2023/05/14 -三重・メッセウィングみえ- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
■日本バンタム級ユース王座決定戦
【バンタム級8回戦】
中村 淳希(市野) vs 安西 蓮(名古屋大橋)
中村 淳希 7戦6勝(3KO)1分
安西 蓮 13戦7勝(3KO)5敗1分
緊張感の高い立ち上がりから、3Rあたりに入ると
安西の強烈なジャブが中村の顔面を跳ね上げるシーンが目立ち始める。
4Rには中村の攻撃のギアも上がって来るが、安西が誘い込みながら
至近距離になればコンビネーションで捉える展開。
5Rに入ると安西が前に出始め、圧力強く襲っていく。
強烈なボディに中村の動きが止まる場面も。
劣勢の流れに、普段スマートに戦って来た中村が強引にパンチを捻じ込むシーンが出始める。
6Rに入ると安西が強烈なジャブで中村を捌き始めるが、
ラウンド終了直前、中村が渾身の一撃を叩き込んで安西を棒立ちにさせる場面も。
7R、撃ち合いの中、ボディで動きを止めた中村に、安西が下への集中砲火。
上にも返され、劣勢に追い込まれる窮地…中村はラウンド終盤にやり返して見せる。
最終ラウンド、最後の3分間を攻めてかかる安西。
何十発もの安西の連打を顔面に浴びながら、振り絞っての反撃もおよばず。
マイジャッジ 77-75 安西
公式ジャッジ
78-74×2
77-75
3-0 安西
何度も窮地に追い込まれ、絶体絶命の状況でもやり返して見せた中村。
ロングレンジの選手が、前に出され、撃ち合いにも飲み込まれたように見えた。
安西のジャブが良く、中村側からすれば選択肢が極端に絞られた試合。
本来のスタイルであるロングレンジでの勝負はさせてもらえず、
自ら前に出るしかなくなったように見えた。
誘い込まれた場所で、強烈なボディに襲われ、コンビネーションで顔面を叩かれた。
前半の際どいラウンドを獲っていたとはいえ、後半どんどん劣勢に陥っていく流れ。
心折らずに戦った姿に、やはり中村三兄弟の一人と感じた。
これまでの勝ち続けて来た中村もカッコいい選手だと思うが、
僕自身は、この日の中村 敦希がこれまで以上にカッコよく見えた。
ジャブで刺し勝ち、中村を誘い込むように前に出させ、
ボディで削り、コンビネーションを叩き込む。
主導権が重要となる長丁場で、左から展開を作った安西。
帰宅してから動画を繰り返し見返したが、その度に強さを上方修正している。
自主興行のない岡崎ジムでキャリアをスタートし、常に呼ばれる側としてリングに上がった。
呼ぶ側はチャンスと見て格上を呼ぶことはあっても、勝つ算段のない相手は呼ばない。
名古屋大橋ジムに移籍後も、安易なマッチメイクが用意されたことはなかった。
いつしか自分は安西の事を”狩る側の男”と呼ぶようになっていた。
相手側に「勝ち目がある」と思われてリングインする試合の連続。
そんな中を勝ち抜いてきた男…まさかベルトを巻く日が来ようとは…。
安西のベルト姿には違和感がある。
それは、多くの選手が乗り越えられない茨の道を乗り越えた姿だからこそだと思う。
20年以上ボクシングを見て来た自分でも、見慣れない光景だからだ。
日本ユース王座の保持期限は23歳まで。
24歳になる来年8月までにはまだ少し猶予がある。
秋ごろには名古屋大橋ジムの主催興行も予想され、何度か防衛戦もできるだろう。
来年の今頃にはそのベルトが似合う姿になっているかもしれない。
ユースとは言えベルトを巻く者。
狙われる側としての道のりが待っている。
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