2023/1/28 -愛知・名古屋国際会議場- 第1試合~第2試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【75Kg級契約4回戦】
冨永 一希(仲里) vs 上村 周平(名古屋大橋)
冨永 一希 1戦1敗
上村 周平 1戦1敗
1Rは静かな立ち上がり。
攻め込んで行くのは上村の方、サウスポー冨永が足を使っていく。
途中バッティングで中断…右vs左では頭は当たりやすくなる。
追う上村か、足を使う冨永か…。
冨永がボディストレートを突き刺せば、上村が左フックをひっかける。
甲乙つけがたいラウンド。
2R、冨永が右フックを引っ掛けての幕開け。
これまでと全く動きが違う…固さが抜けたか。
上村が詰めていくところをスルスルとサイドへ周り、
入ろうとするところへ痛烈なストレートを突き刺していく。
入るに入れない上村。
3R、展開は変わらず。
入る方法が見つからない上村…アタックの数自体も激減してしまう。
前の手の右フックをひっかけ、強烈な右ストレートを突き刺し、
決して無理をせず、ポイントポイントで拳をヒットさせる冨永。
4Rやはりこのラウンドも入れない上村。
入ろうとすれば冨永の拳が飛んでくる。
詰めたと思った瞬間には既にサイドに飛んでいる冨永。
展開が変わったのは中盤…左フックが当たり始める。
ようやく打開の糸口が見え始めたか。
しかし…残り時間はわずか…そのままタイムアップ。
2Rには完全に主導権を握った冨永。
縦横無尽にリングを駆け回り、上村を完全に封じ込んだ。
重量級ではスピードもある方、ストレートの威力もあるように見えた。
ミドル級に体重を収めて新人王で勝負して来るか…
それとも、今後別トーナメントが予定されるより重い階級での勝負になるか。
いずれにせよ、先が楽しみな選手だと思えた。
ガードを固め、強引に被弾覚悟で詰めて左フック。
ようやく糸口がつかめたころには試合が終わってしまった上村。
手が届かなかった試合ではなかった。
時間の短い4回戦、相手にペースが渡った場合、取り返すのは至難の業。
解決策をどれだけ早く見つけられるかが勝負になるが、捨てられるラウンドもない。
とにかく行きながら解決策を見つけるしかないが、トライの数が少なかったようにも思える。
上村は出し切れたのだろうか…自分にはそうは見えなかった。
悔しい悔しい負け方だと思う。
だからこそ、この負けを乗り越え、血肉にしてくれることを願っている。
後悔やタラレバこそ、選手が強くなる要素。
きっと強くなってリングに帰ってくる。
楽しみに待っている。
【ミニマム級8回戦】
丁野 拓海(中日) vs 諸岡 直樹(セレス)
丁野 拓海 9戦7勝(5KO)2敗
諸岡 直樹 13戦6勝(3KO)7敗
1R、遠い位置取りから長い距離を飛び込むヒットアンドアウェイ。
重厚な重い連打は丁野の特筆する武器。
この距離では必然的にその武器は封じられる。
これが諸岡のスタイルであれば、相性的に丁野にとって苦しい相手。
丁野対策であればかなり研究しているように思える。
いずれにせよ、チャンスの少ない試合になりそう。
2R、丁野がプレッシャーを強めるが、諸岡のジャブもしっかり機能。
数では諸岡が上回るか…丁野の痛烈なヒットも増え始めるが、
スルスルと足を動かす諸岡を捕まえるには至らない。
このラウンド、丁野がヒッティングカット。
3R、展開は変わらず。
諸岡が主導権を握ったか。
詰め続ける丁野だが諸岡が捌き続ける。
ジャブに合わせる丁野の右クロスはスリリング。
4Rも展開としては同じ。
このままのペースで行けば諸岡の完勝ペース。
折り返し地点、両者とも動きに衰えは見られない。
残りラウンド全て取るくらいでないと丁野としては厳しい展開か。
5R、丁野の右が強烈にヒット。
手ごたえがあったか、一気に攻め込むと展開が変わる。
大きな右が何度もヒットする。
これまで以上に距離が詰まったことで右クロスが面白いように決まる。
6R、ダメージブローが重なり、諸岡の足も鈍くなったか。
前のラウンド以上に丁野が捉える場面が目立つ。
グラつく場面もあり、試合の行方は完全にわからなくなる。
7R、このラウンドも丁野の大きな右が目立つが、
流石に慣れを産んだか…痛烈なヒットの数自体は減少する。
しかし、確実に諸岡にダメージはあり。
試合は最終ラウンドへ。
ここまで後半のマイジャッジは全て丁野。
次のラウンド、丁野が獲れば丁野の勝ち、諸岡が獲ればドローの計算。
8R、後半に入ると諸岡がファイトを仕掛ける。
ここは丁野の土俵…しかし、大きな右を振り続けて来た丁野。
切り替えられていないように見える…右が大きすぎて重厚なコンビネーションが回転しない。
対して諸岡は回転よくコンビネーションを叩き込んで丁野がグラつくと
一気にラッシュを畳みかける…体力も極限まで削られる最終ラウンド。
あのスピードでコンビネーションがまわるのは信じられない思い。
残り1分、死力を尽くした頭をつけてのファイトで試合終了。
マイジャッジはドロー。
公式ジャッジは3-0
77-77、77-75、78-74
77-75は納得の範囲。
5R~7Rは丁野が獲ったとは思ったが…。
ただ、諸岡勝利とついておかしくないと思える拮抗した試合だった。
主導権を握られた試合、一旦渡った主導権は簡単には取り返せない。
相手のオーバーペースや、ミスに漬け込むのが定石。
丁野は大きな右をブチ当てて、自らの拳で展開を変えた。
強くなければできないこと。
そのまま一気に試合終了まで行か…そう感じていた最終ラウンド。
諸岡は前に出て回転よくファイトした。
どんな選手でも疲弊する最終ラウンド…まさかと思えるほど回転のいい連打を叩き込む。
信じられない思いだった。
丁野にとってはチャンスでもあったが、切り替えられず。
ここに経験値の差が出たようにも感じる。
最後の最後、撃ち勝って試合を終えた諸岡。
戦績は負け越しながら、A級戦線を戦う男。
こんな連中がゴロゴロいる…背筋が凍る思いだ。
丁野への期待値が下がることはない。
諸岡は強かった。
最終ラウンド、あんな回転のいいコンビネーションを撃ち込める選手が弱いわけがない。
強い強い諸岡に、丁野が拮抗した試合をした。
充分に戦って行ける。
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