2023/12/16 -台湾・桃園市- FirstDrop Anaconda vs Iron Breath 前置き(中日本ボクシング観戦記・番外編)

2023/12/16 -台湾・桃園市- FirstDrop Anaconda vs Iron Breath 前置き(中日本ボクシング観戦記・番外編)

 

台湾時間 16:45に会場入り予定。
16:00には緑ジムの廣瀬トレーナーと共にタクシーに乗り込んで空港を出発した。

早朝4:30頃に飛行機が到着し、そこからひたすら空港の椅子で眠り続けた。
少しでも体力を確保しておきたかった。
どこでも寝れる体質だが、それなりに体は痛む。
腰と肩がどんよりと痛かった。


台湾まで駆け付けた廣瀬トレーナーは大量の荷物を抱えていた。
「当初、陣営が試合に間に合わないかもしれない」
試合前に巻いておくバンテージもセコンドもどうすればいいのか…。

行ってみたら試合開始時間が異なるなどもあり得る。
ポスターが出ているとはいえ、それ通りに行くとは限らない。
「何があっても大丈夫なように」

結局は試合前に、セコンド陣が間に合うことは見えていたが、それでも油断はならない。
万が一にはセコンドにも入れるだけの準備を整えている廣瀬トレーナーの姿がある。
試合前の大坪さんに安心してもらうことが一番の目的だった。

何より「大丈夫」の言葉を何度も投げつけて来た。
土壇場でその言葉に不安感を持たせたくなかった。


この2か月ほど、僕はSNSでもプライベートでも、大坪 真実(台湾)の名前を連呼し続けた。
Insta Live での雑談の中で出来上がっていった話。
日本人として初めての台湾管轄プロボクサーとなる。

しかし、その凄さに気付いている人がどれだけいるだろうか。
試合に出る為の練習をこなしながら、試合の契約にこぎつけるまで、
何か月も振り回され続けた日々が、どれだけの人に伝わるだろうか。

夢に向かって突き進み、苦しみ、笑う姿が魅力的だった。
台湾のリングで多くの人に愛されるボクサーが産まれるはず。
知ってもらえさえすれば…自分にできること、わずかでもいいと思った。


sakanaさんに話を持ち掛けたとき、いつも通り二つ返事だった。
なんだったら返事より先にスケジュールを抑え始めた。

アマチュアボクシングに sakana さんが大事にされているのか?という疑問があった。
僕は中日本のボクシングに大事にしてもらっている。
だからこそ、これだけアクティブにやらせてもらえている。

日本のアマチュアボクシングが sakana さんを大事に扱ってくれないのなら
プロボクシングや海外へ活路を見出してもいいんじゃないだろうか。
sakana さんを必要とする場所はいくらでもある。

「海外なので振り回されるかもしれません」

事前にそう伝えてはいたが、事前の調整で日程や場所が突然ごそっと変わる事態に
流石の sakana さんも振り回されてしまっている感はあった。

廣瀬トレーナーと到着した現地。
そんな状態でも sakana さんはいつも通りだった。

移動が大変なのはいつものこと…さも当たり前かのようにこなす。
プロの配信をやっていただき、その足で北海道や鹿児島へ飛んで行ったこともある。
sakana さんのたたずまいは、国境を越えても同じだった。

雑談しながら、大坪さんを待つ。
全員で揃って大坪さんを迎えることができた。

前日からグッと冷え込んだ台湾。
それでも日本よりは暖かいだろうが、半そででも…と聞いていた感じとはだいぶ違う。
しっかりとジャケットを着て、大坪さんと合流をした。


緊張もあったか、彼女の表情は引き締まっていた。
刈谷でエキシビジョンを戦ったときとも、刈谷で会話させていただいた時とも違う。
戦う前のボクサーに美しさを感じることは、男子でもある。
同じ美しさに加えて女性のフォルムが重なった姿に衝撃を受けた。
戦う前の女子ボクサーはかくも美しいものか。

そんな衝撃を言語化できるのも、時間が経って落ち着いてからのこと。
その瞬間は、ただただ息をのむような感覚に陥っていた。

会場に向かって歩みを進めるが、いくつも建物がある学校の敷地内。
どの建物かがわからない。

道案内もポスターも出ておらず、敷地内を右往左往する。
「行けば分かる」日本の会場とは違う。

大量の荷物を持って歩き回る一行に、申し訳なさそうな顔をする大坪さん。
大坪さんが悪いわけではない…そして、これくらいのことは起こるだろうとも思っている。
プロモーターに連絡がつき、言われた通りに建物に辿り着く。

会場に入ると、スモークがガンガンに炊かれる中、照明が色鮮やかに映えていた。
一目見て、豪華な演出とわかる光景。
Youtube配信用のカメラもかなり本格的。

段取りや、スムーズさは圧倒的に日本の興行が秀でているが、
観客に見せるという部分ではプロボクシングの歴史が浅いはずの台湾が圧倒している。


あわただしく走り回る関係者たち、カメラ位置の交渉もタイミングを見ながら。
並べられたグローブのメーカーはバラバラ。
ベトナム人選手にはフィリピン人トレーナーが付き、バンテージを巻いている。
多くの関係者が集まってそれをのぞき込んでいる。

「まだまだ台湾は未熟なことが多い、みんなこの場で様々なことを勉強している」


17:30に到着する予定だった台湾のトレーナー陣は遅れて18:10の到着。
中には杉田 ダイスケ(ワタナベ)に勝利して
WBOフェザー級グローバル王座を獲得したリー・ユージャ(台湾)の姿もあった。

遅れていると聞いても、廣瀬トレーナーが来てくれていたことで、安堵の感覚があった。
「何があっても大丈夫なように」が効いている。
僕自身が焦らずに済んだ。
焦った姿を見せずに済んだ。


あれほどあわただしかった台湾のリングだが、20分前にはきっちり整っていた。
事前はきっちりしていなくとも、最後にはしっかりと帳尻を合わせる。
配信もスタンバイに入る。


ここでいつもの前置き。

自分はファンではあるが、熱狂的なマニア程の肥えた目を持ってはいない。
自分より凄いと思えるファンはそこらじゅうに転がっている。
ここに書く内容に誤りが多分に含まれることもある。

先に言い訳をしておきたいわけではなく、そういうものだと言っておきたい。
同じ試合を見ていても、違う感想を持つファンもいるわけで…。
ここに書いたことが正解ではないと…。
それだけは認識したうえで、読み進めていただきたい。


響き渡る音響…かなり具合もいい。
スクリーンにはしっかりと作られた煽り映像。
8回戦のない小規模工業の演出とは思えない豪華なもの。

立ち込めるスモークの中を第1試合の出場選手たちが入場して来た。

 

 

 

 

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