2023/08/20 -愛知・刈谷あいおいホール- 第6試合、第7試合(中日本ボクシング観戦記)　ボクシング選手名鑑ピックアップ！

■中日本スーパーバンタム級新人王決勝
【スーパーバンタム級4回戦】
時弘将志(とよはし)　vs　武藤涼太(松田)

時弘将志　8戦3勝(1KO)3敗2分
武藤涼太　2戦1勝(1KO)1分

出だしからガンガン詰めていく時弘。
この距離は時弘の距離…と思いきや、その距離で打ち勝っていく武藤。
強烈な被弾もありながら、前の手が時弘の高いガードを横から下からすり抜けるようにヒットする。
2R終了間際には強烈な左ストレートを突き刺し、時弘に鼻血を出させる。

武藤の一方的な展開か…に思えたところから、
終盤に向けて時弘が徐々に徐々に盛り返し始める…。
試合終了に向かってペースを上げて行った時弘に対し、武藤は若干落ちてくる中、
最終ラウンドには僅かに時弘が撃ち勝って試合終了のゴング。

4Rには4Rのペースがある。
短いからと言って、スタミナ切れしないわけではない。
逆にスタミナに余裕を残しても意味がないもの。
武藤が最終ラウンドに僅かに落ちたのは正常なものだと感じる。

時弘が温存したのかと言えばそうではないと感じる。
武藤は決して楽なボクシングをさせたわけではない。
撃ち合いの中でポイントで上回られながら…最後までペースが落ちず
さらにテンポアップしていった時弘の方が異常だったように見えた。

既にB級昇格の権利を得ている時弘。
これから6Rの戦いでは、このスタミナが大きな武器になるように思える。
時弘のB級戦線、注目して行きたいと思っている。

終盤にまくられはしたが、ファイターをファイターの土俵でねじ伏せる戦いぶり。
武藤がはっきりとその強さを示したようにも思える。
これまで、全日本新人王候補と言われる選手たちを苦戦させてきた時弘を
はっきりとした判定勝利でねじ伏せた。

この勝利で中日本新人王戦技能賞を受賞。
堂々我らが中日本新人王として、全日本新人王を期待したい。

■中日本バンタム級新人王決勝
【バンタム級4回戦】
樫谷樹歌(タイガーウイング)　vs　平柳道彦(LUSH)

樫谷樹歌　3戦2勝(1KO)1敗
平柳道彦　1戦1勝

大きなパンチで襲い掛かる平柳を、ジャブや長いパンチで遠ざける樫谷。
樫谷がコントロールするかに思えたが、1R終盤、平柳の大きな右が炸裂する。

飛び込み様、離れ際に強烈な右を撃ち込む平柳。
対して樫谷は強烈なカウンターでやり返す。

3R後半からは撃ち合いとなる中、外しながら撃ち込み
上下に打ち分ける樫谷がやや有利か。
前に出続けたのは平柳の方。
平柳を評価する形もありに思える。

試合は拮抗したまま、試合終了のゴング。

マイジャッジは38-38

公式ジャッジは 39-37×2 38-38
勝者：樫谷

想像以上に平柳が強かった。
大きく撃ち込む拳はしっかりと樫谷を捉え、苦しめた。

前後の動き、上下のパンチを交えた樫谷に対して、
愚直に前へ出て、顔面を襲っていった後半。
紙一重の勝負を分けたのは細かい工夫だったようにも思う。

仮に樫谷が見せたようなバリエーションが平柳に加われば…。
まだまだ強くなる要素がある、その状態でここまでの試合をする。
来年の新人王戦、再度のエントリーがあれば、注目すべき選手の一人になるはず。

その時までにどこまで強さを増していくのか。
しっかりと伏線の張られた1年目の新人王戦。
今後の成長ぶりを注視して見たいと感じさせられた。

樫谷をもってしてもここまで追い込まれる。
プロボクサーが得るタイトルの中で最も小さなタイトル「地区新人王」。
これが欲しくても届かない選手が何人もいる。

今年の中日本新人王トーナメント、最も厳しい戦いを乗り越えたとも感じる。
大きな期待値を背負いながら、シビアな殴り合いを乗り越えた樫谷。
堂々、我らが中日本新人王として、この先の戦いに挑んで行く。

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