2020/07/12 -愛知・刈谷あいおいホール- 4試合目、5試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
■中日本スーパーライト級新人王準決勝
【スーパーライト級4回戦】
近藤 璃空(緑) vs 村田 望(岐阜ヨコゼキ)
近藤 璃空 1戦1敗
村田 望 4戦1勝3敗
ゴングと共に距離を詰めていく村田。
迎え撃つ近藤と素早くジャブを交換し合う。
近藤が右ストレートから左ボディで村田の腹をえぐると、
一気に腹に集中砲火を浴びせながら、右をテンプルにも持っていく。
頭を着けた攻防の中、村田も強烈に左ボディを返す場面を作るが、近藤のペースは落ちず。
ラウンド終盤、近藤の左ボディが完璧な角度で突き刺さると、村田は膝から崩れ落ちて悶絶。
もだえ苦しむ村田に、セコンドからタオルが投入され試合終了。
先に詰めて行った村田だったが、ボディの叩き合いの中で序盤にペースが落ちてしまったようにも感じた。
一瞬一瞬の積み重ねが勝敗を決するスポーツ…分かれ目はいつも一瞬。
傍目から見れば、圧倒的な敗北となった試合だったが…、ここもまた一つの経験として欲しいと感じる。
これで1勝4敗…負けの数が先行してはいるが、面白いボクサーであることに変わりはない。
村田のサンデーパンチだと思える左ボディ…。
お株を奪うような強烈な一撃で、近藤が初勝利を挙げた。
努力家で知られる近藤…プロ初勝利は無観客のリングだったが、
仮に観客席に人がいたなら、この日一番の盛り上がりとなっただろう鮮烈な一撃。
楽しみな逸材がようやくスタートを切った感覚。
決勝では中村 力也(とよはし)vs高畠 愛大(タキザワ)の全勝対決を乗り越えた方との対決。
この日の戦いぶりを見る限り…充分に対抗するように感じる。
■中日本スーパーライト級新人王準々決勝
【スーパーライト級4回戦】
中村 力也(とよはし) vs 北川 仁暉(唯心)
中村 力也 1戦1勝(1KO) サウスポー
北川 仁暉 7戦1勝(1KO)4敗2分
お互いに前の手を動かして探り合う静かな立ち上がり。
相手のガードを回り込んで突き刺す前の手のフックでお互いに捉え合う場面が目立つ中、
距離が詰まったところで、強引にねじ込む北川の印象がいいか。
北川の方が手数で上回る分、ヒットも北川が僅かに上回る。
2R序盤、中村が左右フックで北川のボディを撃ちつけると、コンビネーションを纏めて、北川の顔面を襲う。
しかし、北川も手数を落とすことなく、中盤には頭を着けての攻防で左右アッパーを撃ち込む。
終盤に差し掛かる頃、中村の左ストレートが炸裂…。
明らかに効いてしまった北川、踏みとどまるがそこに一気にパンチを纏めて行く中村。
詰まりすぎてもみ合ったところで膝を着く北川…このスリップで窮地を逃れ、ラウンド終了のゴングが鳴る。
3R、また静かな展開に差し戻ると、ガードの隙間に左アッパーを捻じ込む北川。
しかし、中村がワンツーで捉えると一気に回転を上げる。
左ボディで一瞬動きを止めた北川に対し、猛烈に襲い掛かり、クリンチに逃れる北川。
ブレイク後、左フックで捉えてみせるも、その後の攻防では中村の左ストレートを浴びると、
またも中村が何度も左ストレートで捉える展開。
ここを何とか耐えきり、右アッパーで反撃…。
しかし、中村が左フックで捉えると、またもグラつく北川。
強烈な左ストレートを何度も浴び、膝を揺らす中で中村の右フックが刺さると
ここでレフリーが試合をストップ。
TKOタイムは3R 2:30
手数で上回り、1Rは制したように見えた北川だったが…。
強烈な一撃を貰うたびに膝を揺らし、パンチをまとめられていった。
しかし…これまで何度も何度もリングに膝を着いて来た来た北川が、この日はなんとか耐えていた。
粘りに粘った結果…レフリーに試合を止められることに。
優勝候補とも思える中村に対し、大幅負け越しの北川がしっかりと食い下がった試合。
まだまだ北川というボクサーを楽しみにしていたいと思う。
手数で北川に上回られる場面はあったものの、効かせた場面ではしっかりとまとめていった中村。
しかし、デビュー戦で見せた小さな連打はこの日は見れなかったように感じる。
その代わりに当て感の良さを感じる場面が多かった。
タイミングのいい大砲で何度も北川を揺らし、TKOへと持ち込んだ。
準決勝ではデビュー以来3連勝の高畠 愛大(タキザワ)と対戦する。
アマチュアで15戦を戦い、しっかりと土台ができている選手。
全勝対決となるこの試合…スピードでは中村か、技術では高畠か。
激戦区の一つ、スーパーライト級のキーとなる一戦だと感じる。
この日の興行はこれで全試合が終了。
勝ち上がった先のカードがいずれも興奮させてくれるカードとなった。
対戦カードが運命に委ねられた新人王トーナメント。
ボクシングの神様のドヤ顔が思い浮かんでしまう。
中日本の興行日程では、翌週の日本ライトフライ級王座決定戦を経て
8/9にまたも無観客で準決勝7試合が行われる予定。
中日本新人王の肩書を背負い、各地の新人王と対峙する旅に出る選手を決める戦い。
楽しみに待っていたいと思う。
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