2019/03/17 -愛知・刈谷市あいおいホール- 1試合目、2試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【バンタム級4回戦】
高畠 愛大(タキザワ) vs 佐藤 光(畠山)
高畠 愛大 デビュー戦
佐藤 光 4戦1勝2敗1分
1R、左を突きながら入っていこうとする、ブルファイターの佐藤。
お互いの腕が絡み合ったところで、空いた方の拳を叩きつけていく。
ラウンド中盤、佐藤が入って来る所を、高畠の右フックが捉える。
綺麗に捉える高畠だが、体で押し込み、ガチャガチャと攻める佐藤に押し込まれる。
2R、左フック、右アッパーで佐藤を強烈に捉えた高畠。
しかし、ファイターの佐藤は左を突きながら入り込み
ガチャガチャとヒットを奪う…決して綺麗ではないが、これがどう採点に反映されるか…。
3R、佐藤の前進の圧力が増す。
フレームの小さい佐藤だが、相手をグイグイ押し込んでいくフィジカルは強く
密着してショートを撃ち込んでいく。
綺麗にもらう場面は作らない高畠だが、佐藤の圧力に手数が減っていく。
4R、ある程度距離が空けば、高畠の強烈なアッパーが何度も佐藤を捉える。
しかし佐藤の前進は衰えず、コツコツコツコツと拳を当てていく。
しつこく、しつこく、手の出る佐藤。
押し合う時間が長くなった最終ラウンド、試合終了のゴングが鳴る。
マイジャッジ 38-38
公式ジャッジが発表される。
39-37 高畠
39-38 佐藤
数か…見栄えか…割れるのが必然にも思えた試合。
最後のジャッジは…39-38
ドローはなし。
勝者…
高畠
高畠は相性の悪い相手に対し、勝ちを拾った形…。
佐藤のしつこい前進に、力を封じられたようにも見えた。
次の試合以降、パフォーマンスははっきりと上がるだろうと感じる。
何よりデビュー戦から、綺麗なアッパーを撃ち込む高畠に驚いた。
出て来る佐藤を何度も何度も捉えたそのショットは、今後をワクワクさせてくれる。
奥の手のアッパーが撃てない選手は実は多くいる。
ブルファイターの生存権は前進しかない。
左を突きながら入り込みただひたすらに両の拳を叩きつけた。
決して綺麗ではないボクシング…それしかない男がそれを貫く姿。
それもまた、ボクサーのシルエット。
ボクシングが巧いのは、きっと高畠だっただろうと思う。
佐藤に、器用さは微塵も感じない…とても不器用に思える佐藤が、
強烈なアッパーでえぐられながら、止まらぬ前進で押し込み、
どちらが勝ちでもおかしくない試合に持ち込んだ。
デビュー戦から輝きの片鱗を見せた高畠。
不器用さをしつこさで埋めた佐藤。
対極的なシルエットの二人が拳を交えた試合…魅力的だった。
■中日本フェザー級新人王準決勝
【フェザー級4回戦】
太田 奏人(中日) vs 伊藤 敏(蟹江)
太田 奏人 2戦2勝 サウスポー
伊藤 敏 7戦2勝(1KO)4敗1分
1R、距離を取ろうとする伊藤に対し、ワンツーを撃ち込んでそのまま詰めていく太田。
密着した場面では太田のショートがコツコツと伊藤を叩く。
お互い久々の試合…太田の巧さは健在。
2R、伊藤が前に出ると、伊藤の右ストレートが強烈に太田を捉える。
中盤、逆に伊藤の入り際を太田の左ストレートが捉えるようになり、試合はストレートの撃ち合いに。
距離が近づくと小さくひっかけては離れる太田。
ラウンド終了直前、圧力を増して詰めた伊藤、コンビネーションで太田の顔面を捉える。
3R、スッと入って右アッパーからの左ストレートを撃ち込む太田。
太田がペースを握りかけたかと思えた矢先、左の脇に右手のグローブを挟むような仕草を繰り返し始めた太田。
ブランクのもととなった脱臼癖…ここでまた、外れてしまったか…。
左が思うように出せない太田、それでも致命打は撃たせないまま、
右一本で対峙し、ラウンド終了のゴングへ。
インターバル中、太田の左肩を入れるセコンドのジェフ・ピーター。
…ポイントは拮抗しているように思う。
マイジャッジでは1P太田がリード…残り3分。
セコンドの判断は…続行。
4R、動きはするが痛いはずの左肩…減ってはしまったが、その左を繰り出す太田。
小さく細かく右を中心に捌きながら伊藤を捉えていく太田…しかし、勢いを増す伊藤を防ぎきれない。
それでも、伊藤のストレートをしっかり外している分、ヒット数なら太田か…。
防ぎきるどころか、太田は勝利の可能性を残して、試合は判定へ。
マイジャッジは…38-38 ドロー。
優勢点 伊藤
それでも、3R、4Rがどう転ぶかで、太田に勝利が転ぶ可能性も充分にある。
判定は際どい…。
公式ジャッジ…。
39-37、39-37、39-38
3-0
勝者、伊藤。
以前と変わらず、抜群のセンスを魅せつけた太田。
片手で拮抗したラウンドを作った部分もやはり太田だったからできたことと思う。
脱臼癖を治すためのブランク…耐えた1年4カ月。
それが…この形は言葉が出なかった。
ボクシングの神様が意地悪過ぎる…。
安易な言葉を書くこともためらってしまうようなストーリー。
ファンとして言えることは…。
どうか、神様に負けないで欲しい。
太田 奏人がリングに立つ姿は、まだまだ見たい。
伊藤は2年以上の時を経てリング復帰を勝利で飾った。
東京で活躍していた為、初見だったが、長い距離で太田とやり合った。
相手にトラブルはあったが、前半2Rで五分だったからこそ、手中に収めた白星。
8月の決勝のリングを勝ち取った。
対抗ブロックの準決勝は中野 精(杉田)vs三輪 珠輝(松田)。
切れ味鋭い右ストレートを持つ中野と、実力者の三輪。
どちらが出てきても、厳しい戦いになるだろうと思う。
毎年トーナメントをかきまわす存在が出てくるのも新人王。
まずは抜群のセンスを誇る太田を破った伊藤が、今年のシンデレラに一歩近づいたように感じた。
勝利者インタビューでは、今月で閉めると言う実家のちゃんこ屋を宣伝。
父親が商売を引退。自分がボクシングを引退したら後を継ぐため、それまで店を休止するそうだ。
勝利者インタビューを父に向けた「お疲れさまでした」で締めくくった伊藤。
まずは余韻に浸って欲しい。
佐古木駅すぐの、「ちゃんこ 雷昊」。
伊藤のボクサーズロードをひとしきり楽しんだ後、行ってみたい。
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