2017/9/3 刈谷あいおいホール-ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【スーパーフライ級6回戦】
畑中 建人(畑中) vs チャンチャイ・サイトーンジム(タイ)
・畑中 建人 3戦3勝(3KO)
・チャンチャイ・サイトーンジム 12戦7勝(3KO)3敗2分
メキシカンカラーに身を包んでソンブレロを被っての入場…
畑中、滞在一ヶ月そこそこでそこまで染まるとは…
まさにメキシコかぶれ!
1Rから抜群の左で相手を上回る畑中。
様々な角度から飛ばされ、そして威力のある左にチャンチャイの顔面が跳ね上がる。
トリッキーな動きを見せながら早くもペースを獲りにかかる。
2R、畑中のジャブに合わせたチャンチャイのクロスが時折畑中を捉える。
鋭いそのパンチはなかなかスリリング。
上下に長いパンチを撃ち分けて地力の差で試合を支配する畑中だが、チャンチャイはひるまない。
3R、ミドルレンジの攻防から距離が詰まって来る。
馬力のあるチャンチャイの攻撃に危ないと思った次の展開、
畑中がショートをまとめてチャンチャイが崩れるようにダウン。
立ち上がったチャンチャイ…未だやる気充分。
このまま仕留めたい畑中、その後、倒しにいったところで、チャンチャイは反撃してこのラウンドを乗り切る。
4R開始直後。
攻勢を強めたところで、逆に大きなパンチをもらってしまう畑中。
これは効いたか、膝を揺らす。
しかし、その直後、プレスで相手のリングを削って行き…
苦し紛れにも見えるチャンチャイの右フックに左フックを被せた畑中。
一撃でチャンチャイはダイブ…両手をリングに着きカウントが数えられる。
ここでも立ち上がったチャンチャイ…。
積み重なったダメージとは裏腹に、気力はまだまだ…。
再開後も食い下がるチャンチャイ。
しかし畑中が左ボディアッパーを2つめり込ませると、たまらずクリンチ…。
レフリーが引き剥がした後も、なんとかしがみつこうとするチャンチャイを強引に振りほどいた畑中。
左右のフックを荒々しく連続で叩きつけ、崩れ落ちるチャンチャイ…このラウンド2度目のダウン。
レフリーはここで試合をストップ。
詰めのところでの荒々しいボクシングで、被弾を増やしてしまった畑中だが…。
何よりチャンチャイの充実ぶりに驚いた。
ホープに当てられるタイ人選手…なかなか強い相手が選ばれることは少ないが、
この日のチャンチャイはやる気も充分、そして相応の力もあった。
パンチは単発で大きいが、もらいながらでも怯まずに撃ち込んでくる。
リスクを感じる選手だったし、事実4R、強引に行きすぎた畑中は膝を揺らされた。
行けると思ったら行くのが鉄則。
そして倒しきった畑中だが、無駄に被弾をし過ぎたように思う。
反面、荒々しく相手を刈り取る凶暴さも感じさせた…。
経験として蓄積される試合…今後がより楽しみになってきた。
一緒に観戦していた元プロボクサーと別れ、一人で一日を振り返る。
興行のカードを眺めて、カタカナがあると噛ませだと判断される。
事実、そういうパターンも多いと思う。
…しかし、この日はそれに当てはまらなかったように思う。
フィリピン人二人に、タイ人が一人。
それぞれ得意を持った曲者ばかり。
こういった選手ばかり来るようになれば…
謎のタイ人というだけで、その興行の観戦を避けるファンも、
こういった試合が続けば、ワクワクを持って全ての興行を見るようになるのではないか。
そんな風に感じた。
いい興行だった…と思う。
そして何より、トミナガ シンペイ(中日)が勝ったことで浮かれ気分。
そんな帰路で桐林 迅児(HEIWA)が勝ったことを知り、電車の中で「うおっ!!」と声を上げてしまう…。
電車からバスに乗り換え…観戦できない久保 隼(真正)vsダニエル・ローマン(米)を
チャット機能で実況してもらう。
映像が見れていないので何とも言えないが…どうやら完敗だったらしい。
この日、日本人にとって一番大きな試合で、久保が負けたショックに包まれての帰宅。
トミナガも桐林も勝った…最後の最後で久保が負けた。
悔しさと、嬉しさが同居しつつ…。
眠れないままあれこれ、その日一日を思い出し、文字にしながら気がつけばAM4:00。
思考能力の低下した頭の中で繰り返される、トミナガの左フック。
よりぶっさいくに変身してたな…。
あれでこそトミナガなんだよ。
そう言えば試合後、トミナガが挨拶に来てくれた。
最後、「面白かったですか?」と聞かれて、「面白かったですよ」とだけ返した。
…と言っても、トミナガの試合は泥試合。
ファン全員が賛同して「面白い」と合唱するような試合ではないし、そんな選手でもない。
ただ、僕にとっては抜群に面白かった。
トミナガはあれでいいと思う。
誰しもが面白いと言うわけではないけど、トミナガを面白がるファンは徹底的に面白がるだろう。
初めてトミナガを見たファンが「これでA級?」「へったくそな奴だな…」なんて思いながら…
後半に進むにつれて相手を飲み込んでいく姿に唖然としてしまう。
そんな空想がとてもイメージしやすい。
トミナガは逸材だ…僕は至る所で発信している。
チャンピオンになれるなれないとか、そういう話ではない。
ボクシングの面白みを伝える意味で、格好の存在。
普通なら面白くないと言われる試合を、トミナガは面白く魅せてしまう。
どうか多くのファンに、彼の面白みを知って欲しい。
そんなこんなで眠気がやって来た。
そろそろ眠ろうと思う…寝れるかな。
嬉しい時は徹底的に嬉しく、悲しい時は徹底的に悲しい。
感情の振れ幅が大きい…即ち揺さぶられる。
ボクシングは…面白いんだ。
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