2025/09/29 -東京・後楽園ホール- 前置き(中日本ボクシング観戦記・番外編) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
水道橋駅を降りて改札をくぐる。
懐かしいと思えるほど、前回から時間は経過していない。
かつては1か月に1度は来ていた場所。
コロナ禍以降、その数は格段に減った。
コロナ期間中は中日本外の試合を見に行くことは仕事の都合で制限がかかった。
その後、一般人の生配信が開始。
もともと中日本の興行には行ける限り行っていたが、その準備や事後の内容。
配信でしゃべる内容の事前収集なんかで時間が溶けていく。
さらには仕事の方も、これまで以上に充実し始め、
コロナが明けても、東京や大阪への遠征はなかなか叶わない状況へとなっていった。
それでも、樋口 藍(一力)の試合だけはかかさず来るようにしている。
ARITOMIジムからデビューし、東京の一力ジムへ移籍した女子ボクサー。
彼女が移籍を知らせるとき、「中日本だから応援してもらえている」と思っていることを知った。
そうじゃない、たまたま自分がこの土地に住んでいて、見る機会が多いからそうなっているだけのこと。
自分が後楽園ホールの住人なら、きっと東京の選手にのめりこんでいる。
2試合、3試合と見るうちに、それぞれの試合がつながっていく。
そこに物語が見えてきて、それにのめりこんでいく。
中日本だからじゃない、見てきたからだ。
デビュー戦から見てきた樋口。
「これからも応援する」
その気持ちを示したくて、彼女の地元、松坂まで行った。
そしてその帰り道、彼女の同級生に出会った。
20代の女の子が僕に向かって言い放った。
「樋口藍について行って絶対に損はしない」
親友のために腹を据えてはなったような、気っ風のいい啖呵に心底しびれた。
身近な人間ここまで言わせる樋口をもっと深く追いかけたいと思えた。
何もかもをかけて、夜行バスで向かった東京。
これまで積み上げたもの、全部捨てる覚悟もあったはずだ。
東京に出てからの孤独から、様々な人たちからの愛されるようになり
生き生きとボクシングに熱中していく樋口。
樋口の武器は相手を委縮させる威力の左ストレートだと思っている。
その左腕が病に侵され、再起不能とまで言われた。
そこを乗り越えてのこの日のリング。
思えば、彼女はJBCの女子ボクシング公認後、
中日本で初めてしっかりとしたアマキャリアのある女子選手だったように思う。
期待値も高く踏んだプロのリングでなかなか勝てない。
結果がついてこない日々に立ち向かっていった。
ただでさえ選手数の少ない女子ボクシング。
階級が合わず、様々な体重で試合をした。
バンタムでの試合も多かったキャリア、この日はミニマム。
「ちゃんと減量したい…」なんてぼやいていた彼女だったが、
まさかここまで落とせる選手だったとは。
階級が合わないことも、病気にかかったことも自分のせいではない。
言い訳の要素はいくらでもある。
ふてくされて、もう辞めるなんて、いつでも言える。
誰が聞いても「仕方ないよね」と言ってくれるだろう。
ボクシングをやめたって、女性としての美貌がある。
わざわざ苦しい思いをしなくてもチヤホヤしてくれる男性はゴロゴロいるだろうし
容姿を生かしてスイスイと人生を進むことだってできるはずだ。
山ほど逃げ道はある。
その逃げ道を選ばず突き進んできたことこそが、彼女の持つ魅力のようにも思える。
ここでいつもの前置き
自分はファンではあるが、熱狂的なマニア程の肥えた目を持ってはいない。
自分より凄いと思えるファンはそこらじゅうに転がっている。
ここに書く内容に誤りが多分に含まれることもある。
先に言い訳をしておきたいわけではなく、そういうものだと言っておきたい。
同じ試合を見ていても、違う感想を持つファンもいるわけで…。
ここに書いたことが正解ではないと…。
それだけは認識した上で、読み進めていただきたい。
樋口が東京にいるおかげで、無理をしてでも後楽園ホールに行く理由ができる。
少なくなったとは言え、聖地に足を運び、東日本のボクサーに出会う機会をもらっている。
この番外編も樋口がいなかったらなかったもの。
「樋口藍について行って絶対に損はしない」
その言葉通り、僕は様々なものを樋口からもらっている。
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