2019/04/14 -三重・メッセウィングみえ- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2019/04/14 -三重・メッセウィングみえ- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 

 

■日本スーパーフライ級ユースタイトルマッチ
【スーパーフライ級8回戦】
中村 祐斗(市野) vs 近藤 冬真(蟹江)

日本スーパーフライ級ユース王者
日本スーパーフライ級級12位
中村 祐斗 14戦9勝(7KO)5敗

近藤 冬真 11戦7勝(1KO)4敗
 

1R、どっしりと構える近藤に対し、足を使いながら左を出していく中村。
ガードでしっかり固めながらジャブから肘先で軌道の変わる近藤の左フックが刺さる。
お互いに序盤からボディを叩き合う展開、手数は中村が多くコンビネーションで捉える場面を作るが、
その合間や、中村の右ボディに相打ちで左フックを撃ち込む近藤。

ラウンド終盤に入ると近藤が手数を増し、中村の顔面を捉える頻度が増える。
強烈なワンツーを撃ち込み、右フックも叩き付ける。
ラウンド序盤は中村、後半は近藤…いきなり難しいラウンド。
 

2R、いきなり左右フックでボディを襲う中村。
下から上に返していき、一発に頼る傾向のあった中村がコンビネーションで近藤を捉える。
ラウンド中盤、お互いに左を刺し合いながら、強烈に右ストレートを撃ち込む中村。

ボディを中心に攻めながら、強烈に上を捉える中村は
強打を空転させた1年前の同じ会場での試合からは見違えるよう。
自身の強打を当てるまでのプロセスをしっかり作ってヒットさせる。

しかし終盤に入るとこのラウンドも近藤が反撃。
左フックを撃ち込むとこちらもボディを中心に襲っていく。
近藤の左フックへの反応が遅れている中村…。
ジャブの連打で前に出る近藤を止めるが、中村の左が止めば近藤がしっかり前に出て襲い掛かる。

このラウンドもまた際どい…。
 

3R、大きく炸裂音の響くボディを撃ち込む中村。
近藤はジャブで中村の顔面を跳ね上げると、肩の力の抜けたコンビネーションで
滑らかに中村の顔面を捉えていく。

ラウンド後半は、お互いしっかりガードが高く好戦的な試合ながら
大きなヒットはしっかりと防いでいく。
ラウンド前半、的確に捉えた近藤のラウンドか。
 

4R、またジャブの圧を強めた中村、ジャブとボディで近藤を捉えていき、
左アッパー、左フックで近藤の顔面を捉えるシーンも作る。
近藤はジャブで中村の顔面を派手に跳ね上げると、
ラウンド中盤、強烈な左右のボディで中村を捉える。

しかし、終盤には中村がワンツーで強烈に近藤の顔面を捉えてこのラウンドが終了・
手数が増えて来た中村に対し、近藤がやや守勢にまわらされたラウンド。
 

5R、いきなり強烈なボディをいくつも叩き込んだ中村。
その後の撃ち合いはお互いにしっかりとガードし合い互角の展開だが、
ラウンド中盤には近藤が強烈に右ストレートをヒット。

すると中村はまたもボディの数を増やしてさらに上を捉える。
合間に差し込まれる近藤のパンチを被弾するが、タフネスは中村の売りの一つ。

終盤には近藤が出入りしながら、短い左右フックで細かく中村を捉えてこのラウンドが終了。
 

6R、試合開始と共に頭をつけてボディを叩き合った二人。
離れ際に中村のジャブが刺さり、そのまま手を出しながらコーナーまで詰めると、
左のショートアッパーを炸裂させ、近藤は一旦クリンチに逃れる。

その後も中村が強烈にボディを襲う場面が目立つ。
ラウンド中盤以降は抱き合うシーンも増える…試合後半に差し掛かったところ、お互いに苦しい局面。
ラウンド終了間際には近藤が左を多彩に飛ばして、連続で中村の顔面をヒット。
 

7R、開始と共に撃ち合った二人、ここまで来て衰えることなく勢いよく攻め立てる中村。
ボディを中心に襲っていくが、合間にしっかりとジャブを差し込んでやりたい放題にはさせない近藤。
逆に近藤が強烈に左ボディを撃ち込むと中村の動きが止まる…かなり効いたか…。
ここは持ち直すと、二人はジャブの刺し合いに…一歩も譲らぬ中、
疲弊しない中村がボディを襲い、ラウンド終了直前には強烈な右ストレートを撃ち込む。
 

8R、ラストラウンド、お互いに撃ち合いに出る。
決して大振りにならず、最短距離に拳を走らせ合う二人。
お互いに絡み合いながら死力を尽くすが、ここまで来てもしつこくしつこくボディを叩く中村。
ラウンド終盤、しつこいボディで伏線を張ったうえでの右ストレートが近藤を捉える。
日本ユース王座、死闘に判定決着のゴングがなる。
 

マイジャッジ 78-76 中村
 

しかし、ボディをどこまで取るかによっては…。
 

公式ジャッジ

78-75 中村
 

一瞬、前に出かける近藤。
勝った手ごたえはあるか…。
 

78-76 近藤
 

割れた…
両手を上げ、天に祈る近藤。
 
 

最終のジャッジ…
ここまでくれば、ジャッジ席に誰が座ったかの運。
 

77-75 中村
 
 
 

判定の瞬間、リングに手をついて悔しがった近藤。
ホッとした表情で、レフリーに手を挙げられる中村。
 

スーパーフライ級の中日本のトップ選手同士がぶつかった試合。
接戦を乗り切って中村が初防衛。
 

果たして、1年前の中村が、この日の近藤に勝てただろうか…。
きっと近藤の多彩な左に翻弄されて終わっていたハズだ。

中村に振ったジャッジのポイントは後半に流れたものだと思う。
序盤から中村がしつこく叩き続けたボディで、近藤が若干の失速を見せた後半…
その若干が試合の勝敗を決めた…。

ジャブを突き続け、ボディを叩き続け、そしてそれらを伏線に要所でその強打を叩きつけた。
左勝負では刺し負けているようにも感じたが、そこを数で補った。
自身のパンチに溺れることなく、基本的なことで試合を制した中村。
1年間、ユース王座を追いかけ続け、熾烈な戦いを乗り越えた中村は
本当に本当に強くなって戻って来た。
 

そして近藤もまた…
敵地2連敗を喫し、戻って来た三重のリングでも惜敗。
中村の強打にビクともせず、中村と同じくボディで、そして多彩な左で対抗した。
村上 勝也(薬師寺)畑中 建人(畑中)がフライ級へ行った現状、
この試合はまぎれもなく中日本スーパーフライ級の頂上決戦だったようにも思う。

惜敗の続く3つの黒星。
しかし、そのたびこの選手が先々に勝負していける確信は深まるばかり。
東京で勝負に敗れて戻って来た近藤は…やはり強くなっていた。
この試合を乗り越えて、さらに強くなる近藤もまた、想像するに容易い。
きっと一つ勝てば、道は開けるはず。
どうか…負けに負けるな。
 
 

ベルトを掲げる中村に感慨深い思いが沸く。
リング下では元選手が目頭を熱くしながら中村の姿を見つめる。
地元のヒーローが眩しくライトに照らされる中、歓喜に沸く赤コーナーサイドの客席。
一人の活躍が、様々な人たちに様々な思いを湧きあがらせ、そしてその人生に影響を与えていく。

歴戦の傷跡をいくつも顔に刻んだ若きヒーロー。
幼くあどけなささえ感じた少年が、戦う男の顔でベルトを掲げていた。
 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

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