2024/5/27 -東京・後楽園ホール- 第7試合(中日本ボクシング観戦記・番外編) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【ライト級8回戦】
柳堀 隆吾(花形) vs ○ 宮本 知彰(一力)
8R判定 0-3(75-77、75-77、75-77)
前の手の刺し合いで始まった試合。
まずは宮本が右ストレートを強烈に突き刺す。
対して柳堀も右ストレートをボディへ。
入ろうとするところに拳を合わせる宮本と、右ストレートを撃ち込んで行く柳堀。
2R、宮本が長いパンチで襲っていく立ち上がり。
前の手をお互い忙しく動かし、大砲を撃ち込むタイミングを探り合う展開。
ラウンド中盤には柳堀が連続で右ストレートを浴びせる。
終盤には宮本が印象的なワンツー…まだまだ一進一退。
3R、宮本が強烈な右ボディを突き刺すと、左ストレートも追撃。
一瞬柳堀の動きが止まったようにも見えた。
タイミングの奪い合いの中で、右ストレートと左ストレートの撃ち合い。
ラウンド終了間際に、宮本が左ストレートを2つ突き刺す。
4R、前に前に詰める柳堀、押し合う時間が長くなり始める。
タイミングよくヒットを奪っているのは宮本の方だが、
手数では柳堀が上回るように思える。
5Rに入ると、左ボディストレートから右フックに繋げる宮本。
ロングレンジの戦いだった試合、徐々に距離が詰まってきたように見える。
手数でも宮本…主導権がはっきりし始めたか。
6R、ここで柳堀が盛り返す。
ストレートの撃ち合いになる中、ワンツーをヒットさせた柳堀。
宮本が抜け出すかに思えたが、柳堀が食い下がって試合は拮抗。
7R、踏み込んで右を撃ち込む柳堀に対して、ボディからえぐっていく宮本。
中盤には柳堀が右ストレートを撃ち込めば、宮本が返す刀の左ストレート。
大きく柳堀の顔面が跳ね上がる。
接戦となる中で、宮本が印象的なシーンを残す。
8Rは両者が渾身の撃ち合い。
ポイントは微妙、このラウンドを獲れるか否かで勝敗が決する。
どちらも出し切るように戦って試合終了のゴング。
マイジャッジは77-75で宮本
公式ジャッジも三者とも77-75の宮本勝利。
三連敗からの三連勝でランカー撃破。
錚々たるメンバーの中に、負け越し戦績だった男が食い込んだ。
喜びを爆発させる宮本、客席もまた大きく盛り上がった。
「日本下位ランカー」の肩書は、映像で見る世界戦線からすれば小さなものかもしれない。
その価値は前座4回戦から見続けて初めて理解できる。
どれだけの選手がB級にさえ上がれずに辞めていくか。
B級の壁で何年も勝てない選手がどれだけいるか。
A級にもまた壁があり、そしてランカーとの間には大きな差があるもの。
宮本もまた、プロデビューから8年の歳月をかけてのランキング入りだ。
アマチュアでも実績があり、B級デビューを果たしながらも、これだけの歳月を要している。
続けるだけでも大変なボクシングで、ここまで辿り着く。
ボクサーは自分と同じ人間だ。
ここまで何かに没頭し、歳月をかけ、自分自身の人生を注ぎ込むことができる。
常人のなせることではない。
そして、この日敗戦した柳堀はランキングを失った。
たった一つの敗戦で、「もう一度」厳しい厳しい
ランキング奪取への道のりを歩みなおさなければならない。
ランキングを争うし烈さ、日本ランカーの偉大さを感じ取ることができた。
両者ともナイスファイト。
素晴らしい試合だった。
柳堀 隆吾 14戦10勝(1KO)4敗
宮本 知彰 18戦10勝(8KO)8敗
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