2018/3/31 -名古屋国際会議場- 1試合目、2試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2018/3/31 -名古屋国際会議場- 1試合目、2試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 
 

【68.0㎏契約6回戦】
トミナガ シンペイ(中日) vs 浅原 あきひろ(駿河男児)

・トミナガ シンペイ 11戦6勝(4KO)5敗
・浅原 あきひろ 13戦6勝(1KO)5敗2分 サウスポー

既にB級で2勝を挙げ、A級昇格のトミナガとA級昇格まであと1勝の浅原 あきひろ。
昨年9月の対戦から、半年を開けて再戦する二人。
前回は負傷判定でトミナガが接戦を制している。

この試合はまだ8回戦を戦えない浅原に合わせて6回戦。
浅原は名前をひらがなに変えて心機一転挑む形。
かつて中日本新人王を獲得したもの同士の対決となる。
 

赤コーナーから入場したトミナガ。
リングイン前に雄叫びを上げる。

さらに、須藤リングアナに名前を呼ばれてまた雄叫び…。
そして浅原もまた名前をコールされて雄叫び…。
自信に満ち溢れた浅原の表情…この試合に向けた準備の濃厚さをうかがわせる。

一気にテンションを上げてくれた試合前の両者のやり取り。
 
 

1Rのゴングが鳴り響く。

お互いに足を止めてリングの中央で向かい合う二人。
もみくちゃになりながら密着した距離で撃ち合う。
距離がつぶれた形で、いきなり泥仕合の様相を示す。

この泥仕合こそ、顔も試合もブサイクなトミナガの土俵…。
しかし、前回の戦いを踏まえたか、小さく小さくパンチを集めた浅原。
トミナガは密着した距離で下からアッパーを突き上げてみせる。
 

2R、開始直後からトミナガの撃ち出しにいきなりの左を合わせていく浅原。
ドシドシと歩いて距離を詰めていくトミナガ。
追い詰めるまでの中途半端な距離を狙われる。
密着すると、細かくパンチを撃ち、クリンチ含めトミナガの思い通りにさせない浅原。
トミナガは密着するとコツコツとボディを集める。
 

3R、密着する時間が増え、押し合い圧し合いの時間が増える。
トミナガの得意パターンは、大きなフックをガードの上から叩きつけて
相手のバランスが崩れたところを攻めていく形…しかし、その大きなパンチを出させてもらえない。
小さく…小さくパンチを出していく浅原。

前回の対戦から、対トミナガの戦略をしっかり積んできた様子。
 

4R、消耗戦の様相を呈し始めた試合。
距離を詰めるまでの中途半端な距離を狙われるトミナガ…。
浅原の強烈なワンツーがトミナガの顔面を跳ね上げる。
しかし臆せず詰めていったトミナガ、ようやく左右のフックを強烈にヒットさせる。

浅原優勢の展開だが、下がりながら応戦する浅原が消耗すれば、トミナガが一気に飲み込む可能性も感じる。
しかし…まだまだ消耗しきらない浅原。
スタミナもしっかり作ってきている。

このラウンド、偶然のバッティングで浅原が右目上をカット。
 

5R、ワンツーで顔面をはじかれながら、強烈な左フックをひっかけて密着するトミナガ。
思うように戦えず、ポイント的には挽回不能なところまで来ているようにも思える。
詰めようとするトミナガに対し、浅原は先にパンチを置いていき、
それがカウンターでトミナガに突き刺さる。

しかし…ラウンド後半、強烈に左フックから右アッパーをつなげて浅原の顔面を跳ね上げたトミナガ。
まだまだ可能性を残す。
 

6R、逆転を狙ってか、大きいパンチに頼って手数が減ってしまうトミナガ。
選択としては間違いないように思えるが、浅原は変わらず細かく細かく撃っていき…崩れない。
そしてスタミナもまだまだ充分。

トミナガが状況を打開できないまま、試合はタイムアップ。
 

判定は3-0

58-56、59-55、60-54
勝者:浅原
 
 

前回、トミナガの大きなフックをガードで受けることで、体ごと持っていかれるようにバランスを崩し
トミナガにしてやられてしまった浅原。
この試合では先に手を出して距離を保ち、近づけばクリンチも駆使してトミナガを完ぺきに封じた。

よほど悔しかったのだろう…スタミナ切れもせず、”トミナガに”勝つための入念な準備を感じた。
そして、それを見事に実行し切った…。
トミナガへの負けが、この日の強い浅原を産んだように感じてならない。

試合の数分間で、その試合に辿り着くまでの数か月が見える…
そんな姿はボクサーの魅力としては最上類のものではないだろうか。
トミナガファンとしても、この日の浅原に負けたのであれば救われる気がした。
トミナガは凄い奴に負けた…そんなふうに感じる。
 

トミナガはこの日、思い通りにいったことはほんのわずかしかなかったのではないだろうか。
今日のトミナガは…魅力の半分も出ていないと感じる。
泥仕合の似合う男トミナガ…もしあと6分あれば…。

ここは消耗せずに戦い抜く力を付けてきた浅原を讃えるところなのだろうが…
トミナガの魅力はラウンド数が長ければ長いほど発揮されるようにも感じる。
 
 

これで浅原もA級昇格の権利を手に入れた。
1勝1敗の浅原とトミナガ…8回のリングで、二人の決着戦が見たいと心底思った。
きっと熱戦になる。
 
 
 

試合後、トミナガと顔を合わせる。
控室で泣きはらしたのか、目に涙を浮かべながら落ち込んだ様子で…
「負けてすいません、応援ありがとうございました…しばらくゆっくりしようと思います。」だって。
 
 

負けないボクサーなんてほとんどいない。
どんなに熱を上げて応援したボクサーでも、必ずどこかで負けている。
応援しているボクサーが負けるなんて慣れっこだ。
悔しいけど…すいませんなんて言う必要はないと思う。

ましてやトミナガはこれまで何度も負けている。
そのうえで、僕はトミナガ・シンペイが大好きだ。

ネットやテレビでしかボクシングを見ていなければ、見つけることはできない選手。
そしてきっと画面からじゃ熱の伝わらない選手。
生観戦だからこそ見つけることができた、僕の宝物のようなボクサー。
 

何て言っていいかわからなかったけど…。
今日の試合も、トミナガらしいブサイクな試合だった。
だけど、トミナガはもっと強いし、もっと面白い。

しばらく休んで、また戻ってきて欲しい。
 
 

今日、浅原が強かったのは、トミナガに負けたからだと思っているからこそ…
決着戦を望んでしまう。

ファンの勝手な勘違いかもしれない。
勘違いの可能性の方が高いだろう…
トミナガファンがトミナガを美化したいだけでそう感じてしまっているのかもしれない。

でも、僕と言うファンはそんなドラマを見ている。
…ここが最終回だとしたら、この物語は未完のままになるように感じる。

ボクシングにはそんな物語も沢山あるけれど…
そんな時はしきりに最終話を脳内で勝手に作り上げて空想するのだけれど…
空想は現実の試合にはきっと勝てない。
 
 

僕は浅原vsトミナガⅢが心の底から見たい。
 
 

トミナガと話し終えて、座った客席で…涙が止まらなくなった。
 
 
 

【56.0kg契約4回戦】
干場 悟(タイガー) vs 三輪 珠輝(松田)

・干場 悟 7戦4勝(2KO)3敗
・三輪 珠輝 6戦3勝(1KO)3敗
 

本格派ファイターの干場、昨年の中日本新人王戦でダークホース的立ち位置から
戦う相手をインファイトに引きずり込んで勝ち上がった。

かたや三輪は1年半近く試合感覚を空けているが、
直近の試合では刈谷あいおいホールが揺れる怒涛の撃ち合いを繰り広げている。

「絶対に面白くなる!」

カードが組まれた時から言い続けた試合…。
 
 

1Rのゴングが鳴るとともにどんどんと前に出ていく干場に、旋回しながら応戦する三輪。
三輪が強烈なボディを何度も干場にめり込ませ、さらに上をも捉えて行く。
しかしインファイトは干場の土俵でもある。

ラウンド後半、強烈な右の相撃ちでお互いの顔面がはじけ飛ぶと、そこから干場が右のトリプルをヒット。
三輪は引かずに右のカウンターを合間に差し込んで、干場の顔を跳ね上げる。

猛烈な撃ち合い…。
 

2R、ゴング開始とともに頭を着けての撃ち合い。
これまで相手を下がらせてきた干場が、三輪のボディにズルズルと下がらされる展開…。
しかし、下がりながらも鋭利なパンチで三輪の顔面を幾度も捉える。
お互いの大砲がカウンターで交錯し合い、いつ決定打が出てもおかしくない。
 

3R、三輪のカウンターが3つ立て続けに干場を捉える。
ここで…干場は細かいパンチを集めて応戦、三輪は強烈なアッパーを干場のボディに突き刺す。

スピードもある、迫力もある、何度も何度も大声が漏れてしまう激しい試合。

ラウンド後半に入るとボディを狙い始めた干場。
三輪の意識が下に行くと即座に上に連打を叩きつける。
一気に干場のペースになりかけるも、三輪は強烈なカウンターで流れを引き戻す。
 

4R、火の出るような撃ち合いに、客席の声援も熱を帯びる。
撃ち合い続ける中で、三輪がわずかに失速を見せる。
近い距離で巧くパンチを外しながら的確なパンチを叩き込む干場。
三輪を飲み込んでいく…。

真っ向勝負の12分間。
最終のゴングが鳴らされる。
 

マイジャッジ 39-36 干場
 
 

公式ジャッジは3-0
39-37、39-37、40-36

干場
 
 

前半2Rは割れてもおかしくなかっただけに、38-38でも納得できる試合。
40-36もありだが、ラウンドごとのわずかな差が干場についただけであって
ポイント差ほどの差は感じなかった…激戦と言っていい内容だったと思う。
 

試合が終わってため息が出る。
普通、失速すんだろ…。
撃ち合い続けたまま12分を突っ走った干場。

それが干場と言ってしまえばそうだが…。
6Rになったとき、8Rになったときどうなるか…。
長丁場に干場が適応できるとするなら…とんでもなく面白い存在になると感じる。
 

三輪は1年半ぶりの試合でもやはり三輪だった…。
干場とここまで撃ち合えるボクサーが、今の中日本の4回戦にいるのだろうか。
負け越し4回戦…戦績からは見えて来ないその強さに震えが来る。
できればまた、頻繁にリングに上がる三輪が見たい。
 
 
 

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