2023/04/02 -愛知・刈谷あいおいホール- 第1試合~第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【フェザー級4回戦】
岡田 武智(長崎ハヤシダ) vs 富平 謙伸(中日)
岡田 武智 2戦1勝1敗
富平 謙伸 4戦2勝(2KO)1敗1分
鋭く踏み込んでアッパーを突き刺す富平。
長い距離にいる状態、ストレートを警戒する場面で
より深く踏み込んで短いアッパーを撃ち込んで来る。
富平からはいつもKOの匂いがする。
さらに踏み込んでボディ、踏み込んで右ストレート。
距離のある状態からどのパンチが飛んでくるのか、わからない…。
強烈な右ストレートを叩き込み、グラついた岡田に一気に攻めてかかる富平。
このままKOか…そう思った直後、岡田が強烈に右フックを返して富平が揺れる。
鳥肌の立つような攻防を見せ、1Rが終了。
2Rにはいきなり右の大砲を交換を立て続けに…カウンターで被弾した富平がクリンチに逃れる。
富平の強打を序盤から幾度も浴びたはずの岡田だが、臆することなく思い切りよく拳を振っていく。
ボディに強烈な左右をぶちこみ、上へと拳を持って行ったところ…。
富平がその大砲に大砲を合わせる。
強烈な一撃が岡田の顔面に突き刺さり、ゆっくりと膝から崩れ落ちる岡田。
立ち上がろうとするものの足元が定まらない岡田にレフリーは試合をストップ。
同時にコーナーからもタオルが投げ込まれた。
TKOタイムは2R 1分59秒。
倒しっぷりの豪快さは健在、久々に富平らしいKOシーンが見れた。
「K-1の富平辰文の甥」…そんな肩書はもう必要ないようにも思う。
「未完のKOアーティスト」富平謙伸には富平謙伸に相応しい肩書がある。
対して、長崎から乗り込んで来た岡田。
序盤から富平の強打をもらいながら、臆することなく強打を叩き込んで来た。
警戒から守りに入っておかしくない場面で、攻撃のギアを上げる。
負けん気強いボクシングがこの日の敗退を産んだのかもしれないが、
防戦に入ってズルズルと展開を握られるより、可能性を上げる戦いぶりだったと思う。
勇敢な九州男児に拍手を送りたい。
間違いないくいいボクサー、今年の新人王戦を勝ち上がり、
再び中日本の選手の前に立ちはだかって欲しいと感じた。
■2023年度中日本スーパーフライ級新人王準々決勝
【スーパーフライ級4回戦】
岩本 和樹(西遠) vs 津田 康光(ARITOMI)
岩本 和樹 1戦1勝
津田 康光 1戦1勝
オーソドックスの津田対サウスポーの岩本。
延々と前の手のやり取りが続き、大砲の奥の手は浅い…距離の遠い時間が続く。
下がりながら戦う津田、前に出ながら時折連打を撃ち込む岩本。
後半に入ると津田の方から前に出る場面も見せるが、
岩本は一定の間隔を維持するように距離を調節。
出しても届かない遠い距離に手数自体少ない中、僅かに岩本がヒット数で上回っていく。
刻々と時間は過ぎていき最終ラウンド…。
津田が前に出た場面、岩本の左ストレートが突き刺さる。
お構いなしに貰いながらも出ると、津田の右ストレートが岩本の顔面を跳ね上げる場面を作る。
攻勢に出る津田だったが、しかし…時すでに遅し。
攻略する時間は残されておらずタイムアップ。
マイジャッジは39-37で岩本
公式ジャッジ
39-37、39-37、40-36
勝者:岩本
際どいラウンドが積み重ねられたが、ラウンドマストのルールをうまく使った岩本が判定勝利。
リスクを最小限にとどめて、相手の拳が届かない位置に居続ける。
決して無理せず、そのままタイムアップを迎えた。
この試合もまた、策士感が半端なかった岩本。
デビュー戦であれほど好戦的に思い切り振っていった津田がこの試合では手数不足に陥った。
岩本の意図通りにハメられたようにも見えた。
最終ラウンド、強引に出た場面でようやく見せ場ではデビュー戦で見せた迫力も健在。
岩本の顔面を派手に跳ね上げた。
封じられてしまった試合、ただしやりようがある感触はあったと思う。
2戦目でこういった試合を経験できるのは大きいと感じる。
これで、岩本は6/18の準決勝に進出。
次は何を見せて来るのか…とにかく不気味な存在がトーナメントを面白くしてくれている。
■中日本スーパーフライ級新人王準々決勝
【スーパーフライ級4回戦】
森村 怜司(とよはし) vs 片桐 頌斗(中日)
森村 怜司 デビュー戦
片桐 頌斗 1戦1敗
ゴングが鳴った直後から一気に攻めてかかる片桐。
怒涛の攻めに、森村は下がりながら応戦。
1R終了直前には片桐が強烈な右フックを叩き込む。
2R開始直後にも強烈に右を被弾した森村。
しかし、その直後、強烈な右ストレートを連続で叩き込み片桐を後退させる。
試合は一進一退の激しい撃ち合いになっていく。
ガンガン攻め込み続ける片桐。
片桐の作り出すペースに巻き込まれる森村。
どちらも消耗を見せ始めるとともに、足が止まり、
殴り合いの激しさはみるみる増していく。
最終ラウンド、もう倒すようなパンチも残っていない。
KOシーンがあるなら、倒すではなく倒れる…そんなボロボロの死闘。
これまでの努力を12分間ですべて吐き出すような試合が終了する。
マイジャッジ 38-38 ドロー。
公式ジャッジ
39-37、38-38、38-38
1-0でドロー。
新人王トーナメント次戦進出を決める優勢点が発表される。
ドローを付けた2名のジャッジともに、優勢点は片桐。
ドロー、勝者扱いで片桐が準決勝へ進出。
津田を封じた策士岩本。
対するは大激闘の片桐。
封じるか、飲み込むか…ゾクゾクするカードが成立した。
デビュー戦だからこそそうなってしまったのか、それとも、それそのものが本来の姿だったのか…。
初戦で飛び切りの大激闘を見せた片桐は、ゴングと共に答えを出した。
いきなりコーナーを飛び出して相手に襲い掛かる。
リング内の強烈なキャラクターを刈谷のリングに印象付けるとともに準決勝へ。
対して、とよはしジムマネージャーの冨永氏いわく、誰よりも「普通の子」。
試合前、コメントを求めたときには「け…け…KOで!」と緊張丸出しの言葉をくれた森村。
試合前の緊張っぷりからは、片桐の勢いに飲み込まれて終わるとこしか想像できなかった。
そんな普通の子が、片桐みたいなガッツガツ来るボクサーとドローになるとこまでやり合える。
リングで魅せた姿は勇敢すぎるほどに勇敢なプロボクサーだった森村。
リング外とリング内のギャップは、きっと愛される要素になっていく。
これからの活躍を楽しみにしたい。
【カテゴリ別】
2023年中日本ボクシング観戦記一覧に戻る
中日本ボクシング観戦記一覧一覧に戻る
カテゴリ別記事一覧に戻る
【日付別】
【記事一覧】2023年4月に戻る
コメント