2022/07/30 -石川・内灘町総合体育館- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
■日本フェザー級ユースタイトルマッチ
英 洸貴(カシミ) vs 高橋 利之(KG大和)
日本フェザー級ユース王者/日本フェザー級15位
英 洸貴 14戦9勝(3KO)2敗3分
高橋 利之 11戦7勝(4KO)4敗
1R、スピードのあるジャブを突き合う立ち上がり。
時折英がワンツーを突き刺し、肩越しに右ストレートをヒットさせる。
ラウンド終盤、高橋が近距離でコンビネーションを纏めるも英のガードは固く
直後、英もコンビネーションでやり返す。
まだまだ主導権の奪い合い。
2R、じっくりと詰めていく英に対して、足を使って出入りするのは高橋。
スッと入ると一発で終わらず、コンビネーションを叩きつける場面を作る。
対して英は細かく動く高橋にどっしりと構え、キレのある右ストレートを突き刺す。
このラウンド、英がバッティングカット。出血はそれ程みられない。
3R、英のジャブが見栄え良く高橋の顔面を跳ね上げる。
高橋も時折コンビネーションをヒットさせるが、英の顔面は動かない。
カウンターで放たれる英の左フックが高橋を強烈に捉え、英優勢の印象を与える。
4R、高橋の撃ち終わり、英の左フックや右ストレートが高橋を捉える場面が目立ち始める。
どっしり構える英に対し、撃ちに行けば撃ち終わりを撃たれ、
フェイントにも乗ってもらえず、見る時間が増え始める。
5R、どう入るか…見ているうちに先に撃たれる。
手を変え品を変え、トライはするものの、その拳は空を切る。
ラウンド中盤には英の強烈な右が高橋を捉える。
反応よく上体を動かし、高橋を空転させながら見栄えのいいパンチをヒットさせる英。
6R、一発は当たっても続けてはヒットさせてもらえない高橋。
崩すための答えを探しながら…その答えが見ない。
英の右が強烈にヒットした場面、お互いに鋭いパンチを交錯させるが
英は上体を柔らかく大きく動かし、高橋の拳を交わしていく。
…1つは当たっても、その次は当たらない。崩せない。
着実に着実に英がポイントを重ねていく…。
7R、展開は変わらず…。
高橋を封じ込めながら、英が自分の拳を当てていく。
上体柔らかく、反応よく高橋のパンチをかわし、
かわし切れないパンチは下がらないガードで待ち受ける。
それをくぐったパンチも、アゴをグッと引いて、頭は跳ね上がらない。
ラウンド終盤には、英の右ストレートがテンプルを襲い、高橋が腰を落とす場面も。
8R、両者攻めの意識が強くなったか…。
ようやく高橋のパンチが英を捉え始める。
英もラウンド終盤、これまで以上にKOの意志を込めたような
力のこもったスリリングなタイミングの左右のフックを撃ち込んで反撃。
最終ラウンドは拮抗した内容で試合終了のゴング。
少し意識が変われば展開は拮抗する…
英が繰り返した作業がどれほどデリケートなものだったかを感じる。
マイジャッジ 79-73 英
公式ジャッジ
77-75
78-74
79-73
3-0 英
高橋が何か悪かったわけではないと感じる。
どうすれば英を崩せるのか…見ている側も、答えが全くわからないまま時間が過ぎていった。
アイディアさえ出させてもらえない、試して欲しいことは全て目の前で試されている。
一発目さえ当たれば…と思ったが、当たったシーンでも後続を上体柔らかく躱してしまった英。
高橋側の目線で試合を見ると、出口のないトンネルにいるような感覚に陥った。
高橋はチャレンジし続けたと思う。
まるで悪夢のような戦いの中、最後までチャレンジを続けた。
ただ、それが結果に繋がることはなく、試合終了のゴングが鳴った。
この試合を振り返って、高橋をどう語るかは難しいものだと感じる。
ただし、英が下町 俊貴(グリーンツダ)、福井 勝也(帝拳)への敗北を踏んで強さを手に入れたように、
この負けを踏んだ高橋がどう変化するのか、どう強くなっていくのか。
それこそが、彼の物語になっていくと思っている。
高橋にとってこの試合がどう語られるかはこの先の高橋次第。
東のリングでの活躍を期待したい。
2年前の夏、日本ユース王座初挑戦で下町に敗れた英。
“綺麗すぎる”弱点をさらけ出され、ボディでやられた。
ボクサーとして打ち砕かれるような負けだと思った。
しかし、英は立ち上がり、スーパーホープの福井への一敗を踏んで
大阪で日本ユース王座を戴冠した。
この日、地元のリングへ帰って来た英ははっきりとその強さを増していた。
高橋に付け入る隙を与えず、崩す答えを与えない…。
その立ち姿には、武者震いを感じる程の恐ろしささえ感じた。
あの日、終わったとさえ思った英。
英は手痛い負けを踏み、何層もの厚みを増した。
北陸の原石が想像を越えた日。
ここからは北陸の堂々たる主役として、僕の想像が及ばなかった戦場へ進んで行く。
配信が終了した画面を眺めながら、「ついにこの日が来たか」といった思いに包まれた。
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