2019/03/17 -愛知・刈谷市あいおいホール- 3試合目、4試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ！
■中日本新人王スーパーバンタム級新人王準々決勝
【スーパーバンタム級4回戦】
中西 楓太(鈴鹿ニイミ) vs 畑 直宏(平石)
中西 楓太 1戦1敗
畑 直宏 3戦3敗
ゴングが鳴るとともに飛び出して撃ち合っていく畑。
中西もまた、応えるように畑と撃ち合う。
試合の最中、ただひたすらに手を出すのが畑のスタイル。
ガードなんてほったらかして…のはずが…この日はガードが上がっている。
ガツガツ撃ち込んで来る畑に、中西も負けじと拳を撃ち込んで対抗。
攻撃編重型の畑の頭を、右フックで弾き飛ばす。
それでも勢いを落とさない畑…。
お互いに強烈にパンチをもらい合いながら、先に引いたのは中西。
足を使い始めるが、そこを追いかけて、強烈なボディを撃ち込んだ畑。
中西はしゃがみ込むようにグローブをキャンバスにタッチ。
ここは立ち上がるが、再開後、また猛烈にボディへパンチを集める畑に2度目のダウン。
再開後はまた、畑の右ボディでリングに突っ伏して悶絶。
ここでレフリーが試合をストップ。
TKOタイムは1R 2分 25秒。
中西はこれでデビュー以来、2戦連続の1RKO負け。
しかし、何もできないまま終わった前回と違うのは…。
強烈に相手を捉えたこと。
撃ち合い身上の畑と真っ向から撃ち合い、プロのリングで初めてプロボクサーを捉えた中西の拳。
その感触は、まだ残っているだろうか…。
少しずつでいい…強くなっていけば、それがそのままボクサーとしての魅力になっていく。
1戦目が25秒、この日が2分25秒。
中西にとってまだ3分に満たないプロのリング。
この選手が初勝利を挙げるのを心待ちにしたい。
畑はこれでようやく初勝利。
ガードもへったくれもなしにただひたすら手を出していく白黒映像のようなボクシングを指して
中日本のピストン 堀口などと言ってきたが…。
この日、畑は勢いそのままに、しっかりとガードを挙げていた。
時代が早送りされていくかのように、畑が成長を見せる。
決して器用な選手ではないし、センスなんて全く感じない。
でも…12分間撃ちまくるボクシングができる選手は稀有だ。
生き様のようなファイトをこれからも楽しみにしていたい。
勝った畑は次戦では準決勝として注目ホープの中村 龍明(市野)と対戦。
知名度も、人気も、戦前の勝利予想も…きっと中村の方に軍配が上がるだろう。
しかし…そんな試合でも、もしかしてを感じさせるのは、
畑のようなファイターに飲み込まれる有望ボクサーが何人もいた…。
そんなボクシングの歴史もあってのことだと感じる。
この日、樋口 怜良(ARITOMI)と対戦する予定だった中村だが
樋口の怪我による棄権で不戦での勝ち抜けとなっている。
激戦区のスーパーバンタム級、対抗ブロックの準決勝のカードは次の試合で決定する。
■中日本新人王スーパーバンタム級新人王準々決勝
【スーパーバンタム級4回戦】
阿部 史也(タキザワ) vs 高田 雅人(とよはし)
阿部 史也 3戦2勝(2KO)1敗 サウスポー
高田 雅人 3戦1勝(1KO)1敗1分
1R、高田の左に阿部が右を被せたのがオープニングヒット。
距離を測り合う二人、お互いに距離が遠い中で、スッと入り込んで左ストレートをボディに当てる阿部。
ラウンドが進むごとに、阿部の長いパンチが高田を捉えるシーンが目立つ。
終盤、左ストレートが強烈に高田を捉えて、ラウンド終了のゴング。
2Rもまた、ロングレンジの攻防になるが…高田はまだ距離が合わないか。
返しを外され、撃ち終わりを合わされる。
パンチの数がお互いに少ない展開となったが、
阿部の軽く出す左ボディストレートが時折ヒットする。
ラウンド終了間際、この試合、初めて近い距離での攻防となると
ようやく高田が左フックで阿部の顔面を捉える。
3R、展開を変えようと詰めていく高田。
右を撃ち込む場面も作り出し、阿部をロープに詰める。
激しく撃ち合うシーンも発生するが、阿部は詰められながらも打ち勝ってみせる。
このラウンド、高田が偶然のバッティングで左目上をカット。
4R、開始直後、阿部が強烈な左ストレートで高田の顔面を捉える。
お互いの前の手が絡み合うと、空いた左拳を高田のボディに叩きつける阿部。
ここまで堅実に来た阿部が、ここに来て一気に圧力を増す。
高田の右ストレートに、阿部の右フックが刺さり、高田のアゴが歪む。
さらに近い距離での撃ち合い…強烈なボディが何度も高田を襲い、
阿部がしっかり撃ち勝ってラウンドが終了。
マイジャッジ 40-36 阿部
公式ジャッジ
39-37、40-37、40-36
3-0 阿部
昨年、阿部に1RKO負けを喫していた高田にとってはリベンジマッチだったが…。
力の差を感じる敗退となった…高田が伸びれば、阿部も伸びている。
しかし、3Rには阿部をロープに詰めるシーンを作った高田。
佐藤 康平(薬師寺)との密着ボクシングの中でもがいた2試合が効いているようにも思えた。
これで新人王戦は敗退となったが、逆にこれでオープン戦で高田が伸びていく姿を楽しむことができる。
次は夏か…秋か…、これまで戦った相手は、誰もがやりにくいだろう佐藤、
そして全日本新人王が期待されるサウスポーの阿部。
両者と拳を交えた4試合を今後どう昇華してくるか…ここから先が楽しみで仕方ない。
阿部は静かな序盤、堅実にポイントを拾い、最終ラウンドは回転の速く高田を圧倒。
ただただ強さを感じさせた一戦。
次戦には、阿部と同じくサウスポーの後藤 憬(中日)が待ち受ける。
戦績は4勝4敗1分の五分だが、手を合わせた選手が口々に「やりにくい」と口にする技巧派…。
僕がこのトーナメントで優勝予想に推している選手でもある。
中日本4回戦屈指の好カードと思えるカード、さらに準決勝の対抗ブロックには中村 龍明(市野)。
3名ともに全日本新人王決定戦の舞台で勝負してほしいと思わせてくれる選手。
大激戦区スーパーバンタム級、ここに先ほどの試合で勝利した畑が
どこまで対抗するのかに関してもまた見どころ。
12分間手を出し続けられる畑のボクシングは、きっと先に挙げた3名誰もできないこと。
今年の中日本新人王、スーパーバンタムが面白過ぎる…。
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