2024/8/4 -静岡・ふじさんめっせ産業交流展示場- 第9試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
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【スーパーバンタム級8回戦】
植松 卓美(駿河男児) vs 鳥井 士恩(角海老宝石)
動画:試合時間 4:04:41 – 4:38:41
ジャブの刺し合いから始まった試合、鳥居が右をかぶせて先制。
まだ入りの固さが抜けない植松に対し、右が当たることで一気にほぐれたか。
鳥居が何度も右を突き刺していく。
植松は右を被されながらも、徹底的にジャブを突いて対抗。
2Rに入ってもジャブを突き続ける植松、鳥井は踏み込んで強打。
このラウンド中盤、ようやく植松がジャブから右フックに繋げて強烈なヒット。
しかし、鳥井は植松がジャブを突きながら出て来たところに強烈なボディ。
終了間際も、出て来た植松にロープを背負いながら、左右フックをヒット。
足を使ってジャブを突く形から、前に出始めた植松。
鳥井が迎え撃ちながら詰めて来る植松を強打で襲うが、植松はひるまず。
強烈にボディを着きながら前に出て行く。
4R、前に出る植松に対し、下がりながらも一発刺さればコンビネーションで捉える鳥井。
ここに来て、植松の突き続けて来たジャブが鳥井の顔面を跳ね上げる場面が出始める。
離れればジャブ、近付けばボディ…強烈な反撃を喰いながらも、植松が押し込んで行く。
5Rは前に出る植松と鳥井のファイト。
お互いに猛烈にボディを削り合い、顔面へもダメージブローが飛び交う。
ラウンド後半には動きの落ちた鳥井に、ジャブからコンビネーションへと繋げる植松。
6R、詰めて来る植松に、鳥井が強打で対峙する。
消耗したと思えた鳥井が、まさかの盛り返し…一発一発強打で捉えてファイトで上回る。
ラウンド後半には植松の入る頻度が減る…鳥井が植松の前進を強打で止めた格好。
7R、下がって距離を維持しながら、ジャブの引きに合わせて飛び込み、上下に襲う鳥井。
試合は腹の削り合いへ…、鳥井が回転で上回り、ファイトで上回って最終ラウンドへ。
流れは鳥井、マイジャッジは植松1Pリード、鳥井に転んでいてもおかしくない。
ラスト3分間の勝負…。
8R、一気に攻めてかかり、走り切らんとする鳥井、出し切りにかかる。
もっとやれる…もっとやれる…そんな気持ちがにじみ出るように攻めて行く鳥井。
そこにカウンター一閃、植松の右が突き刺さって鳥井がダウン。
すぐに立ち上がって攻めて行く鳥井、劣勢のラウンド、もはやポイントはわからない。
ダメージのあるはずの鳥井が、撃ち勝った状態で試合終了のゴング。
動画:試合時間 2:23:40 – 2:26:07
マイジャッジは77-74で植松
公式ジャッジ
76-75 ×3
3-0 で鳥井
際どかったが、前半1,2Rのジャブを評価しての植松支持。
恐らく最初の2Rをとれていなかったのだろうと感じる。
映像で見ると、現地で感じたほどヒット率は高くなく、
鳥井がガードで抑える場面が目立っていた。
中盤、鳥井はいったん出力が落ちたように思えた。
休んだのか、ボディが効いたのか…そこからもう一度後半に向けて盛り返した。
6R、7Rを制したことが勝敗に直結したように思う。
努力家として名が売れる植松に対し、練習量を感じさせる戦いぶり。
「お前だけじゃない…」そんな言葉を植松に叩き付けるようにも見えたシルエット。
ボクサーらしいカッコよさがリングの上にあった。
前半、植松はジャブを狙われたように見えた。
ボクサーの生命線、特に植松のように綺麗に創り上げられた選手にとってその傾向はより強い。
経験値の高い選手はさらにここから種類やタイミングを増やしていく。
ただ、植松は徹底的にジャブを突いて行った。
前半でジャブを捨てれば、植松のジャブはこのグレードで通用しなかったことになる。
ジャブを突き続け、自分のボクシングを貫き、そのうえで展開を盛り返していった。
叩き上げながら、連戦連勝でここまで勝ち上がって来た植松。
アマチュアで選手が育ってくる現代ボクシング、ここまでが出来すぎとも言える。
駿河男児イチの努力家と言われる植松だが、A級戦線には幼少からの積み上げのある選手が多くいる。
植松が他の競技に没頭している間、純粋にボクシングに時間を捧げて来た選手たちだ。
同じたたき上げでも、A級に上がって来た選手であれば、
植松と同じく、そこに挑んで行く選手達しかいない。
植松のジャブ、ボクシングはA級でも通用する。
だけど、まだまだやれることはある、もっと強くなれる。
それが見えた植松の初黒星、A級初戦。
負けてからがボクシング。
植松がより面白くなった。
植松 卓美 7戦6勝1敗
鳥井 士恩 10戦7勝(3KO)3敗
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