2026/8/9 -愛知・津島市文化会館- 全試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2026/8/9 -愛知・津島市文化会館- 全試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

【59kg契約4回戦】
鐘森 栄作(鈴鹿ニイミ) vs 石井 日向(ARITOMI)

サウスポー同士の対決。
お互いジャブを突いて立ち上がる中、好戦的に振っていく鐘森。
石井も撃ち返して痛烈に捉えるが、鐘森の勢いは止まらず。
ロープ際の攻防では鐘森の右フックに大きく揺れる。

負けじと振って出ていく石井だったが、
出ていったところに鐘森の右ショートが突き刺さり石井がダウン。
立ち上がり再開した試合だったが、即座に鐘森がパンチをまとめてレフリーがストップ。

TKOタイムは1R 1分35秒

4回戦らしい4回戦。
がむしゃらに振り回し、暴力的で豪快なKO決着。
両者ともまだプロの土俵では上手いとは言えない選手。
ただし、臆せずに立ち向かう…最も大切な素養は披露してみせた。

この荒々しい試合をスタートにこれから二人がどう成長していくか。
勝った鐘森、負けた石井…どちらにとっても、物語の第一話。
痛快なKO勝利からスタートか、痛恨のKO負けからスタートか。
「ここから」の二人…次の試合が楽しみに思えた。

鐘森 栄作 1戦1勝(1KO)
石井 日向 1戦1敗

 

【62kg契約4回戦】
宮部 泰成(岐阜ヨコゼキ) vs 浦野 一希(浜松堀内)

見合う中で、鋭くスリリングにパンチを撃ち込んでいく宮部。
踏み込んでいく浦部だが、そのタイミングに痛烈に宮部の強打が刺さる。
宮部の上半身は柔らかく、ミドルレンジでは浦部のパンチはかわされる。

詰めた場面で浦部がヒットを奪うと、
距離に手ごたえを感じたか、浦部は密着していく…
積極的に拳を出す浦部に宮部の手数は大きく下回る。

しかし、体で浦部を押し返した宮部がガードを割るような右アッパーを一閃。
尻もちをついた浦部は立ち上がるが…足元おぼつかずレフリーがストップ。

TKOタイムは1R 2分26秒

密着して手数で攻め込もうとした浦部。
しかし、冷静にたった一撃で仕留めた宮部。
パンチ力はボクシングにおける絶対的な武器。
それをまざまざと見せつけた。

あのまま行けば1Rは浦部が獲ったかもしれない。
ただ、宮部に焦りは感じられず…自信はその選手を一回り強くする。
ここからどれだけこの勝ちっぷりを重ねられるか。
岐阜から楽しみな選手が出てきた。

そして、ようやくつかんだ初勝利から一転、その2か月後にまた敗戦となた浦部。
ただし、密着しての戦いに間違いはなく、そこに勝ち筋は存在していたようにも思える。
初勝利で見せた激闘…それそのものが浦部のボクシングにも思える。

あの一撃をもらわないようにするには…仮にその解が出るなら。
勝ち続ける選手になるとは言わないまでも、多くの激戦を積み上げる選手になるように思える。
3分に満たない敗戦劇だったが、可能性を感じさせる負けに思えた。

次が見たい。

宮部 泰成 2戦2勝(2KO)
浦野 一希 4戦1勝3敗

 

【スーパーバンタム級4回戦】
伊藤 将人(トコナメ) vs 駒田 倭(市野)

サウスポーの駒田に対し、オーソドックスの伊藤。
お互いに前の手でけん制し合う中、伊藤が潜り込んで叩くボディが目立つ。
駒田が前の出で伊藤を誘い出して左を突き刺せば、伊藤は飛び掛かるような右を浴びせる。
濃厚な駆け引きが繰り返されていく。

時間が経過するごとに伊藤のカウンター狙いは顕著に。
痛烈に捉える場面を作るものの、待ちの時間は増えていく。
上体柔らかくかわす伊藤だが、駒田はテンポを落とさず拳を繰り出す。

ミドルレンジから少し踏み込んだ場所では両者力を込めてパンチを繰り出す。
2R終盤には両者立て続けにビッグヒットを奪い合う場面も。
一発で流れが変わりかねない…緊張感をはらんだまま試合は進む。

3Rには伊藤が踏み込む場面を増やしてビッグヒット。
しかし駒田は左ストレートを突き刺して流れを渡さず。
やられればやり返す…どちらも主導権は渡さない。

最終ラウンド、立って続けにヒットを奪う駒田に対し、
とにかくとにかく前にがむしゃらに戦う伊藤。
死闘と化す試合だが、そんな中でも駒田が的確に捉える中で試合終了。

マイジャッジは 38-38。
公式ジャッジは39-37×3の3-0で駒田。

ただの初勝利でなく、はっきりと強敵と言える相手を破っての初勝利。
待ち受ける相手に手数を出すことは簡単なことではないはずだ。
それを遂行しての勝利に実力を感じる。

来年の新人王戦へのエントリーを口にした駒田。
一躍、2027年の注目選手となる勝ち星だと感じられた。

そして、この負けで伊藤の力や期待値は損なわれるものではない。
伊藤は強いが、プロのリングにはそれと同等かそれ以上の選手がひしめいている。
ここを勝ち上がる最適解は「より強くなる」以外にない。
どこまで強くなっても変わらない、
強くなればなるほどより強い男たちが次々と立ちはだかる。
それこそがボクシングだとも思える。

この負けを踏まえてより強くなり、さらに強い男たちが待つグレードへ飛び込んで行く。
そんな姿を期待したいと思っている。

伊藤 将人 2戦1勝(1KO)1敗
駒田 倭 2戦1勝1分

 

【55.8kg契約4回戦】
町田 虎我(タイガーウィング) vs 小西 一斗(黒崎KANAO)

余裕をもって構える町田を、小西が的確に捉えた左右がオープニングヒット。
丁寧にジャブから右を的確にヒットっさせていく小西だが、
町田は被弾しても焦らず、多少もらっても力強く豪快に強打を叩きこむ。

体の強さも感じさせる町田、一発の重さは見た目からも明らかだが
小西は臆せず、丁寧にヒットを奪っていく。
…が、町田がジャブにかぶせたクロスカウンター一撃。

リングに崩れた小西は立ち上がるが、足元はおぼつかず。
レフリーは試合をストップした。

TKOタイムは 1R 2分28秒

的確にコツコツと積み重ねた小西のヒット。
このままラウンドが終われば、恐らくポイントは小西。
しかし、その細かい被弾を意に介さず豪快になぎ倒した町田。
体の強さも、パンチ力もある…豪快なKO劇。
まさにその名の通り、虎と形容したくなる強さを魅せた。

そして、敗戦した小西だったが、独特のタイミングと伸びて来るジャブとストレート。
やりにくく感じる選手は多くいるようにも思える。
何よりも丁寧に丁寧に戦う姿は、ここから力を伸ばしていくようにも思えた。
九州の選手のため、試合を追ってくことは叶わないが、
きっと濃厚な物語を描く選手になる…そんな予感に駆られた。

町田 虎我 2戦2勝(2KO)
小西 一斗 2戦1勝(1KO)1敗1分

 

【バンタム級4回戦】
綾野 太晴(中日) vs 竹本 悠晏(石田)

ジャブのスピードではっきりと上回る竹本。
ジャブで刺し勝つが、綾野は後の先をとって撃ち返す。
いきなり右から入るなど、綾野はタイミングに工夫を見せるが、
1R終盤には竹本がスピードに乗って立て続けに捉える印象的なシーン。

スぴーっで上回られながらも、カウンターで対抗する綾野。
竹本の左に右の大砲を合わせていく。
お互いにボディも多く叩き上下に散らす。
試合は頭をつけてのファイトへ、お互いスリリングに捉え合う。

ジャブの刺し合いになると、綾野の顔面を鋭く跳ね上げる竹本。
積み重ねていく中、右の大砲も痛烈に突き刺していく。
撃ち合いの場面でも回転よく襲う竹本、ガードの隙間を突き刺していく。
徐々に手数が出なくなっていく綾野…。

竹本が痛烈なボディを突き刺すと、綾野が膝を着くダウン。
再開後に竹本が攻め立てると、レフリーはすぐに試合をストップ。

TKOタイムは 3R 2分36秒

これでB級昇格となった竹本だが、この選手がB級に上がるまでに2つの負けを刻んでいる。
これこそが昨今の4回戦のレベルの高さを表しているようにも思える。

元々強い選手だと感じていた竹本だが、よりその強さを増して中日本に乗り込んできた。
長いラウンドを見たことがないのは承知のうえで、
この時点でもランキングに挑んでいける力を感じる。
押し合いながらも崩れないバランスには鍛え上げられた体も感じさせられた。
近い将来、国内戦線の重要な位置に立つ選手になるはずだ。

序盤からはっきりとスピードで上回られた試合。
そこに対して、後の先をとり、タイミングで勝負した綾野。
この展開で引き出しがあること自体、実力を感じるもの。
綾野だからここまでやらたとも思えた。
綾野もまた、先のグレードで戦える選手。

敗戦が重なったが、まだまだここから。
より強くその力を伸ばし、自分を試して欲しいと思えた。

綾野 太晴 7戦3勝(2KO)3敗1分
竹本 悠晏 6戦4勝(3KO)2敗

 

■日本ユースバンタム級タイトルマッチ
【バンタム級8回戦】
樫谷 樹歌(タイガーウィング) vs 為我井 廉(DANGAN越谷)

積極的にジャブを突く樫谷に、じっくりとスタートするサウスポーの為我井。
お互いにディフェンス意識は高く、クリーンヒットはわずかな1R。

頭を前に後ろにずらし、樫谷のパンチを外して強打を叩きこむ為我井。
為我井に手数が出てくると、痛烈にヒットを奪い始める。
ただ、ジャブを中心に数ではまだ樫谷が上回るか。

テンポよく手を出し合う二人、かわす動きも俊敏に、
動きは小さいながらもその量は多い試合。
樫谷が前に出て、為我井がリングを背に足を使う展開。
痛烈に左フックをひっかけて回る場面が目立つ。

アウトボクシングではあるがディフェンシブすぎることはなく、
自ら踏み込んで強打を振る場面もしっかり作る為我井。
撃ち合う場面でも両者上半身がしっかり動いて致命打は許さず。
そんな中、樫谷がまとめて捉える場面も。

4Rから前に出る圧力を強めた樫谷。
お互いにかわしてから撃ち込むパンチが痛烈に捉える。
前に出るのは樫谷だが、足を使う為我井も手数負けせず。

4Rを終えての公開採点は、39-37が1人、38-38が2人の1-0で為我井。
この時点、マイジャッジは39-37で樫谷。

ぐいぐい押し込んでいく樫谷、プレスをかけていく。
お互いの動きが落ちてくる中、樫谷が的確に捉えた5R前半。
為我井が不意を突くような一撃を連発した5R後半。
拮抗する中のラスト10秒、相打ちスレスレの為我井のカウンターが突き刺さり樫谷が揺れる。
印象的な場面。

ここから一気に展開は為我井に傾いていく。
ワンテンポ先に動いて、追う樫谷が撃ち出す時には迎撃態勢。
これに対し樫谷はもらいながらでも撃ち込む形へシフト。

ユース王座を戦う若い二人ながら、その年齢にそぐわぬ引き出しと戦略の数。
追う樫谷、足を使う為我井だが、やり合う場面ではしかっかりと撃ち合う為我井。
アグレッシブで樫谷という印象も与えない。
7Rには樫谷の右フックが痛烈に刺さる場面。

ハイテンポで進む試合、もちろん試合開始直後から動きは落ちてはいるものの
それでもまだお互いスピード豊かに鋭利に顔面を捉え合う。
そのまま両者試合終了まで走り切った。

マイジャッジは76-76でドロー。
公式ジャッジは79-73が1名、78-74の3-0で勝者は為我井。
日本ユース王座戴冠となった。

後半は全ラウンド為我井が持っていった計算。
ただ、現地観戦組でも各ラウンド割れており、
角度によってはきわどい試合だったようにも思える。
ポイントが読めない分、全て為我井に流れたとしても、
それは評価の仕方がそうだったとして納得できる採点だった。

樫谷はアウトボクサーでありながら、出力しようとすれば高い火力も出力できる。
接戦に強く、一つ一つの見栄えもいい。
ディフェンス能力も高く、なかなかとらえきれない選手でもある。
見た目以上に大変で厄介な選手だ。
樫谷に勝っての日本ユース戴冠、
東日本の強豪がはっきりとその力を示しての戴冠劇と思えた。

そして、これで王座陥落となった樫谷だが、
このベルトを賭けて戦った相手は、松尾 タンク 拓海(真正)とこの日の為我井。
メインイベンターに土を着けさせずに…といったマッチメイクではない。
正真正銘のサバイバルだからこそ、土がつく。

さらに上で勝負するための、筋金が入っていっているようにも見える。
連勝は5でストップとなったが、この負けを経て…の樫谷が楽しみだ。

創設当初は「ベルトが増える」ことに対して批判も多かった日本ユース。
しかし、これを争う戦いは、まさにホープ同士の潰し合いとなり、
そのカードで、内容で…この王座を争う選手たちがそういった声を黙らせてきた。

日本ユースと聞けば、「面白い試合」が連想されるところまで価値を持つ王座となった。
樫谷もまた、このベルトを賭けて2人の強敵との戦いを繰り広げた。
陥落とはなったが、この王座に価値をもたらせた王者の一人だったことは強く主張したい。

樫谷 樹歌 13戦9勝(2KO)3敗1分
為我井 廉 8戦8勝(1KO)

 

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