2026/7/26 -愛知・刈谷あいおいホール- 前置き(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
体を大きくした村松 政実(タキザワ)がリング下にいた。
B級昇格の4勝を得ながら、6回戦を戦わせてもらうことはできず、4勝4敗で引退した選手。
引退後も、かつての同門や仲間たちの試合に駆け付け、
客席から声援を送る姿が印象的だった。
現役時代のシュっとした体つきからは程遠く、怠惰な生活がにじみ出るような太った姿。
それでも、リングを見つめる目には、まだ憧れが残っている。
激しい戦いには大声を張り上げて興奮し、試合後には目に涙をいっぱい溜めていた。
「戻ってくればいいのに。」
そう声をかけたこともある。
「戻れるなら戻りたいですよ…。」
村松が練習を再開したとの噂が流れてきたとき…無理だと思った。
あれだけ太ってしまった体、きっとなまってしまってもいる。
体を作るだけでも…ましてや感覚が戻るところまでは難しいだろう。
村松は才能に恵まれた選手じゃない。
凡才が積み上げて積み上げて、プロのリングで4つ勝った選手。
その凡才が積み上げたものを失えば…取り戻すのは至難。
現実を突きつけられて、あきらめるイメージしかわかない。
復帰に向けたトレーニングは続いているようだった。
久々に姿を見た時には、体つきもだいぶ戻っていた。
驚きとともに、本当に戻ってくるかもしれないと期待が沸く。
しかし…そんな折、悲劇のアキレス腱断裂。
村松のリトライは完全に終わった。
…と思いきや、そのリハビリを乗り越え、復帰戦のカードが組まれることとなる。
信じられなかった。
どうしてそこまでやるのか、そこまでやれるのか。
辞める理由なんかいくらでもある。
もう充分やったとも言えるはずだと思った。
その理由はシンプルに「見たいと言ってくれる人がいるから」。
自分の仲間の試合では、客席で大声を張り上げ、まわりをあおり、試合を盛り上げる。
仲間の為ならとことんやる村松らしい理由だった。
復帰戦では衝撃のKO勝利…しかし、プロの世界は甘くない。
急遽のメインを務めるなど、大出世はしたものの。その後は勝ち星から遠ざかっている。
ここでいつもの前置き
自分はファンではあるが、熱狂的なマニア程の肥えた目を持ってはいない。
自分より凄いと思えるファンはそこらじゅうに転がっている。
ここに書く内容に誤りが多分に含まれることもある。
先に言い訳をしておきたいわけではなく、そういうものだと言っておきたい。
同じ試合を見ていても、違う感想を持つファンもいるわけで…。
ここに書いたことが正解ではないと…。
それだけは認識した上で、読み進めていただきたい。
甘くないからこそ、上がる価値のあるリング。
挑んでいく村松を応援する仲間たちが会場に詰めかける。
6回戦ボクサーとしては信じられない数のチケットを売り上げる村松。
負けても、負けても、その勝利を信じて会場にやって来る。
村松が最強じゃないことなんてわかってる。
B級で勝ち星のないボクサー…だけど、村松じゃないとダメ。
この日のセミファイナル。
村松Tシャツを着たファンたちが、会場の一角をそのカラーで埋める。
「sakanaさんの配信で試合がしたかった」
そんなことを言ってくれる村松。
僕も含め、村松にほだされた人間たちが、彼の登場を心待ちにする。
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