2022/11/27 -富山・富山産業展示館テクノホール- ファイナル(中日本ボクシング観戦記)　ボクシング選手名鑑ピックアップ！

長谷和紀　11戦7勝(3KO)3敗(1KO)1分
佐伯瑠壱斗　13戦7勝(1KO)5敗(1KO)1分

一歩踏み込めば強烈に拳が刺さる位置取り。
長谷の撃ち終わりを佐伯が強烈に襲う場面を作るが
それでも長谷は怯まず、鋭く踏み込んで佐伯の顔面を跳ね上げる。

2Rにはアッパーを効かせた佐伯がビッグチャンスを迎えるも、
3Rには構えをデトロイトスタイルに変化させた佐伯に
鋭い踏み込みから右をテンプルに叩き込んで長谷がダウンを奪取。
ダメージが深そうにも見えたダウンシーンだったが、佐伯は積極性を緩めず。

一進一退、やみくもな撃ち合いではない、攻撃的な二人の攻防。
背筋が冷たくなるようなスリリングなダメージブローが交錯し合う。
6R開始早々、撃ち合いの中で短い距離を走った佐伯の右が炸裂。

リングに崩れ落ち、立ち上がるも膝の揺れが収まらない長谷に、
レフリーは試合終了を宣告した。

富山のメインイベンターと岐阜のメインイベンターの対決。
二人は守りに入ることなく好戦的にぶつかり合った。
戦績だけしか見てもらえない時代ではない。
その気になれば、試合映像はネット上にいくらでも転がっている。

正々堂々、正面からぶつかり合った。
長谷にとって胸を張って欲しい敗戦。
佐伯にとって胸を張って欲しい勝利。

「プロとは」

勝つことか、王者になることか…。
それは手段でしかないと感じる。

勝って感動を与える、王者になって感動を与える…。
チケットが売られ、ショーとしての側面もあるプロスポーツ。
その体を傷めつけながら、観客席に感動を与えることは、
プロとして至高の目的の一つだろうと思っている。

二人は王者ではない、佐伯は5年間勝ち星がなかった。
それでも、その姿で強い感動を与えてくれた。

プロの、その日のリングを背負うメインイベンターの、
至高の命題を二人の勇士が成し遂げた試合。
戦ってくれた二人への感謝の思いが強く強く湧き上がった。

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