2019/11/24 -愛知・刈谷あいおいホール- 第4試合~第6試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【54.0kg契約4回戦】
野元 尚樹(岐阜ヨコゼキ) vs 手島 翼(タキザワ)
野元 尚樹 デビュー戦
手島 翼 デビュー戦
細かく細かくジャブを出していった手島に対し、しっかりと外しながら左フックを叩きつけた野元。
ひるまず手数を出していく手島だが、野元のガードは硬く、しっかりとパンチを抑えながら
空いたところに強烈に左フック、左アッパーと撃ち込んで行く。
対して手島は近付いた局面で、上をコツコツと叩きながら、強いパンチで腹をえぐる。
ラウンド中盤、足を使い始めた手島に対し、鋭利にパンチを叩き込みながら詰めた野元。
コーナー付近、野元が右フックで手島の顎をえぐると、手島が前のめりに手を着くダウン。
スッと立ち上がった手島だが、膝が揺れ、完全に足に来ている状態。
再開後、詰めて撃ち込んで行く野元だが、手島がクリンチに逃れる。
ラウンド終了直前、防戦一方だった手島が、攻め込んだ野元にワンツーを突き刺して反撃。
2R、下がりながら強烈にボディをえぐる手島。
詰めて来る野元に対し、ワンツー、ジャブをこまめに出して野元を遠ざける。
ラウンド中盤、右アッパーでタイミングよく捉えと、回転よく野元の顔面を捉える場面を作る。
野元は貰いながら左フックで捉え返すと、その後は野元が押し込んで
強烈に手島の顔面を跳ね上げていく…
近い距離での撃ち合いになれば、回転で上回る手島。
下がりながら撃ち込むボディも強烈だが、見栄え良くヒットさせるのは野元の方。
3R、前に出始めた手島が野元の腹を強烈に襲うが、
野元が返す左フックで手島の顔面が跳ね上がる。
接近戦が続く中、ラウンド終盤、手島が強烈なアッパーで野元の顔面を跳ね上げると、
野元は負けん気強く押し返し、またも左フックを手島の顔面に叩き付ける。
4R、圧を強めて詰めていく野元に対し、
押し込まれながらもしつこくしつこく右ボディを叩いて行く手島。
かなりいい角度でいくつも入る手島のボディだが、野元は効いた素振りを全く見せず…。
ガードを固めて前に出ながら、力のこもったパンチを強烈に突き刺していく。
試合終了直前には野元がパンチを集める中、手島が耐えきる形で終了のゴング。
マイジャッジ 40-35 野元
公式ジャッジ 40-35×3 野元
1Rを除き、各ラウンドの差はそれほど大きくなかったように思えるが、
野元が着実にラウンドを抑えてのフルマーク。
下がりながらのボディが光った手島だが、
野元を止めるには至らず…4Rでは時間が足らなかったか。
あのボディでもペースの変わらなかった野元を褒めるべきだと感じる。
有効な武器であることは間違いない。
対して、ダウンを奪い、ペース落ちずに詰め続けた野元は
来年の新人王戦、組み合わせによっては本命となる可能性も高いように感じた。
高いガード、効率的なプレス、そして落ちぬ体力。
どこかスマートなファイター…楽しみな逸材が現れたように感じる。
【バンタム級4回戦】
加藤 駿希(天熊丸木) vs 冨田 風弥(伊豆)
加藤 駿希 デビュー戦
冨田 風弥 4戦2勝(1KO)2敗 サウスポー
ファーストコンタクト、いきなり冨田の右フックが突き刺さり加藤がダウン。
「パキャっ」っという生々しい音が響き渡る強烈な一撃。
立ち上がった加藤、いったん距離を取って立て直そうとする加藤だったが
左ストレート、右フックを単発ながら強烈に被弾したところで、レフリーが割って入る。
少し早いようにも感じたが、止められた加藤の膝はガクガクに揺れている状態。
KOタイムは1R 55秒
後楽園ホールでアップセットを起こし、伊豆ジムの初勝利を挙げた男が、
刈谷のリングでも前評判の高かった選手を相手に勝利をさらった。
そんな試合を何試合も重ねる…それは即ち、過小評価の証明。
見ている人たちが思っている以上に、冨田は強い。
それをその拳で着々と証明している。
来年の新人王戦、エントリーがあるなら、一気にその名を売る可能性も存分にあると感じる。
期待選手だったはずの加藤のデビュー戦は、開始10秒経たずして勝負が決まった。
結果論でしか語ることができないが、試合への入り方に問題があった。
一瞬が全てを決する…裏を返せば、この一瞬の為に1試合が…
その1試合に向けられた膨大な時間が存在する。
強くなるために、絶対に知っていなければならない一瞬の怖さ。
それを体感した以上、きっと同じ過ちは犯さないだろうと思う。
強くなるための…そして大きなドラマを積み重ねる為の布石は打たれた。
加藤 駿希に期待していようと思う。
【スーパーライト級4回戦】
片岡 晃誠(蟹江) vs 冨田 雅季雄(三津山)
片岡 晃誠 5戦2勝(1KO)3敗
冨田 雅季雄 7戦3勝(2KO)3敗1分 サウスポー
立ち上がり、先手でパンチを差し込むのは片岡の方。
ジリジリとガードを固めて近づく冨田、
貰いながら詰めたところで強烈に片岡を捉える。
ほとんど手を出さない冨田だが、出す時には強烈に捉える。
手数もヒットも全てで上回られながら、一撃を狙い続ける冨田。
判定は捨てているようにも感じる。
2R、変わらずジリジリ詰めていく冨田に対し、
片岡の右ストレートも強烈に突き刺さる。
しかし、それでも前に詰めていき、左ストレートを叩きつける冨田。
片岡もボディでやり返すが、徐々に徐々に相撃ちの場面が増え始める。
ラウンド中盤には撃ち合いに引きずり込み、冨田が強烈に腹をえぐり始める。
しかし、終盤には逆に片岡が冨田をコーナーに詰めて腹をえぐり返す。
3R開始直後、狙い続けた冨田の一撃…左が片岡に突き刺さりダウン。
立ち上がった片岡だが、冨田が右を追加して二度目のダウン。
レフリーはカウントをストップ。
TKOタイムは 3R 0分47秒
一撃を撃ち込むためだけの12分間。
セコンドから頻繁に飛んだ「そこドーン!」の指示もまさにそれを指し示す。
コーナーと選手がガッチリとハマり、今年34の冨田がそのスタイルを確立したようにも見えた。
ここから6回戦か…新人王か。
気持的にはB級の冨田が見たい思いが強いが…
いずれにせよ、今年一気に化けた感の強い選手。
ここからの数年が楽しみで仕方ない。
「片岡は実力者」
僕はそう言い続けて来た。
その思いはこの試合の後も変わらない。
一撃を狙われる…そうとう嫌なものだろうと思えるが、
冨田の狙いに臆することなく、前半2つのラウンドを力のこもったパンチで制した。
軽く当てて躱すのも選択肢の一つだと思うが、片岡はそれをしなかった。
だからこそ起こったKO劇…だからこそ、強さを感じた片岡の姿。
片岡は負けてなお強し…足りないのは結果だけ。
それの結果がついてくるようになるときを、楽しみにしていたいと思う。
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