピード豊かにジャブを突いて回る永治。
そのスピードには目を見張る。
数多くジャブで捉えながらワンツーに繋げ、さらにフックを叩き込む。

森泉はもらってももらってもひたすら追いかけ、パワフルに撃ち込んでいく。
ラウンド中盤、相打ち気味に森泉の強烈な右が永治を捉える。
一旦クリンチに逃れた永治…効いたか…。

しかし、クリンチが解かれた直後、ワンツーからの連打を浴びて後退する森泉。
そのままロープ際まで詰められ、被弾し続ける姿にレフリーが試合をストップ。

試合が始まった時点でスピード差は明らかだったが、ひたすらに前進し続けた森泉。
相打ちの右は、勝利をつかみかける威力のモノだったように思う。
2年半ぶりのリング…勝利にすがるような男の戦いぶりには胸を熱くさせられた。 

永治…圧倒的なスピードでの1RKO劇。
デビュー戦でその力を魅せつけたようにも思う。
生半可な相手では捕まえきれなさそうな、フットワークとハンドスピード。
この選手、来年の中日本新人王戦ではスーパーバンタム級の有力選手になると感じる。

 

【56.6kg契約4回戦】
高田 雅人(とよはし) vs 佐藤 康平(薬師寺)

高田 雅人 2戦1敗1分
佐藤 康平 5戦1勝(1KO)3敗1分 

この試合は、今年の中日本フェザー級新人王戦準々決勝の再戦。
前回はドローの末、優勢点で佐藤が決勝に勝ち進んでいる。 

1R、ジャブの刺し合いから始まった試合、お互い距離を測り合う中、高田のワンツーが突き刺さる。
いきなり足を揺らす佐藤…さらに高田の左ボディ。

密着した距離に行くと、佐藤はしつこくボディを叩く。
しかし、佐藤の土俵とも言えるこの距離で、高田は佐藤の肩越しに強烈に右フックを撃ち込む。
左ボディから、この肩ごしの右フックは何度も佐藤を揺らす。
…前戦から、しっかり対策してきたことを感じる。 

2R開始直後、近い距離での高田の右フックで佐藤がダウン。
立ち上がった佐藤…またも距離を潰して密着戦に持ち込む。

ダウンを奪われようが、強烈にもらい続けようが佐藤にはこれしかない…。
ひたすらに自分のボクシングを貫き、わずかな隙間に拳をねじり込む佐藤。
しかし、相変わらず高田の右フックは佐藤を捉えていく…試合は一方的になっていきかけるが…。

ラウンド後半、佐藤の密着ボクシングがついに高田を削り始めたか。
佐藤のパンチが高田を捉えるシーンが増えていく。 

3R、ダウンを奪わなければ勝ち目がないようにも思える佐藤。
ひたすらに距離を潰しに行くが、そんな佐藤を左右のフックで何度も何度も捉える高田。

しかし、このラウンドも中盤に差し掛かると、一方的だった展開は互角に。
ドロドロの殴り合いになっていく…これが佐藤の真骨頂。
力の差を、ドロドロの展開で埋めてしまう。

ただ、長くは続かず、ラウンド後半にはまたも高田のパンチが次々と佐藤を捉える一方的な展開に。 

4R、密着したドロドロの撃ち合い。
左右のボディを強烈に撃ち込む佐藤。
しかし、それ以上に高田の右が鋭く佐藤を捉えていく。
わずかに距離が空けば小さくコンビネーションで佐藤を捉えて行き…。

ラウンド中盤には明らかに意識を飛ばされた佐藤。
レフリーが止めに入ろうとした瞬間、意地の右ストレートで試合を繋ぎ止める佐藤。
しかし…抵抗もここまで…。
その後も高田のパンチを浴び続け、レフリーが割って入って試合が終了。

TKOタイムは4R 2分28秒

これまで、佐藤の特殊なボクシングを支えていたものの一つにタフさがあったと思う。
しかし、前戦は痛烈なKO負け…そしてこの日も、ダウンを奪われた。
立ち上がった佐藤だったが、不器用な佐藤にできることは少ない。
ただひたすらに距離を潰し、もみくちゃな戦いで相手を封じ込める…。
しかし…その佐藤の距離である密着戦、しっかり研究し対策してきた高田は、その距離で佐藤を上回った。

この再戦に向けて…「佐藤に勝つため」の数か月があったのだろう。
見事…以外の言葉がなかった。
そして、貫くしかない自分のボクシングを貫き通した佐藤もまた、見事だった。 

チャンピオン候補のような将来を期待される二人ではない。
ただひたすらに目の前の相手と対峙し、4回戦で一つの勝ちを目指しに行く。
彼らのようなボクサーが織りなすドラマは、現地でしか実感できないもの。
“現地観戦”の醍醐味は、彼らのようなボクサーのドラマに触れられることではないかと思う。

世界王者や、才能に溢れたホープだけがボクシングの主人公ではない。
彼らはこの日、リングの主人公として、因縁のリマッチを戦った。

濃厚なドラマが詰め込まれた試合。
強くなった高田、自分を貫いた佐藤。
胸にこみ上げる感情は、とてつもなく大きかった。

 

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